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2016年に難病に襲われた市原悦子 現役貫くため自宅で決死の収録

2016年に難病に襲われた市原悦子 現役貫くため自宅で決死の収録 (全2枚)

10月15日の午後1時過ぎ。都心の一等地に立つ、真っ赤な外観の瀟洒なビンテージマンションに、撮影機材を抱えたテレビスタッフが入っていった。ここは女優の市原悦子(82才)が住むマンション。

「2年ほど前に病に倒れて以来、市原さんは自宅で療養を続けていましたが、最近は少しずつナレーションなどの仕事をこなしています。外出できる状態ではないため、テレビ局の番組スタッフが自宅を訪れて、なんとか収録をこなしています」(市原の知人)

壁や柱から、私生活をそっとのぞき見する家政婦のように、市原のプライベートを垣間見ると、今、重大な局面を迎えていた──。

「むかーし、むかし、あるところに…」

という『まんが日本昔ばなし』(TBS系)のナレーションや、ドラマ『家政婦は見た!』(テレビ朝日系)の家政婦役で親しまれる市原が難病に襲われたのは、2016年11月のことだった。

「それまで健康だったのに、急に手足のしびれや痛み、かゆみや寒気などが発生して、市原さんはパニックになりました。救いようのない症状に“もうダメだ”と絶望して、錯乱状態で入院した彼女は、当時のことをほとんど覚えていないそうです」(前出・知人)

市原の病名は「自己免疫性脊髄炎」。南相馬市立総合病院脳神経外科の嶋田裕記医師が説明する。

「何らかの原因で体内の抗体が自分の体を攻撃して、脊髄に炎症が起こる難病です。イメージとしてはリウマチに近いが、症状はかなりつらい。手足が動かなくなったり、麻痺や感覚障害、排尿や排便に支障が出ることがあります。薬物投与とリハビリが治療の中心で、まず強力な薬で炎症を抑え、その後、再発を防いでいきます」

昨年夏前に、市原はリハビリ専門病院から退院して自宅に戻った。外出の数は極端に減ったという。その後の体調も芳しくなく、決定していた今年のNHK大河ドラマ『西郷どん』のナレーションも昨年11月に降板した。

「以前はよく若手を引き連れて食事に出て、お会計はすべて市原さんが持っていましたが、病気になってからはまったく見かけません。お手伝いさんやお付きのかたが身の回りの世話をしているようです」(近隣住民)

◆最初の数回が自宅ベッドの上で

市原は1957年、21才で劇団俳優座に入団。朝から晩まで稽古に明け暮れ、『ハムレット』のオフィーリア、『三文オペラ』のポリーなど多くの舞台で大役を務めた。

1961年には、俳優座養成所時代の同期だった演出家の塩見哲さん(享年80)と結婚。その10年後には塩見さんと退団し、ふたりでプロダクションを立ち上げた。それから、市原はテレビドラマや映画など多方面で活躍した。

「家にいても演劇仲間だったという関係のふたりは、おしどり夫婦として知られていました。子供を望みましたが、2度の流産に見舞われ、お子さんはおりません。それ以来、2014年に塩見さんが亡くなるまで、夫婦ふたりで支え合ってきました」(前出・知人)

最愛の夫を失ってから仕事も手につかず、自宅に2か月ほどひきこもったこともある。そこから復活したが、今度は自身の闘病生活が始まった。

活動休止期間は1年4か月。今年3月に『おやすみ日本眠いいね!』(NHK)内で担当するコーナー『日本眠いい昔ばなし』で仕事復帰を果たした。

「何とか仕事は続けたいと本人の強い希望で、それならば…と異例の自宅収録を行うことになりました。最初の数回は自宅のベッドの上でパジャマ姿のまま、朗読を収録しました。その後は車椅子に座っての収録に切り替えました。病気で不自由になった足のリハビリを続け、最近は何かにつかまりながらゆっくり歩けるようになりましたが、車椅子は欠かせません。それでも夏ごろには体調が回復し、表情にもゆとりが出るようになりました」(芸能関係者)

だが最近は少し落ち込む様子を見せていたという。

きっかけは「同志」の死だ。

「9月15日に樹木希林さん(享年75)が亡くなったことがショックだったようです」(前出・知人)

ともに日本を代表する女優でありながら、市原と樹木さんが初共演したのは、3年前のことだった。樹木さんの最後の主演作となった2015年公開の映画『あん』だ。

「樹木さん演じる主人公の親友を誰にしようかと監督が悩んでいたら、樹木さんが“市原さんに出てほしい”とリクエストした。樹木さんとしては、重要な役どころだけに熟練の俳優さんにお願いしたい。そこで頭に浮かんだのが市原さんでした。樹木さんと孫・伽羅さん(19才)の初共演作でもあり、市原さんは“お孫さんとてもいいわね”とベタぼめでした。そんなこともあり一気に距離も縮んだようです」(映画関係者)

どら焼き屋を舞台にあん作りの名人を演じた樹木さんと、親友を演じた市原。初共演を境に親交を深めた。

「年齢は市原さんが7才も上ですがその差を感じさせない“同志”といったお2人でした。一本強い芯が通っていて、慣れ合わない。一緒に『ぴったんこカン・カン』(TBS系)に出演されていましたが、秀逸なやりとりでしたね」(前出・映画関係者)

9月30日に営まれた樹木さんの告別式に市原は出席できなかったが、今、樹木さんへの思いを強めているという。

共演当時、樹木さんは全身がんを患いながら仕事を続けていた。平常心とユーモアを忘れず、病気を受け入れる樹木さんの姿を市原は見ていた。

「樹木さんは、病院にかかりきりは嫌だと自宅療養を選んでがんと向き合い、オファーがあればできる限り仕事を受けていました。市原さんも最期まで仕事をしたい、入院、通院や治療ばかりの生活でなく、自宅で自分らしく生きたいと決心したようです」(前出・知人)

現在、市原は自宅マンション1階にあるフリースペースで、器具を使い、腕力や足腰のトレーニングに励んでいる。

「発症後はあまり喋らないので声帯が細くなりましたが、今は自宅に友人を呼んで一緒に歌を歌うことで、腹筋を鍛えて大きな声が出せるようになりました。彼女は、“出さないでいると声は縮んで小さくなっちゃうのよ”と言って、普段からなるべく大きな声を出し、大きな声で笑うよう心がけています」(前出・知人)

もちろんそれらはすべて、仕事をこなすため。そして、生涯現役を貫くためだ。

「市原さんは自宅で決死の収録に臨んでいます。収録のため自宅を訪れるスタッフの前で、最低でも3分、自分の足で立ってお話をすることが彼女の今の目標。そして、いずれ車椅子なしで舞台に出たいと言っているそうです。完全復活にはまだ時間がかかるでしょうが、市原さんは必ずやり遂げるつもりです」(前出・芸能関係者)

闘病と真っ向から向き合う、市原の生き様を見た。

※女性セブン2018年11月1日号

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