中田カウスが松本人志騒動に言及ファンに手をつけたなら「松本はアウト」

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中田カウスが松本人志騒動に言及ファンに手をつけたなら「松本はアウト」

2024-04-10 08:34

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「僕はアイドル漫才師として世に出て、どれだけ女の子に応援してもらったか。相棒も遊び人だったけど、僕らコンビは絶対客に手をつけなかった。それが師匠の教えでもあった。松本はアウトやて。本当に客、素人に手をつけたのであれば」

性加害疑惑騒動で渦中の松本人志（60）にそう苦言を呈する男。かつて吉本興業の特別顧問を務め、”吉本のフィクサー”とも呼ばれた中田カウス（74）である。’67年に相方の中田ボタン（75）とコンビを組んでデビューし、これまで57年間にわたって吉本で漫才に関わり続け、’14年には上方漫才協会の会長に就任。時には「カラダを張って吉本を守った」という人物が、騒動続きの事務所と松本の問題について、FRIDAYに口を開いた。

「お客を大事にせなあかん、という芸人の意識があったらそういう気分にならへん。松本に師匠がいたら会社の処分以前に破門になってたと思う。芸人なら、相手を気遣うということが大事なんですよ。素人の女の子と揉(も)める。これはもう最低やわ」

あくまでも自身のファンは客であって、手を出すのは言語道断と語るカウス。客席が年配の男女で埋められていた駆け出しの頃は、劇場周辺の若い女性に声をかけ「ネタ見せ」をしてリアクションを探り、若い女性にウケる漫才を追求。その後、ジーパンにＴシャツ姿という当時では画期的なスタイルでブレイクしたことで女性ファンから追いかけまわされる日々が到来するが、そこでも考えに変化はなかったと話す。

「その頃はもう追っかけだらけで、家に帰っても女の子が寄ってくる。言い方悪いけど、僕がその気やったら入れ食い状態ですよ。でも、僕は何もしなかった。彼女たちに育ててもらってたからね」

そんなカウスの哲学とは裏腹に、いつしか芸人たちの「ファン食い」は当たり前の出来事となる。カウスはこの風潮にも眉(まゆ)をひそめる。

「こういうことを咎(とが)める師匠がいなくなってきた。僕は『それはあかん』と思って、14〜15年前にＮＳＣに特別講師として行くようになった。そこで僕は『お客さんを大事にせい。とくに女の子に嫌われる芸人は絶対売れへんからな。100％売れへんからな』って言ってきたんです。
大阪の『よしもと漫才劇場』に行ってみてください。若い女性の客ばっかりですよ。だから若い芸人に言うんです。『ファンの子は疑似恋愛してるねん。裏切ったらあかんやろ』と。そんな意識を持てない芸人はプロではなく素人や。アテンドとかいって女の子を集めて手をつける。本当にそんなことがあったのか？僕は”アテンド”という言葉も知らなかった。松本たちが女の子を用意させてるのもまったく知らない」

松本の周辺で浸透していたと報じられる「アテンド文化」を一蹴したカウス。その松本を見出したのが、大粼洋元会長（70）だ。かつて吉本の最高権力者として辣腕(らつわん)を振るった大粼氏に対しても、カウスは厳しい意見を投げかける。

「今回の松本の件で大粼は『遠くから寄り添うしかない』と言ったでしょ。『ダウンタウンを育てたのは俺や』とか言ってるけど、遠くから寄り添うのは親じゃない。何もしてあげられなくても、ずっとそばにおってやるというのが親でしょ。だから大粼は育てたのではなく操ってたんでしょう。以前にも新聞で『吉本での45年はダウンタウンがおったからや』と言ってたけど、ほんまにダウンタウン以外誰もおらんかったのか。『漫才なんかせんでもいい』とダウンタウン世代に向けて大粼が言ってる間に一生懸命、劇場で漫才をやってた芸人たちが、今の吉本を支えてるんじゃないですか」

また、’19年７月には、闇営業問題をめぐって岡本昭彦社長（57）が会見を開き、５時間半にわたって報道陣の質問に答えた。この会見についても、カウスは大粼氏に憤りを感じているという。

「闇営業事件があった時、会社の経営会議に突然、松本が東野（幸治）を連れて現れたんですよ。それで松本は『記者会見をやってほしい』と言ったんです。経営陣が会議をやってる時に一芸人が入ってくるなんておかしいでしょ。恐らく、大粼が呼んだんでしょう。松本が言い始めたことにすれば、岡本社長に会見を押しつけられるから。実際、会議では大粼は岡本社長に『会見やれるよな』って。これは岡本社長も断られへんやん。社長になったばっかりで記者会見の経験もないのに。
ただ、岡本社長はもうやらなあかんと覚悟して会見に挑んだんでしょう。実はあの会見では、会場の間仕切りの真後ろに大粼がいたんです。それで、後ろからガンガン指示を出してた。僕にも電話をかけてきて、『カウスさん、辛抱してください。全部ひっくり返しますから大丈夫です』と。あの日は大粼から２回電話があったけど、自分が会見から逃げたことを僕に詰められると思ったんや。あの会見で岡本社長は晒(さら)しものにされた。彼はよく耐えたと思うよ」

大粼を社長にしたのが失敗

カウスが「岡本社長が晒しものにされた」という闇営業問題の会見。それを水面下で要求していたのが、松本であり大粼だったというのだ。

「あの会見で岡本社長と大粼が決別したかどうかは本人に聞いてみないとわからんけど、大粼が岡本社長を”捨て石”にしたことは事実やんか。トップが火の粉をかぶるか、あるいは大粼も一緒に会見をするのが当然。何の経験もない岡本社長だけ出すのはおかしい。吉本興業の『創業110周年』のパーティーが大阪であった時、司会の芸人が岡本社長に闇営業の話題を振った。僕は岡本社長に代わって『あの記者会見の岡本社長は見事やった。あの記者会見は大粼がやらなあかんかったんや』と言ったんです。そうすると会場のお客様は『そうやそうや！』って言ってくれました」

大粼氏への批判を続けるカウス。取材では、「（島田）紳助も大粼に潰されたんや」とも語った。その一方で、彼に協力したこともあったと話す。’07年、吉本の創業家と経営陣が対立した「お家騒動」が勃発した時期のことだ。

「あの頃、大粼と二人で飯を食ったことがあった。大粼が『僕は社長になれますかね？』と言うから、『社長になりたいなら頑張ってほしいし、俺も協力する』と言いました。その時は吉野伊佐男さんという穏やかな人が筆頭候補でした。僕は『まずは吉野さんが社長になって、それから大粼がなるといいな』と思いながら、裏で一生懸命、協力した。吉野さんが社長に決まって、大粼は副社長の最有力。そして副社長人事を決める日は、朝からずっと大粼から電話がかかってきて『どうでしたかね。どうでしたかね』って。結局大粼は副社長に決まって、それから社長になった。僕の57年の吉本芸人生活の中で一番大きな失敗は、大粼を社長にしたことや」

大粼氏の社長就任を後押ししたことを「一番大きな失敗」と断言したカウス。同時に、岡本社長への期待も明かした。

「闇営業の時、岡本社長はあれだけの恥をかいた。岡本社長は責任取って辞めようと思うような律儀な人物です。だから僕は慮(おもんぱか)って『責任取って辞める覚悟があるなら、その覚悟でこれからの吉本興業のために社長をやり通してください』と伝えたことがあります。その気持ちでこれからの会社を守っていってほしいなと思ってますし、岡本社長には期待しています」

FRIDAYの取材にカウスが語ったもう一つのテーマが、「吉本鎖国騒動」だ。発端は今年１月、吉本興業に所属する複数の芸人が吉本主催のライブに他事務所の芸人を呼べなくなったとＳＮＳに投稿。「吉本鎖国」がトレンド入りする事態にまで発展した。この一連の騒動に実はカウスが関わっていたという情報もあり、本人に疑問をぶつけた。

「僕は10年前に若手芸人に特化した『よしもと漫才劇場』を作らせていただいて、若い子たちはその劇場の出番を得るために競い合うんです。競い合うということがなかったら、芸人は伸びない。生っちょろいことしたらいかんので、他の事務所の子と遊びでやるなってことです。仕事以外では一緒に遊んでもらってもいい。でも、漫才劇場の舞台に上がるために若手は必死に戦ってる。そんななか、他の事務所の芸人にちょこっと来られると、吉本の若手の真剣勝負の場、という劇場の形が崩れてしまいます」

若手芸人は変わった

吉本の若手が切磋琢磨する場を残すために、カウスはあえて他事務所との交流を絶つべきという考えを持つ。一連の話からは、劇場を何よりも大切なものと考えるカウスの芸人哲学が垣間見える。

「劇場とお客さんありきの吉本ですから、やっぱり劇場が一番大事なんです。劇場のお客さんがいなければ名人芸なんか生まれない。劇場から離れてテレビばっかり出ている芸人は忙しくてネタ作りもネタを洗練させることもできず、劇場に出るのが怖くなる。そういう芸人はテレビの仕事がなくなっても、劇場に帰ってこられへん。帰ってきても劇場はテレビより先をいっているのでウケない。
確かにテレビが全盛の時代もあったけど、今は違う。だから最近は『ダウンタウンになりたい』という若手はいないに等しい。皆、劇場でトップを獲りたいとか、全部の賞レースで優勝をし結果を残し、全国ツアーをやりたいと言っている」

このカウスの話に呼応するかのように、昨年の『Ｍ-１グランプリ』で優勝した『令和ロマン』は、「テレビは基本的には出ない」と宣言している。松本が活動休止中の吉本興業について訊くと、「今まで大粼に抑えられていた芸人や、これから出てくる若手芸人はなんぼでもおる」と語ったうえで、吉本についてこう総括した。

「吉本は日本の宝ですよ。というのは、これだけ定期的に世の中を騒がせて、みんな面白がって批判をネットに書き込んでる。それがストレス解消になるという意味では、こんなに人を助ける会社はないですよ。うちのスキャンダルはわかりやすいしね。松本のもわかりやすいし、闇営業もわかりやすい。こういう単純なスキャンダルを見ると、誰もが記者になれた気持ちになるんですよ。だから、実はみんな吉本が好きやねん」

大御所の言葉を、松本と吉本興業はどう受け止めるのか。

『FRIDAY』2024年4月19日号より