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大塚明夫、声優志望の若者に忠言「ちやほやされたいでもいい」

大塚明夫、声優志望の若者に忠言「ちやほやされたいでもいい」
自分のやりたいことを本当に見極められていないと、いつまで経っても満たされることは難しいかもしれません(写真:Fast&Slow/PIXTA)

『攻殻機動隊』シリーズのバトー役や、『機動戦士ガンダム0083』のアナベル・ガトー役など、多くの代表作を持つベテラン声優の大塚明夫氏が語る「声優論」。最終回では、「声優志望の若者が陥りがちな失敗」について解説します。

声優として演じたいのか、ちやほやされたいのか、自分のモチベーションを見極めろ。それが、今回お伝えしたい一番のメッセージです。

若い声優志望者に「声優になりたい理由」を聞くと、多くの人がもっともらしい理由を口にします。

「芝居が好きで、いろんな役を演じたいからです」

「子どものときにアニメからもらった感動を自分も人に与えたいからです」

しかし、私はこうした言葉をどうも真に受けることができません。「君、本当にそうなの?」と問いかけたくなることがほとんどです。それは彼らが、自分のやりたいことを本当に見極められているように見えないからです。

率直に言うと、声優志望者の多くが「ちやほやされたい」という欲求を隠し持っています。それ自体は悪いものではありません。しかし、自分がどれだけそれを望んでいるのか、その欲求の優先順位がどれだけ高いのかは自覚しておかなければいけません。

君は本当に「声優になりたい」のか?

「ちやほやされたい」が一番の望み、むしろそれしかないのに、「声優になりたい」が自分の欲求だと勘違いしている人はとにかく多いです。「子どもに夢を与えたい」という言葉についても同じです。本当の優先順位はどうなのでしょうか。「子どもに夢を与える」ことが本当にあなたの一番の夢なのですか?それが夢なのであれば手段はほかにもいろいろありそうなものですが、あえてハイリスク・ローリターンな「声優」を選ぶ理由はなんでしょうか。

その理由の中に「ちやほやされたい」があってもいいのです。いちばん大事なのは、そういう欲求を自分が持っていることから目を背けないことです。そして、声優というハイリスク・ローリターン極まりない商売の中でそれを獲得するためにどれだけ本気で努力できるのか、その努力を楽しめるのかを想像することです。

役者とは生き方である。繰り返し私がそう言うのは、そこで何が起きても自分の責任であるということが、「職業」だと思っているとなかなか理解できないからです。自分の選択の結果として現状があるのにそれがわからない。こうなるともう、ひたすら予想屋の言うとおりに馬券を買い続けているにわかギャンブラーの世界です。「チッ外れた、あの野郎が予想を外したからいけないんだ」とぼやくようなものです。その予想屋の言葉を信用したのは誰だったでしょう。

ともあれそういう人は、恵まれていないときに諦めもつかないし人のせいにします。違う事務所に行ったほうが人気が出たんじゃないか、なんてくよくよ思ったりするのです。それでもいいから役者をやりたい、演じたい、という方向にシフトできているのであれば、起きたことは自分のせいだと肚(はら)をくくれますし、人気者になるのは二の次だという感覚も生まれるはずなのですが。

何度も書いてきたとおり、声優にとって人気は大切なものです。でも、「声優が仕事を得るには人気が大切だ」という事実と、「自分がいちばん大切だと思っているものは何か」という話は別なのです。人気がなければいい役はこない。でも、その「人気」のためにあなたはどれだけの努力ができるでしょうか。その見極めはあなた自身にしかできません。

「人気者になりたいからその手段として声優を選んだ」ならそれでいいのです。問題はそれを自分で認識できないこと、手段と目的を取り違えることです。この順番を間違えながらどれだけじたばたしても、あなたが満たされることは絶対にありません。

「人生の主導権」は自分で握れ

人は、「誰かのせいで自分は満たされていない」と考えているときが実はいちばん不幸せなものです。自分にはどうにもならない事情でこんな目に遭っているんだ、と思うからふてくされる。人生の主導権を自分で持ち、「これもすべて自分の生き方だ」と思っている人は、たとえ苦しくても本当に折れてしまうことはないのです。

もうひとつ言っておくと、声優として食っていけるレベルまで売れることと、ちやほやされることとは別問題です。飯の食えている声優はちやほやされているのか、ちやほやされている声優は食えているのか、と聞かれればどちらも「そうとは限らない」でおしまいです。そこの混同も悲劇のもとです。

1.役者を続けながら生きる
2.声優として食っていくレベルまで売れる
3.アイドル声優としてちやほやされる

これらはどれも違う望みです。歩むべきルートも違ってきます。ただ芝居がしたいなら、別の仕事で働きながら芝居をしたっていいわけです。演劇をやっている人たちなどにはこのタイプが多いでしょう。

声優として食えるレベルまで売れるというのは難しいことですが、ここでは「ちやほや」は必須条件ではありません。私も別にキャーキャー言われる部類の声優ではありません。質の高い仕事ができればいい。実力と運があれば生き延びられる。それだけです。

そして「ちやほやされる」ことが望みならば、それはそれでやることがたくさんあります。CDを出したりイベントをやったり、さまざまな戦略がうまくいけばちやほやされます。食えるかどうかはこれも運です。

私は1と2の混合型といえるでしょうか。食えなくてもなんとかしてやる、と思ってこの世界に入ったのでとくにこうした分類を意識したことはありませんでしたが。

自分がいちばんやりたいことは何ぞや

あなたが「声優になって、あわよくば役者として評価され、あわよくばちやほやもされ」と考えているのなら、もう一度あたまっから考え直したほうがよろしいでしょう。何をやりたいかが全然わかっていないからです。そのとき考えるべきは、自分の本当の望みと、声優という道は諦めるということです。

このあたりは、各々の自己顕示欲や承認欲求と密接に結びついた問題です。だからこその「生き方の選択」なのです。

その見極めをするのにも、まずは「自分がいちばんやりたいことは何ぞや」ということをこそ、より正確に、より自分に厳しく知らなければなりません。

昔うちの事務所に所属していた声優で、面白い男の子がいました。彼は、「僕は役者になんて別になりたくありません。僕はとにかく女の子にモテたいんです。顔は二枚目じゃないけど声はいいから、キャーキャー言われる手段として声優という仕事を選びました」と、マネージャーにはっきり宣言していたのです。

そのときのマネージャーというのが納谷僚介氏だったのですが、僚介氏はその男の子のことを気に入っていました。目的が明快だからマネージャーとしてもやりやすかったのだそうです。アドバイスも「かっこよく見えることをしようよ」「髪型とか服をもっとこうしたら」なんてことが中心です。芝居云々は二の次です。

結局彼はうまく人気がのびず事務所を辞めてしまったのですが、そのときも、マネージャーともどもすっきりしたものでした。目的があってこの世界に来て、その目的が達成できないとわかったから辞める。とても明快です。本人だって納得してこの世界を去りました。

彼のように、ちやほやされる手段として声優という道を選んでいる人はほかにもたくさんいるはずです。でも皆それを明らかにはしない。多くの人は、「自分はキャーキャー言われたいなんて低レベルな望みは持っていない、役者をやりたいという気持ちでこの世界に来ているんだ」と思い込んでいるので、中途半端に「役者でござい」という振る舞いをしているのです。

そうすればマネージャーだって「そうか芝居がしたいのか。ならこのあたりから始めてもらおう。演技の勉強もしてもらおう」と思います。結果望ましい仕事がこない、演技についてあれこれ言われる、そしてフラストレーションがたまる……その繰り返しです。

ちょっとやそっと声をけなされただけでめげてしまうような人なども、そもそも演技を商売にすること自体をそれほど望んでいないのでしょう。しかし、そういう人のほうが何故か声優を志望しやすいようです。

大塚明夫、声優志望の若者に忠言「ちやほやされたいでもいい」

勘違いされがちですが、“アイドル”的な声優としての道も、決して手間や努力のいらない世界ではありません。そういう目標を持っている声優なら、事務所側もそう心得て動かなければいけないのです。

しかし、そういうルートに対しても、自分の欲求が見極められていない人は「私はちゃんとした役者だからそんなことはしたくありません」なんて言ってしまう。じゃあどれだけ芝居するつもりがあるの、と聞くと「声優だからそこまで難しい芝居はできません」「仕事があるかどうかもわからないのにトレーニングなんて……」という反応が返ってくる。

そのような人がいちばん強く望んでいるのは、実は「努力せずキャーキャー言われること」なのです。

「自分が強く望む生き方」をしなさい

繰り返しますが、どんな望みもあっていいのです。「努力せずちやほやされたい」と思うのならそれでいい。それをまっとうできる道に進むべきです。しかしそれはどう考えても「声優」ではない。こんな険しい道を選んでもつらくなるだけです。もっと幸せになれる方法を探したほうがいい。私が言っているのはそれだけの話です。要は、何を掲げるにしろ、それがその人の本当のモチベーションであり、望む生き方ならばいいのです。

昨今では、動画投稿サイトや自主制作ゲームなどで声を使った活動をする人も増えてきました。そういう活動のほうが、もしかしたら手軽に、しかも楽しく人気を集めることができるかもしれません。

大塚明夫、声優志望の若者に忠言「ちやほやされたいでもいい」 外部サイト 大塚明夫「声優の大多数が仕事にあぶれる理由」 山寺宏一「同業者から見ても凄い」圧倒的な実力 大塚明夫「声優として生き残れない若者の特徴」 「大塚明夫」をもっと詳しく

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