@sasaibot
終はらない夏が誰にもあることをさやいんげん刻みつつ思へり　　　筒井宏之『佐賀新聞読者文芸欄』

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ひかりあふビルとビルとのあはひにて虹を産まんとする雨後のみづ　　　筒井宏之『佐賀新聞読者文芸欄』

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セーターにふゆの嵐を編み込んで君はひとりの夜を耐へてをり　　　筒井宏之『佐賀新聞読者文芸欄』

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人とひとのあはひに黒きゆきのふる時代がつひに来てしまひたり　　　筒井宏之『佐賀新聞読者文芸欄』

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猫を抱く婦人のやうな秋風にわれは毛布を引き寄せにけり　　　筒井宏之『佐賀新聞読者文芸欄』

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線香も花も持ちあはせてはゐないからこの歌を代はりにだうぞ　　　筒井宏之『佐賀新聞読者文芸欄』

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さたうきび畑の唄をうたひきり夏大根ざくりときざむ母　　　筒井宏之『佐賀新聞読者文芸欄』

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掴もうとして転びたり　ゆふぐれの山河に垂るる春のしつぽを　　　筒井宏之『佐賀新聞読者文芸欄』

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あをぞらの青が失はれてしまふ汝を抱きしめてゐるあひだにも　　　筒井宏之『佐賀新聞読者文芸欄』

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冬の夜の水道水を湛へつつ今にも震へだしさうな皿　　　筒井宏之『佐賀新聞読者文芸欄』