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「報道ステーション」中継でケーシー高峰が下ネタを連発

「報道ステーション」中継でケーシー高峰が下ネタを連発

27日の『報道ステーション』(テレビ朝日系)で、83歳のコメディアン・ケーシー高峰が、氷点下の雪山で凍えながら下ネタを連発するという不思議な映像が放送された。

 

■氷点下7度

 

それは「絶景を、その土地の言葉で伝える、お国言葉中継」の企画で、過去に、お笑い芸人・はなわが佐賀の棚田から中継したり、なすびが福島の大内宿から中継したり、西川のりおが奈良の佛隆寺の千年桜の前でホーホケキョをしたりしている枠。

この日も、はれのひ社長会見やインフルエンザ過去最多などのニュースが放送された後、このコーナーが始まった。メインキャスターの富川悠太アナウンサーから今日の中継先が玉簾の滝(山形県)であることが伝えられる。

「大寒波が押し寄せています。どんな景色になっているんでしょうか?紹介していただくのは、この方です」

切り替わった画面に映っていたのは、降りしきる雪の中、傘も差さず凍えるケーシー高峰。

大寒波が襲来してる深夜の雪山で、寒さで顔が引きつっているのがわかる。雪まみれで顔面を硬直させたケーシーが映るやいなや、その「画の力」だけで思わず小さく笑ってしまう小川彩佳アナ。笑っちゃいけないときに面白くなっちゃうアレだろう。その直後ケーシーが「グラッチェアミーゴ!」と往年の決め台詞を発し、富川アナも笑い出すのだが、小川アナは、その前から見た目で笑っちゃってた。面白かっただけに同情する。

ケーシーいわく、氷点下7度で「寒いなんてもんじゃねー!」らしい。恐縮する両アナウンサー。

「さっきね、宿出るときはね、排尿しようと思ったら、元気だったの」

寒さのためか、この時点で「排尿」という言葉が聞き取りづらく、見ていて「搬入?」「俳優?」「ん?」という気持ちになったが、それでも気を使って聞き取れてるような顔をして、やり過ごす両アナ。

「(宿では元気だったけど)今もうね、排尿しようかと思っても、なんかその猶予がなくて……」

ここで初めて「おしっこが出にくいくらい寒いって意味なんだな……」と気づいた小川アナが「あぁー……」と同情の息を漏らし、申し訳なさそうな顔をする。その直後だった。

「これを『シッコー猶予』と言う」

ネタだった。渾身の。そして、往年の。医事漫談で一世を風靡したあのスタイル。

「なるほどー(笑)」と富川アナが笑うのに対し、固まった笑顔で2度お辞儀をする小川アナ。笑うというより、慈しむ気持ちが前に出ている感じ。「外で排尿というのも、あまりよくないですけど」と、報道丸出しのフォローをする富川アナ。

ちゃんとダウンの下に白衣(いつもネタのときは白衣)を着ていることについて触れられると、「ずっと白衣着てるけど、患者一人も来ないんだよね」。

小川アナが、とても笑っている。面白かったからというより、安心できる冗談だったから。やっと大手を振って笑える、ちょうどいい内容が来たから。

「ところでね、この滝は人口の滝なんですよ」

またケーシーが、なんか言いだした。

「自然の滝じゃない、人の手で作られた滝なんです」

ワイプの中の2人は、真意を汲み取ろうと必死な形相。「そうなんですか?」と富川がつないだ直後、「ええ、作った人は滝廉太郎」。後期高齢者とは思えないペースでネタを打ち込むケーシー。爆笑する2人。

「どういう意味だ?ネタか?真実か?前振りか?前振りなのか?真意を汲み違えないようにしないと……滝廉太郎?あ、滝だからか!滝と滝をかけたんだな!あーーよかった汲み取れたーー!!腰を折らなくてよかったーーー!」という笑い。緊張と緩和。意図が掴めない話だと思ってたらダジャレ。

安堵とともに「玉簾の滝は違いますよね」「自然の滝ですよね」「弘法大師が見つけたっていう滝ですよね」と、すかさず訂正の波状攻撃を滑り込ませる両アナ。

■荘厳な神社を背景に、お構いなしの“レイプネタ”

 

ケーシーは、雪舞う夜の山に美しくライトアップされ、小さく映っている。

「酒田地区は庄内美人といって、すごく美人が多い」という説明のあと、大名に見初められた女性の昔話を、あまり聞き取れない口調で語っている。

「(昔)大名が来たときね、そのお嬢さんは大名に呼ばれたからって喜んで行ったらしいんです。ところが3人の大名が、代わる代わるその女性を犯してしまった」

おそらく2人のアナは、話を見失っていた。だから不意に聞こえた「犯す」という言葉を、そのままの意味で受け取れていなかったかもしれない。画面が、雪化粧された厳かな雰囲気の神社に、ゆっくりとクロスオーバーした瞬間、ケーシーの声だけが飛び込んでくる。

「これを医学用語で『3金交代』(と言う)」

レイプジョーク。ゆるやかに笑う2人。「どこまでがほんとなのかね(笑)」と戸惑う小川アナ。大本音だろう。あらゆる言葉を駆使して一生懸命取り繕う2人の声にかぶって「まずいこといっちゃったか、コレ?」というケーシーのボヤキが漏れ聞こえる。画面には白雪を纏った大きな鳥居が映っているだけ。荘厳なるミスマッチ。

「白衣着てると、すぐこういうこと言いたがるんだ」というケーシーに「しょうがないですよね、そういうスタイルで、ずっとやってらっしゃいますから」と職業病的なフォローをする富川。

しかし極寒の中、火がついたケーシーは止まらない。

出身地の最上の名産・ナメコの話で「今、もうね、寒いからナメコになっちゃいました」とストレートな下ネタを吐き、弱っている小川アナをさらに居たたまれない笑顔にさせる。

「すみません寒いところ(笑)、ナメコにはなってないですけども」謝りつつも返す刀で他人のイチモツ事情を否定する富川。シモだとわかって否定したのか、単にバカのふりをして誤魔化したのか。おそらく、どちらでもなく、富川は本当にわかっていなかったのかもしれない。もう捌ききれなくなっている。

何度かオチ前にフリを潰してしまっている場面も見られたが、逆にフリだと思って泳がせていたら、この現場までソリで自分を運んでくれたスタッフに感謝を述べているだけでオチがないときもあり、その“どっちだかわからなさ”が異様な緊張感を生んでいた。裏を返せば、それくらいケーシーの前フリが自然なのだ。50年近く前からこの雰囲気を完成させているのだからスゴい。

そしてクライマックス。結局あまり玉簾の滝に触れていないと言われたケーシーは「あんまり知りません、ここは!」とぶっちゃけ、小川アナを爆笑させつつ油断させたその直後、

「すでにね、パンティの中がタマスダレになってます」

と、純度の高い下ネタを投下。小川アナの表情を一気に死に体に変化させる殺人コンボを炸裂させた。パンティて。

「あまり知りません」と言われたとき、小川アナは「ズコ〜」とハットリくん並みの擬音を言いつつ喜んでいたのに。一寸先はタマスダレだ。

 

■「東電への嫌がらせ」

 

もうこのとき、すでにケーシーの姿は雪まみれ。ネットでは「かわいそう」だとか「不謹慎」だとか「ひどい」「お年寄りなのに」といった声も多かったが、この日、間違いなくドクター(ケーシーの愛称)は攻めていた。ただやらされてるお年寄りという構図ではなく、明らかに自らネタを仕込んで、隙あらばぶち込み、ウケることを楽しんでいた。この日、売れようとしているかのごとく。

すでに師匠ほどの年齢、立場なら、いくらでも断ったり、手を抜いて切り上げることもできる企画内容だ。山形出身という事実があれば、あとは「いれば」成り立つだろうし、事実このロケのあと、すぐ台本を覚えないといけない仕事が控えていて、帰りに近くの温泉に立ち寄る余裕もないと言っていた。なのに、雪まみれのこの仕事を受けた。

この日、ケーシーは白衣を着ていたが、その上に羽織ったダウンの前が開いてることが余計に寒そうに見え、「非難」が加速したのかもしれない。

これもあくまで推測だが、前を閉じず白衣を見せたかったのは、おそらくケーシー自身だ。首元にちゃんと見えるように聴診器を掛けていたことからも、そのこだわりを感じる。漫才からコンビ解散、医者を目指していたという経歴を生かし、ゼロから築いた医事漫談。それは米寿を目前にしてなお、彼の中に息づく核だろう。

真面目な俳優としての一面が大きくなるにつれ、その反動からか、芸人としてのこだわりは増しているように見える。

東日本大震災直後、『笑点』(日本テレビ系)で「放射能の本場・いわき(30年間在住)から来ました」とカマしたことに対し「あれは東電への嫌がらせ」とハッキリと語った(3年前の文化放送『大竹まことのゴールデンラジオ』)姿勢からも、彼の根底にある強さがうかがえる。

「何かあったらどうする」というクレームももちろんわかるが、15年ほど前に舌がんを克服し、その間も書き文字だけで舞台をこなし、いまだ高座に立ち続ける彼が、この「ひどい」仕事に意欲的に取り組んでいたという目線は、最低限どこかに持っていたい。

何はともあれ、ドクターが風邪引くことなく台詞を覚えられたのかどうか、今週の『報ステ』で報道して欲しい。お疲れさまでした。
(文=柿田太郎)

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