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ニコ動出身のニュースター米津玄師、配信94万「Lemon」ヒットに見る新たな成功例

ニコ動出身のニュースター米津玄師、配信94万「Lemon」ヒットに見る新たな成功例 米津玄師の「Lemon」(TBS系ドラマ『アンナチュラル』主題歌)が、4/30付オリコン週間デジタルシングル(単曲)ランキングで歴代記録となる10週連続1位を獲得。累計でも94.1万DLと、独走状態が続いている。昨年配信されたDAOKO×米津玄師名義の「打上花火」もロングセールスを継続中。最新アルバム『BOOTLEG』に至っては、デジタルアルバムランキングにおいて、初登場1位の11/13付から25週連続TOP10入りを果たしている(同日付)。その好調ぶりはデジタル部門だけではなく、CD売上やカラオケにも波及。なぜ米津はここまでの人気を獲得したのか?これまでの軌跡を振り返りながら、その要因を探ってみたい。

【写真】身長差がキュンとくる?菅田将暉&米津玄師2ショット

◆ニコ動のボカロP“ハチ”から“米津玄師”へ、独創的なスタイルの創出

米津玄師のキャリアは、ボカロP“ハチ”としての活動から始まった。初音ミクなどの音声合成ソフトVOCALOIDを使って楽曲を作り、主に動画投稿サイトを中心に活動するのがボカロP。“ハチ”は2009年から、そうして作った曲をニコニコ動画に投稿しはじめ、「マトリョシカ」(再生回数1,300万回超え)ほか多くがヒット。ボカロPとして圧倒的な支持を獲得した。作詞・作曲はもちろん、楽曲によっては動画制作も自ら手がけるなど、音楽と映像を融合させながら独自の世界観を表現したことも高く評価された。米津が後に語った「ニコ動出身というだけで、まだまだ舐められていることもある気がします。そういった見られ方をだんだんと払拭できたらいいな」(ORICONNEWS)という言葉からも、このシーンに対する強い思いが感じられる。

2012年には“米津玄師”名義による初のアルバム『diorama』をリリース。ハチ名義でニコ動に発表した曲も収録された本作は、ボカロ楽曲ではなく、すべて米津自身がボーカルを担当。その表情豊かな歌声によって、ボーカリストとしても大きな注目を集めた。また、CDジャケットのアートワーク、ミュージックビデオを自ら制作し、“仮想の街”というコンセプトを総合的に表現したことも、本作の特徴。ボカロPとして培ったスキルをさらにブラッシュアップし、“アーティスト・米津玄師”の独創的なスタイルにつなげたというわけだ。

◆アニメファン、ロック好き、そして一般層へ…流れを作るプロモーション

2013年にメジャーデビューを果たした米津は、翌年に2作目のアルバム『YANKEE』を発表。初のワンマンライブを行ったほか、『ROCKINJAPANFESTIVAL』などの夏フェスに出演するなど、ロックファンへの認知度を高めていく。さらに2015年に発表した3作目のアルバム『Bremen』が週間アルバムランキング初登場1位を獲得したことで、本格的なブレイクのきっかけをつかんだ。

米津の存在が幅広い層に浸透した理由のひとつは、映画、アニメ、CM、ドラマなどのタイアップ。東京メトロ、ニコン、MIZUNOなどCMソングを担当、さらに中田ヤスタカが手がけた映画『何者』主題歌にゲストボーカルとして参加するなど、活動の幅を大きく広げた。

なかでも米津が作詞・作曲・楽曲プロデュースを担当したDAOKOのシングル「打上花火」(劇場アニメ『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』主題歌)や、今作「Lemon」は、アーティストとしての米津の才能を多くのリスナーに訴求するきっかけに。「Lemon」が初めてドラマ主題歌となったことについて米津は、「自分の歌声がドラマから流れてくるなんて小っ恥ずかしいし、不思議な感じ。でも、手前味噌ですが、物語にとても合っていると思います」と手ごたえを語っている。

“ハチ”時代からのコアなファンをベースにしながら、ネットと親和性のあるアニメファンを掴み、フェスなどを通してロックファンにアピール。さらにCM、ドラマのタイアップ曲で一般層へ訴求してきた米津。その最初の集大成と呼ぶべき作品が、4作目のアルバム『BOOTLEG』(2017年11月発売)だ。アニメ『3月のライオン』(NHK総合)エンディング曲「orion」、『僕のヒーローアカデミア』(日本テレビ系)オープニング曲「ピースサイン」、そして俳優の菅田将暉が参加した「灰色と青」などを収録した本作は、前作に続き首位を獲得し、34.2万枚のセールスを記録した。

◆米津も「間違っていなかった」と確信、若者だけでなく年配層にも人気が波及

昨年11月に調査された一般ユーザーの投票による『2017ブレイクアーティストランキング』(ORICONNEWS)では、10代から50代の全世代で米津が1位に。アンケートでは「いろんな人とコラボして名前をよく聞くようになったから」(広島県/10代/女性)、「曲がとても良く私たちの年代でもグッと入ってきます。菅田将揮さんとのコラボ曲もとても素敵」(千葉県/50代/女性)「実力が認知されてきた」(兵庫県/30代/男性)など、多様な年齢層からの支持を受けた。

米津玄師の魅力の中心はもちろん、その楽曲だ。ロック、ヒップホップ、エレクトロなどを融合したハイブリッドなサウンド、物語性と切実なメッセージを融合させた歌詞がひとつになった楽曲は、高い音楽性とわかりやすいポップネスを見事に表現している。さらに特筆すべきは、米津自身が“幅広い世代を魅了する、日本人に響く歌を作りたい”という意識を持っていること。「Lemon」に関するインタビューでも彼は、「“普遍的なものを作る”ことを軸に、日本人だからこそ、J-POPとして音楽を作りたいと思っています。歌謡曲とか、歴史に根ざしているものを自分の中に取り入れて、構築して、音楽に反映するにはどうしたらいいかと考えながら作業をしているんです。だから、年配の方にも受け入れられていると聞くと、このやり方は間違っていなかったんだ、と少し安心します」とコメント。“大切な人を失った悲しみ”を叙情的に描いた「Lemon」が幅広い年齢層のリスナーに受け入れられたのは、普遍的なポップスを目指す米津のスタンスによるものなのだ。

2018年10月には初の幕張メッセ公演も決定するなど、ライブの規模も拡大している。これまでなかったテレビ出演にも意欲的になっているという。「自分の作るものがいろいろなところに波及しているのはありがたいこと。自分に向いていることばかりやっていても仕方ないので、面倒くさいと思うことでも美しいものになればいいなと」と、この先のビジョンを語る米津。圧倒的な才能を備えた彼は、今後もより多くのリスナーを獲得することになりそうだ。
(文:森朋之)

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