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木梨憲武がレギュラー0本でも余裕な訳 根底には天才的なセンス

木梨憲武がレギュラー0本でも余裕な訳 根底には天才的なセンス

木梨憲武がレギュラー0本でも余裕な訳 根底には天才的なセンス
約2年間テレビのレギュラー番組を1本も持っていない中、昨年末ソロミュージシャンとして始動した木梨憲武。彼の魅力はどこからくるものなのか?(写真:共同通信)

2018年3月に「とんねるずのみなさんのおかげでした」(フジテレビ系)が終了して、とんねるずのレギュラー番組は0本になった。その後、石橋貴明は新たに「石橋貴明のたいむとんねる」(フジテレビ系)という番組を始めたが、木梨はテレビのレギュラー番組を1本も持っていない状態となった。

2018年11月には「とんねるずのみなさんのおかげでした」の人気企画が「ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ」という特番として復活したが、そこにも木梨の姿はなかった。

テレビレギュラーは「2年間ゼロ」

現在、木梨のレギュラー番組はTBSラジオの「土曜朝6時木梨の会。」のみ。約2年の間、テレビのレギュラーは持っていない状態が続いている。

昨年末、そんな木梨が突然動き始めた。ソロミュージシャンとして音楽活動をスタートさせたのだ。2019年12月11日にソロアルバム『木梨ファンクザ・ベスト』をリリースした。これまでにも、とんねるずや野猿というグループの一員として歌を歌っていたことはあったが、ソロ名義でCDを出すのはこれが初めてだった。

新譜を引っさげて木梨は「ミュージックステーション」「FNS歌謡祭」「スッキリ」「A-Studio」など、音楽番組からバラエティー番組まで数多くの番組に出演して、そのたびに話題になっていた。

その効果もあって、ソロアルバム『木梨ファンクザ・ベスト』は発売翌週にはオリコン週間デジタルアルバムランキングで1位を獲得。さらに、iTunes週間アルバムランキングなどさまざまな音楽ランキングで1位を獲得し、8冠を達成した。

木梨の音楽活動は「芸人の余技」というレベルをはるかに超えている。なにしろ、ソロアルバムの楽曲に携わっているのは、B'zの松本孝弘、久保田利伸、藤井フミヤ、AIといった一流アーティストばかり。すべては木梨が自分の人脈で集めたメンバーだ。57歳の木梨が自らの老いに向き合うような悲哀に満ちた歌詞の楽曲も多く、大人の男の魅力にあふれた作品となっている。

アルバム収録曲の「ILOVEYOUだもんで。」は、妻である女優の安田成美に捧げたラブソングだ。「成美さん」と何度も名前を呼び、具体的なエピソードを交えて妻への愛と感謝を述べるストレートな歌詞が印象に残る。

木梨がこの曲で妻を題材にした理由は、架空の恋愛を描くよりも妻に対する思いのほうが自分にとって身近な恋愛だと感じられたからだという。テレビに出ている男性タレントで、自分の妻に対する愛情をこれほど堂々とさらっと言える人は珍しい。そういう意味でも木梨は別格の存在である。

持ち味は「いつも上機嫌で感じがいい」こと

とんねるずといえば、若手の頃はスタジオで暴れまわる過激な芸風で知られていた。今でもそのイメージが残っていて、一部の人には嫌われたりもしている。でも、そういうときにやり玉に挙げられるのはいつも石橋のほうだ。

実際には木梨も同じように暴れていたのだが、なぜか彼の評判は下がらない。それどころか、木梨に関しては「優しい」「おしゃれ」「センスがいい」といった好意的な評価が多い。

昔からとんねるずになじみのある中高年世代だけでなく、若い世代にも満遍なく支持されている印象がある。しかも、年齢を重ねてもその魅力が衰える気配がない。色あせない木梨の格好良さの秘密は何なのか。

妻の安田成美は木梨について「自分で機嫌が取れるからいつも機嫌がいい」と語っていたことがある。これは木梨という人間を語るうえで本質的な部分である。木梨が目の前の人とすぐに距離を縮めて仲良くなり、人の輪を広げていけるのは、いつでも上機嫌で感じがいいからだ。

木梨は出会った人の懐に飛び込み、すぐにその状況を楽しんでしまう。彼にとって仕事とは、友達とワイワイ楽しく遊ぶことの延長線上にある。彼の音楽活動に大物アーティストたちが協力を惜しまないのも、ひとえに彼の人間的な魅力によるものだ。

もちろん、単に機嫌がいいというだけなら、芸能界でこれほどの活躍をすることはできなかっただろう。「芸の人=芸人」としての木梨の根底にあるのは、その天才的なセンスだ。大した練習をしていなくても、歌やダンスや物まねがうまく、何をやらせてもそれなりにこなしてしまう。コントを演じたりバラエティー番組で暴れたりするときにも、キレのある動きで見る人を魅了する。

また、番組の企画から始まったアーティストとしての創作活動にも力を入れていて、現在も絵画の個展を開催している。

木梨にとっては「仕事」も「遊び」も等価値

木梨の卓越したセンスの源にあるのは、自転車屋だった父親譲りの職人的な感覚ではないか。木梨の実家が自転車屋を営んでいるのは有名な話で、彼は父親の話もテレビでよくしているが、その父親自身は寡黙な職人気質の人物だ。木梨もその血を受け継いでいる。

運動神経がいいと言われる人は、他人の動きを見てすぐにそれを盗める人だという。木梨には確実にそのようなセンスがある。だから、物まねも、歌も、ダンスも、アートも、恐らくお笑いさえも、見よう見まねだけでビシッと決めることができるのだろう。

相方の石橋はインタビューなどでも「憲武は天才。あいつを超える芸人はいない」などと木梨のことを絶賛している。横に並ぶ者として、木梨の類まれなる才能を誰よりもよくわかっているからこその発言だ。

歳を取ると柔軟な思考ができなくなり、頑固になってしまう人も多いものだが、木梨は還暦間近とは思えないほど相変わらずの自由奔放な生き方を貫いている。恐らく、彼にとっては「仕事」と「遊び」は初めから同じものなのだ。仕事が遊びであり、遊びが仕事。だからストレスもたまらないし、他人にも優しくできる。

自らの老いを受け入れ、明るく笑い飛ばす木梨の生き様は、これからも超高齢社会を迎えた日本に住む多くの人を勇気づけることになるだろう。

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