〈竹刀やチェーンでボコボコに…「昭和の洗礼」と言われたダンプ松本との試合を、元プロレスラー・愛川ゆず季本人が語る「ダンプさんは大人じゃなかった」〉から続く

2000年代、あどけない顔立ちと100センチのバストで人気グラビアアイドルとして活躍した“ゆずぽん”こと愛川ゆず季さん。

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2022年にはフィットネス大会「ベストボディ・ジャパン」で優勝するなど現在はその筋肉美にも注目が集まっているが、筋トレを始めたきっかけは子供の自閉症、そして自身のパニック障害だった。20歳でデビューしてからずっと人間不信だったという彼女が変わったきっかけとは――。（全3回の3回目／最初から読む）

愛川ゆず季さん©杉山秀樹／文藝春秋

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「辞めました」と言った2日後にドラマの撮影スタート

――プロレスを辞めた後は、芸能の仕事にすぐ戻ったんですか。

愛川事務所に「辞めました」って言ったら、いきなり台本を渡されて、2日後にドラマの撮影が始まって。その時は発狂しました。体もメンタルもボロボロだし、やっと両国での引退でゴールだと思ってやってきたのに何ですぐに仕事を入れるんだ、しかもよりによって一番苦手な演技の仕事なんだという感じで。

でも、そのあとはやりきっているので一番楽しい時期になります。友達のグラドルの浜田翔子ちゃんと遊んだり、そんなに苦労せずのほほんと過ごしていました。子供を産みたいという夢があったから、結婚しなきゃなという思いはありましたけれど。

全然ガツガツこない夫に「付き合ってって言って」

――結婚された相手とはいつ頃知り合ったんですか。

愛川友達だったグラドルの佐野夏芽ちゃんが私に男性を紹介しようとしてくれたんですが、その男性の付き添いできた人と意気投合して。それが今の夫です。プロレスをしている間は誰とも付き合ってなかったので、5年ぐらいぶりに付き合いました。

夫は自分の思っていることをはっきり言わない人なんですよ。全然ガツガツこない。でも男の人から告白はしてほしいじゃないですか。だから「付き合ってって言って」と言った記憶があります。

私自身はネガティブ思考で、いろいろと気にするのですが、逆に彼はポジティブ思考というか何にも考えてないし、のほほんとしている。そこを魅力に感じていました。

結婚まで2年ぐらい付き合ってましたね。結婚の時も私から「プロポーズしてよ」と言わせたんだと思います。しかも親の前で。それを動画で撮って、結婚式で流しました（笑）。

ネットでネガティブになり、パニック障害に

――2017年に結婚され、2018年には第一子を出産されます。そして昨年、お子さんが自閉症であることをブログで発表され、反響を呼びました。

愛川子供が他の子と違うのではと違和感を感じたのは2歳頃でした。「逆さバイバイ」（手のひらを反対向きでバイバイする）やつま先立ち歩きしているのが気になり出して。ちょうどコロナ禍の時期で、誰にも相談できない。夫は「気にしすぎだよ」という感じで一人で悩んでいました。

心配になって毎晩ネットでいろいろと検索するんですけど、悪い情報が目についてどんどんネガティブになっていく。そうやって悩んでいると「いま自閉症は治る」とか、どんどん怪しい情報をクリックしたくなっちゃうんです。そうすると怪しい商品を売ったりするサイトにたどり着いて、またそこで病んでしまう。ネットは良くないですね。どんどんネガティブになる中で、私自身がパニック障害になってしまいました。

――心配ごとがある時、ネットの情報でよりネガティブになることは多いですよね。愛川さんはそこからどう立ち直られたんですか。

愛川パニック障害になったので病院に行くと、先生から「体を動かした方が良い」って言われました。まだコロナ禍でしたけど、夫がパーソナルトレーナーをしていたので「一回見てくれる」と言いました。実はレスラー時代もウエイトトレーニングはやってなかったんです。

出産したこと、あとメンタルも落ちていたこともあって、最初はちょっと動くだけでも息切れして、何もできなくてすぐ横になってました。でも運動習慣自体は自分にはあっていて、汗をかくこと自体がストレス発散になって。筋力がついたというのもあるのですが、マインドがポジティブになっていきましたし、検索もしなくなっていきました。

「ベストボディ・ジャパン」でグランプリに

――そこで筋トレを始めたことが、後にフィットネス大会に出場することに繋がったわけですね。

愛川そうです。大会に出た直接のきっかけは、自分のYouTubeの企画でエステでダイエットをしようというもので、46キロまで痩せることができて、そこで自信を持ったので筋トレを始めたという感じです

――そして2022年に出場した「ベストボディ・ジャパン」ではフィットネスモデル部門でグランプリを獲得します。

愛川初出場で優勝することができて、そこも自信になりました。私は自分でゴールを決めて、そこに向けて突っ走るというのが一番向いているんだなと思います。逆に目標がない時が一番駄目なので、大会の出場は良い目標になったんじゃないかなと思います。

筋トレをすることで精神的にポジティブに

――精神状態を変えるにはやはり筋トレがいいですか。

愛川健康にもつながりますし、本当に鍛えるのはおすすめです。悩みを持っている人はとりあえず筋トレしてみるといいと思います。ただ運動するだけだと、水分が出たり体脂肪が落ちるだけですが、筋肉を強化して代謝を上げて自分の体の形が変わってくるので自信につながります。時間はかかるけど、必ず変わっていくから楽しいですし。

――筋トレをすることで精神的にポジティブになったことで、お子さんのことも人に相談できるようになったそうですね。

愛川うちの子が叩いたり、噛んじゃったりするので、友達の大事なお子さんを傷つけたらダメだと一時は友達とも会ってなかったんです。気を使って。でも精神的に前向きになって、相談や療育に行くようになると、どんどん息子のことも人に話せるようになりました。

それに息子の成長もあります。彼も彼でどんどんと成長しているので。周りにも恵まれていて、保育園のクラスメイトも優しくて、彼のお世話をしてくれる女の子とかいるんですよ。この間の運動会でも、彼はその女の子に手を引かれていて。保育園の先生も優しいですし、みんな優しくて。みんなに子育てをしてもらっている感じです。今は頼りまくっています。

息子を通し、人の温かさや優しさに気づくことができた

――それまで一人で抱え込んでいたものを、周りのサポートを受け入れられるようになった。愛川さん自身がそうした他人の助けを受け入れられるようになったことで楽になったのですね。

愛川実は私はそれまで他人に対してあまり良いイメージを持ってなかったんです。

グラビアをやってきた中で「おっぱい見せて」とかいう変な人もいっぱい寄ってきましたし、ファンだけれど変な写真を撮ってやろうという人もいて。いつも私に近づいてくるのは裏があるんじゃないかと疑ってました。だから20歳でデビューしてからずっと人と関わるのが嫌いで、人間不信でした。

でも今の時代でもこんなに温かい人がいる、こんなに人って優しいんだって知って。息子を通して、やっと気づくことができました。

――お子さんが愛川さんを導いてくれたのかもしれないですね。今後はどんな活動を考えていますか。

愛川筋トレについての活動もしていきたいですし、美容の仕事もやっていきたいと考えています。子供のことについてもニュースで取り上げていただいたことで、同じ境遇の方からDMをいただくようになりました。コミュニティではないですけど、そういう人たちの力になるようなこともやっていきたいと思っています。

INFORMATION

★出演情報

4月21日(日)第4回マッスルビーチ愛媛inマリンパーク新居浜

愛川ゆず季さんトークショー12:15〜12:45

（徳重龍徳）

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