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ガキ使の「黒塗り」が海外から批判 日本人を無知とする逆差別と指摘

ガキ使の「黒塗り」が海外から批判 日本人を無知とする逆差別と指摘 大みそか特番『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!大晦日年越しSP絶対に笑ってはいけないアメリカンポリス24時!』(日本テレビ系)の演出をめぐって、今もなお、様々な議論が繰り返されている。同番組の演出に対する反対意見の主だったものとしては「“こういう時代”だから配慮は必要」というものが多い。だが、大半の視聴者はこれらの論調に、いささか辟易としているようにも見受けられる。

【写真】大きな議論を生むきっかけとなった『アメリカンポリス』衣装に身を包んだ浜田雅功

◆海外でも大きなニュースに、年明けから続く大論争

ダウンタウンの浜田雅功は番組の中で、映画『ビバリーヒルズ・コップ』(1984〜1994年)のエディ・マーフィーのコスプレで登場。この際、顔が黒く塗られていたことについて、日本在住の黒人作家バイエ・マクニール氏をはじめ、インターネット上で「差別に当たる」とする論調が浮上。一方で「本当にこれが差別なのか?」とする声も多く、SNSを中心に大論争が巻き起こっている。

「差別と思わない」派の意見では「差別の意図がないから」がほとんど。番組では、アメリカンポリスの設定で、他の演者がカッコいい制服に着替えて登場する中、浜田だけがなぜかエディ・マーフィー。そこが“笑いどころ”で、「なんで浜田だけ『ビバリーヒルズ・コップ』なんだよ」であって、決して「なんで浜田だけ肌が黒いんだよ」で笑いが起きたのではない。SNSでは多くがこの論調だった。

◆「今という時代」とは具体的に“どんな時代”?同様の論争で多くの著名人が謝罪

では「今という時代」とはどんな時代なのだろう。日本人が関わった例で話すと、2017年、ファッション誌『ヴォーグ』で、モデルのカーリー・クロスが、黒髪のウィッグに和を意識した衣装を着て撮影。これらの写真に「イエローフェイス」「人種差別」と批判が集まり、カーリーは謝罪するハメになった。

似たケースでは2015年、ボストン美術館が、クロード・モネの、和服を着た白人を描いた絵画「ラ・ジャポネーズ」の前で着物を試着するイベントを開催。これが「人種差別だ」と抗議され中止となった。

かたや日本では、過去より、とんねるずの「矢島美容室」が大ヒット。またお笑いタレントのノッチによるオバマのモノマネもウケていたほか、2016年の“ガキ使”でも、マツコ・デラックスがエマニエル坊やに扮装。だが、これらが当時、問題となったという話題はほとんど聞かれなかった。さらに遡ると、鈴木雅之率いるシャネルズも、デビュー曲『ランナウェイ』がミリオンセラーを記録する大ヒット。ドゥ・ワップブームをも巻き起こした。

日本では、黒塗りを“差別”とは考えず、その概念もほとんどなかったといえる。だが今はインターネット社会。様々な情報が世界に発表する世の中で、人種差別に対して敏感な欧米人の目にもとまりやすくなった。「こういう時代」とは、こうしたグローバル社会のことを指すのだろう。

◆そもそも差別があったのはアメリカなのでは?

ちなみに、先述のマクニール氏の論調はこうだ。アメリカでは19世紀、顔を黒く塗った白人が黒人役を演じる「ミンストレル・ショー」が人気を博した。これは、黒人は“無知”との偏見から、無知ゆえの明るさを笑いにしたもので差別的とされている。日本でも戦後、米兵によって演じられた結果、黒人差別が無意識に輸入されたのだ、と。

なるほど。だがそもそも日本には、黒人に酷い差別をしてきた歴史は存在しない。これもあり、我が日本のSNSでは「肌の色は“障がい”ではない、同列に置くことが差別なのでは?」、「問題視している人達の方が、潜在的に黒人差別している気がする」などの声が挙がる。

エジプト出身のタレント・フィフィも「黒く塗ると差別だと騒ぐ人達はネガティブなイメージを持ってるのかな?日焼けして黒人並みにするほど黒い肌に憧れる人もいるし、黒人ファッションを真似る人も。黒人に扮しただけで差別?そう指摘する人達こそ、優劣を付けて人種を見てる気がする」などとツイート。

筆者自身も、「誰かが傷つくことはやるべきではない」とは考えるが、黒人を差別してきた欧米の歴史や責任を押し付けられている違和感があった。またマクニール氏の言葉を借りると、日本人が差別に“無知”とする“逆差別”も疑ってしまった。そうでなければ、これだけ欧米メディアで騒がれなかったのではないかと考えるからだ。

◆ベッキーの“タイキック”に関しても女性蔑視との声が

もし「差別されたと感じた人がいたら、そこに差別は存在する」を基準にするなら、差別という行為は、差別か否かの判断を他人の心で決められてしまうことになる。それは基本的に“不可視”だ。不可視ゆえに明確な判断が下しにくい。

例えば、同番組でベッキーがタイキックされる番組があったが、これも“女性蔑視”とする批判があった。だがベッキー自身は、今月6日のラジオ番組『ミッドナイト・ダイバーシティー〜正気のSaturdayNight』に出演し、「年末のバラエティーの代表格で、そこに出演させてもらってうれしかった。逆ドッキリも、タレントとして本当にありがたかった」とコメント。ゲス不倫問題を精算する意味合いもあり、スキャンダルを引きずっていたベッキーを救ったのではないかという解釈も生まれる。だが“女性蔑視”という意見も無視できない。なぜなら人の本心は“不可視”で、蔑視も“そうかもしれない”からだ。

日本人は本当に、差別に“無知”なのか?2011年に劇団ひとりがブータン国王を揶揄した芸を披露した際には、「侮蔑している」と国内のSNSで大炎上している。日本人も「ダメなものはダメ」というのだ。こうした日本人独自の価値基準は、グローバル社会の前では否定されてしまうのだろうか。

今月6日、日テレで“ガキ使大みそかSP”の完全版が放送され、浜田のエディ・マーフィーのくだりも放送された。そうした日テレの姿勢に、SNSでは拍手喝采も。基本的に様々な意見が出るのは健全なことで、主義や思想はそれぞれ。一方の意見に一方が潰される事態はあってはならず、それは今回を「差別」とする報道に“不快感”を抱くユーザーの声も同じだ。ないがしろにされていいはずがなく、難問ならばさらなる議論を続けた方が健全だ。

『みなさんのおかげでした』や『めちゃ×2イケてるッ!』(共にフジテレビ系)など、長年愛されてきた番組の終了も、尖ったことが出来なくなった結果ともいえる。過剰な反対意見に対する“NO!”も日テレの再放送も、年末の風物詩である“ガキ使”までも終了の憂き目にあるのは御免被りたいとする意志の表れのようにも思える。

日本独自のお笑い文化を絶やすことなく、さらなる進化を望む視聴者が大半ではないか、とSNSの声などを見て、思うのだ。

(文/衣輪晋一)

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