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野島伸司氏のドラマがネットで再評価 リアルさと過激さが好相性

野島伸司氏のドラマがネットで再評価 リアルさと過激さが好相性 90年代にヒットを連発し、ドラマ黄金時代の一翼を担った脚本家・野島伸司氏が手掛ける作品が、ネット配信のオリジナルドラマで再評価されている。その反響を関係者に聞くとともに、ヒットの要因を考察すると、BPOやスポンサーへの配慮が年々強まる傾向にある地上波ドラマと現状では規制が緩いネットドラマの違いが、より明確に見えてくる。

【写真】野島伸司ドラマで、女性の本音を熱演した真野恵里菜

■佐々木希ら大物女優も続々ネットドラマに参戦!地上波とは異なる“連続性”が好反響

昨年から、野島伸司氏が手掛ける脚本のネットドラマが好反響だ。2017年秋にHuluで配信された『雨が降ると君は優しい』は、佐々木希がセックス依存症の妻役を熱演。加入促進に大きくつながった作品となった。また、昨年6月からdTVで配信した、渡部篤郎と飯豊まりえ出演のオリジナルドラマ『パパ活』が、配信から翌月以降も右肩上がりに視聴を伸ばし、新規加入者も増えたという。この傾向はdTVにおいて稀であったことから、発展系としてフジテレビと共同制作でオリジナルドラマ『彼氏をローンで買いました』を企画・制作することになった。

そうして3月にスタートした『彼氏を〜』では、注目度急上昇中の女優・真野恵里菜を起用。普段猫をかぶって本音を言えないOLが、ストレスのはけ口にレンタル彼氏サービスを利用するというユニークな設定のドラマを展開した。同作品のプロデューサー、エイベックス通信放送上田徳浩氏にドラマの反響を独自に聞いてみると、こちらも異例のヒットとなっていたようだ。

「1ヵ月の視聴者数は、dTVオリジナル番組の中で歴代ベスト10以内(映画連動番組を除くと2位)で、多くの会員様に観ていただきました。本作は、通常のドラマと比較して継続視聴率(次話への移行率)が高いのが特徴で、視聴者の女性の方からは「あ〜分かるなって思う、そうだよねって思う」「女性のリアル!これが本当のリアル!!」といった共感の意見が多数寄せられていました」(上田氏)。『ドクターX』(テレビ朝日系)『相棒』(同)『科捜研の女』(同)など、昨今の地上波ドラマは、1話完結型がロングヒットし、他番組でもそれに追従する傾向にある中、ネット配信では逆のベクトルである“連続ドラマ”が高評価を受けているのだ。

■地上波ドラマ黄金時代の一翼を担うも、近年ではヒット作に恵まれず

野島氏は、『君が嘘をついた』(1988年・フジテレビ系)を皮切りに、フジテレビを中心に数多くのトレンディドラマの脚本を手がけた。『101回目のプロポーズ』(1991年・フジテレビ系)では、武田鉄矢が恋愛に不器用な中年男を熱演し、「僕は死にません!」がドラマ死に残る名シーン・名セリフとして多くの人の記憶に残っている。『愛という名のもとに』(1992年・同局系)の平均視聴率は24.5%、最終回には最高視聴率32.6%となり、フジテレビの夜10時台ドラマでは歴代最高の数字を記録。さらに、『一つ屋根の下』(1993年、同局)は、平均視聴率28.4%、最高視聴率37.8%の大ヒットドラマとなる。家族の次男役で出演した福山雅治をお茶の間人気に押し上げた作品としても知られる。

野島氏は名実共に最もドラマが盛り上がっていた黄金時代の一翼を担っていたクリエイターだ。2000年以降も、コンスタントに年1本ほどのペースで地上波ドラマを手掛けていくが、テレビ以外の娯楽コンテンツの増加や“テレビ離れ”などが叫ばれる中、視聴率は全体的に下降傾向にあり、その流れは現在も継続している。木村拓哉主演の『プライド』(2004年・フジテレビ系)では平均視聴率25.2%という好結果を残すが、以降の地上波ドラマ作品は夜10時台に移行していく。ドラマとしての評価は得つつも、以降の作品で90年代のドラマブームの人気に及ぶ作品があるかという問いには、票がわかれるはず。そして、『OURHOUSE』(2016年・フジテレビ系)を最後に、地上波ドラマは手掛けていない。

■持ち味である「若者のリアル」「過激なテーマ」がネットドラマの自由度の高さと好相性

野島作品の持ち味は、テーマ性にあった。教師と生徒の禁断の恋を描いた『高校教師』(1993年・TBS系)、いじめをテーマにした『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』(1994年・同局系)、純粋な心を持つ知的障害者が登場した『聖者の行進』(1998年・同局系)といった、現在では“過激”といわれる題材を取り上げて行く。青春の過程で起こる苦悩と葛藤を描いた群像劇が基本であり、『未成年』(1996年・同局系)も当時の若者たちの間で大きな反響を得た。しかしながら、作品の“過激”さにより、番組スポンサーが提供を降りたり、クレジット表記を自粛するという事態も発生した。

近年の地上波テレビの制作環境は、BPOによる“審理入り”を恐れ、ユーザーからの批判やスポンサーからのクレームに脅えて必要以上に“自主規制”をしてしまう傾向にある。野島作品の“攻め”の姿勢は、現代の地上波ドラマでは生かしきれなかったのかもしれない。一方で、YouTubeをはじめとするネット動画、AbemaTV、配信動画サービス各社、ネットコンテンツは地上波に比べて規制はまだ厳しくない。むしろ過激化の傾向にあり、ネットは「地上波にできないこと」ができるステージとして、クリエイター側からも、ユーザー側からも認知されつつある。ネットコンテンツの自由度の高さは、野島作品の作風と親和性が高いと言えそうだ。

■ネット配信ドラマの今後に期待、地上波との逆転現象も現実味!?

地上波では扱いづらい過激なテーマの作品を作れるだけでなく、90年代の地上波ドラマブームとは異なる展開で反響を得ている。先述のエイベックス通信放送上田氏は、『彼氏を〜』ヒットの要因を、地上波ではテーマにしづらい“ブラック”なテーマでありつつも難解なストーリーにせず“ポップ“(“コメディ”)な要素を融合させたことと語る。

ネットドラマはSNS・スマホ文化との親和性も高く、ドラマのメッセージ性が効果的にターゲットに届くというメリットもあるようだ。視聴者のコメントをSNS等に投稿したことも高反響の要因。女性の心情を表現した“猫かぶり”を前面に推しだしたことが女性の共感を呼んだという。

また、ドラマは家族で見るものではなく、個人で楽しむという傾向がより強くなっている。「スマホやPCなどのパーソナルなデバイスで視聴されるのが中心であり、“連続ドラマ”は、1人で視聴するのに適しているのではないかと思います。今後も年間を通じてオリジナルドラマを制作・配信していく予定です。配信事業者が製作するオリジナル番組の認知が上がっていけば、配信サービスがひとつのメディアとして確立できるのでは」(上田氏)

表現自由度の高いネットコンテンツの環境やSNS文化との親和性、スマホ等のプライベートデバイスでの没入感の高さ、ドラマの利用シーンの在り方の変化といった総合的要素で、野島伸司作品がネットで再評価をされているようだ。

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