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大下容子アナや西山喜久恵アナ…ベテラン女性アナ重用の背景

大下容子アナや西山喜久恵アナ…ベテラン女性アナ重用の背景

若手の女子アナがもてはやされる時代はそろそろ終わりか――このところ、40才を超えるベテラン女性アナウンサーの活躍が目立っている。彼女たちが起用されるのには、明確な理由があった。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

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この秋、「女子アナ」というより、敬意を込めて「女性アナウンサー」と呼びたくなるベテラン女性アナウンサーが大活躍しています。

朝ドラ『わろてんか』(NHK)では小野文惠アナ(49歳)、昼ドラ『トットちゃん!』(テレビ朝日系)では大下容子アナ(47歳)をナレーターに起用。ほぼ毎日放送される帯ドラマは局の看板番組であり、大下アナは『徹子の部屋』(テレビ朝日系)にも出演しました。

さらに豊田順子アナ(51歳)は、『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)でブルゾンちえみさんのネタをアレンジして披露したほか、『ヒルナンデス』(日本テレビ系)にリポーターとして出演。ともに爆笑を誘いました。西山喜久恵アナ(48歳)も秋から『みんなのニュース』(フジテレビ系)に芸能・スポーツキャスターとしてレギュラー出演しはじめています。

4人とも各局の管理職にあたるポジション。なぜ今、ベテラン女性アナウンサーの起用が続いているのでしょうか。

◆SMAP解散騒動でベテラン再評価が加速

「番組の内容を正確に伝え、出演者を引き立てる」アナウンス技術に関しては、あらためて説明する必要はないでしょう。後輩アナウンサーの指導役を務めるほどの技術が番組に安定感をもたらしています。

それ以上に大きいのは、「視聴者がベテラン女性アナウンサーを求めている」こと。2014年にスポーツ界で起きたレジェンドブーム以降、テレビ視聴者の間にも「ベテラン女性アナウンサーを見直そう」という傾向が見られるようになりました。なかでも大きかったのは、昨年からのSMAP解散騒動。大下アナと西山アナがSMAPに関わる仕事やコメントで支持を集めたことを覚えている人は多いのではないでしょうか。

また、今年3月には小野アナが『ガッテン!』(NHK)の放送内容に誤りがあったとして迅速に謝罪して事を収め、「やはりベテランは違う」と評価されました。通常の安定感に加え、ピンチに強いことも彼女たちの強みと言えるでしょう。私が聞いたところによると、各局に「ベテランをもっと使ってほしい」という声が届いているそうです。

昨年末の『好きな女性アナウンサーランキング』(オリコン)では、1位から順に水卜麻美アナ(30歳)、加藤綾子アナ(32歳)、夏目三久アナ(33歳)、有働由美子アナ(48歳)、大江麻理子アナ(38歳)、赤江珠緒アナ(42歳)、田中みな実アナ(30歳)、竹内由恵アナ(31歳)、大下容子アナ(47歳)、桑子真帆アナ(30歳)と、全員が30歳以上でした。

毎年、各大学のミスコン受賞者や元タレントなどの美人が入社しているにも関わらず、もう何年も若手のスター女子アナが誕生していないのです。これは「若手アナウンサーたちに問題があるというよりも、ベテランアナウンサーのほうが求められている」からではないでしょうか。

◆視聴者の高齢化と「昭和」企画の増加

もう1つ忘れてはならないのは、テレビ視聴者の高齢化。近年、テレビ局は視聴率獲得に不可欠なリアルタイム視聴をうながすために、ネットや録画での試聴が多い若年層ではなく、中高年層をメインターゲットに据えた番組を増やしています。朝ドラや昼ドラの時代設定に加えて、情報番組やバラエティー番組でも昭和の文化やニュースを扱う企画が増えたため、ベテラン女性アナウンサーは適役なのでしょう。

中高年層が女性アナウンサーに求めるのは、若さや美しさではなく、安心感や人間性。タレントのようなオーラを醸し出す「女子アナ」ではなく、会社員という立場をわきまえた親しみの持てる「女性アナウンサー」なのです。

一方、ベテラン女性アナウンサー本人は、「後輩たちの道しるべにならなければ」という使命を抱えています。かつては「女子アナ30歳定年説」なんて言葉もありましたが、会社員である彼女たちは、「人事異動でアナウンス部から他部署に行かなければならない」という不安を抱えているもの。全国的に顔と名前を知られたタレントのような立ち位置であるにも関わらず、いきなり「OLになれ」と言われるリスクを抱えているのです。

そんな若手アナウンサーにとって、厳しい状況をくぐり抜けた上に、結婚・出産を経てなおアナウンサーであり続けるベテラン女性アナウンサーたちの姿は希望の星。「30代になったらアナウンサーの仕事がなくなる」「異動させられる」のではなく、「40代、50代になっても、女性アナウンサーとしてこれだけのことができるよ」という実績を作っているのです。

◆テレビの古き良き時代を思わせる存在

この秋までも、大下アナは『ワイドスクランブル』(テレビ朝日系)、小野アナは『ガッテン!』『鶴瓶の家族に乾杯』(NHK)、豊田アナは『NNNストレイトニュース』(日本テレビ系)、西山アナは『めざましテレビ』『めざましどようび』(フジテレビ系)にレギュラー出演していました。

彼女たちは好感度が高い上に、情報番組やバラエティー番組での対応力もあるだけに、今後も制作現場からの出演要請は続くことが予想されます。ただし、そこは管理職。若手女性アナウンサーたちの育成場所を奪うようなことはせず、むしろ力強く後押しするでしょう。

そんなバランス感覚や人間性の豊かさがあるからこそ、視聴者は彼女たちに「古き良き時代の女性アナウンサー」という面影を重ね、信頼を寄せ続けるのです。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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