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神奈川県の団地で…ドラマ『不適切にもほどがある!』阿部サダヲ&仲里依紗のロケ現場を発見撮

神奈川県の団地で…ドラマ『不適切にもほどがある!』阿部サダヲ&仲里依紗のロケ現場を発見撮 (全7枚)

神奈川県にある団地で、20人ほどの制作スタッフに囲まれていた二人の演技派俳優、阿部サダヲ(53)と古田新太(58)。真剣な表情で台本を読み込み、現場には緊張が走る。しかし、いざカメラが回ると空気は一変。二人は笑顔で会話を交わし、完全に作品の世界に入り込んでいった――。

ドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)が快進撃を続けている。第6話の世帯平均視聴率は、前回に続き番組最高タイとなる8.3%を記録。SNSでも作品に関するワードがトレンド入りした。

「この日の撮影は朝8時に、主演の阿部さんと古田さんの絡みからスタート。ゴミ捨て場でのシーンの撮影のためスタンバイしている仲里依紗さん(34)を、通りかかった団地の住民が立ち止まって見物する場面も。午後には作品の恒例となっているミュージカルシーンの撮影もありました。キャストは穏やかで、撮影はスムーズに進みましたね」(収録に参加したスタッフ)

『不適切〜』は『池袋ウエストゲートパーク』や『木更津キャッツアイ』を生み出した宮藤官九郎(53)が脚本を手掛ける作品。阿部サダヲ演じる体育教師・小川市郎が昭和61年から令和6年にタイムスリップし、今の時代にそぐわない不適切な言動を繰り返しながら令和のコンプラに物申す痛快コメディーだ。

リアルタイムだけでなく、『ネットフリックス』の週間ランキングや『ユーネクスト』の月間ランキングで1位を獲得するなど、見逃し配信でも多くの視聴者を集めている。なぜ、ここまで大きな盛り上がりを見せているのか。キー局のドラマ制作スタッフはこう分析する。

「昭和のオヤジが令和のコンプライアンスに物申すというスタイルは、やはり40〜60代から強い共感を集めます。それでいて、昭和の考え方が全面的に正しいと表現しているわけでもない。クドカンは上手くバランスをとっています」

別のテレビ局関係者はこう語る。

「最近のテレビドラマは個性的な作品が少ない。しかし実際は、一部から批判を浴びるぐらい個性的な作品がウケるし、SNSでもバズりやすい。『不適切〜』の主人公は部活では顧問としてケツバットで部員をしごき、自分の娘を『あばずれ』『メスゴリラ』呼ばわり。働き方改革に対しては『馬車馬とがむしゃら以外に働き方があるか?』とぶっ飛んだセリフだらけで、話題を集めるのは当然です」

令和の価値観に照らし合わせればアウトな発言を連発する主人公だが、そうした姿が他局の作り手側から激励としても受け止められているという。

「今のテレビ制作現場はコンプラを気にしすぎて萎縮(いしゅく)している。テレビ局として、『不適切〜』のような作品を世に出すのは『このままコンプラに振り回されてはいけない』という意思表示になったと思います」(他局のドラマディレクター)

テレビドラマに詳しいライターの田幸和歌子氏は『不適切〜』について「話題性含めビジネスとしては大当たり」と評価した。

「実はクドカンさんはそれほど打率の高い脚本家ではないと思います。小ネタ満載かつ複雑な構成に、途中で作品から離脱する人もいる。その一方で、非常に高い熱量を持ったコアなファンも抱えています。今作ではそうしたコアなファンに加えて、従来ドラマにそれほど興味のなかった中年の層を取り込んだ。なぜ取り込めるかというと、令和の人間が昭和のオヤジから教えてもらう構造になっているから。昭和世代は、気持ちよくドラマを視聴できるんです」

田幸氏はキャストの演技についても高く評価する。

「主人公の娘を演じる河合優実さん(23)はいい役者だと思います。懐かしい匂いのする昭和の女子高生を好演していますよね。今まではコアな映画やドラマ好きに人気がありましたが、『不適切〜』がきっかけで一気にメジャーな存在になると思います」

過激な内容に目が向きがちだが、それだけで終わらないのも特徴だ。

「主人公はタイムスリップした未来で好意を寄せる女性(仲里依紗)が自分の孫だと判明したり、自分と娘が阪神・淡路大震災で命を落とすことを未来の世界で知ってしまったりと、視聴者が先の展開を考察したくなる要素を組み込んでいます。一見粗い作品に見えて、非常に手が込んでいる」(テレビ朝日ディレクター)

大ヒットの裏側には、テレビの黄金時代を彷彿(ほうふつ)とさせる攻めの姿勢があった。

『FRIDAY』2024年3月22日号より

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