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妹役に注目株がズラリ

芸能リポーター・島田薫注目の若手女優はたくさんいますが、１月クールの”月９”『君が心をくれたから』（フジテレビ系）で山田裕貴（33）の妹役を務めた出口夏希（22）がイチオシです。整った顔立ちの正統派ですけど、ドラマ『舞妓さんちのまかないさん』（Ｎｅｔｆｌｉｘ）での舞妓役であったり、映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の勤労学生の役であったり、昭和の装いもよく似合う。ビジュアル的に幅広い役ができますね。演技の面では、年相応の女の子の役をものすごく自然に演じられるのがポイント。すでに４月期ドラマ『ブルーモーメント』（フジ系）のヒロインに抜擢されており、今年は本格的にブレイクすると思います。

ドラマウォッチャー・北川昌弘個人的な推しで言うと、僕は『新空港占拠』（日本テレビ系）で「獣」という武装集団の「兎」役で出演した安斉星来(せいら)（20）に注目しています。ショートカットの、かっこいい系の美人です。もう一人は、深夜ドラマ『先生さようなら』（日テレ系）にヒロイン役で出ていた北香那（26）。彼女は過去にドラマ「バイプレイヤーズ」シリーズ（テレビ東京系）で、遠藤憲一（62）や松重豊（61）ら大物俳優に交じって強烈な中国人役を見事に演じていて、とんでもないバケモノだと思いましたね。映画『春画先生』では濡れ場にも挑戦していて、この世界で勝負したいという意欲が見えてきます。どんなに小さい役でも人の目を引く不思議な魅力があり、女優としてのポテンシャルが抜群に高い。

ライター・大山くまお河合優実（23）もポテンシャルは素晴らしい。話題になった宮藤官九郎脚本のドラマ『不適切にもほどがある！』（ＴＢＳ系）で、昭和のヤンキー女子高生役を見事に演じました。この作品で一気に知名度が上がりましたが、ドラマや映画好きの人からしたら彼女は「やっと見つかった」という感じでしょう。ＮＨＫドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』ですでに主演していますし、以前からいろんな映画で存在感を発揮しています。どんな役でもこなせますし、上手いだけではなく、独特な雰囲気が人を惹きつけます。

島田河合は本当に昭和の子で、タイムスリップしてきたのではないかというくらい役にハマっていましたね。映画の『由宇子の天秤』や『ＰＬＡＮ75』など社会派やシリアスなドラマでも良い演技をしていますね。

北川演技が上手で役にハマりすぎてしまい、女優名より役で覚えられるのが玉にキズ。業界での評価はいいかもしれないけど、ドラマの主役として活躍するなど、誰もが知っているような女優にはなりにくい気がします。

島田センターに立つようなブレイクと、脇役で光るブレイクがあると思いますが、河合はどちらかというと後者ですね。この人がいると安心、作品が締まるというような良い女優になっていくと思います。

大山映画女優として伸びるかもしれませんね。でもまだ23歳だから、将来どうなっていくのかはわからない。

島田『ドラゴン桜２』（ＴＢＳ系）に出ていた志田彩良（24）も、玄人ウケするタイプですね。華やかなヒロインより、作り込まない自然な役が似合います。ただ１月クールのドラマ『消せない「私」』（日テレ系）で強い意志を持って復讐を遂げる主人公という新境地を開拓しています。良い作品と巡り合えば大バケするかもしれません。

大山蒔田彩珠(あじゅ)（21）も同タイプで、ひねくれた役や繊細な女性役が多く、山田太一や木皿泉、坂元裕二の作品に出ています。作家に選ばれる女優ですね。朝ドラ『おかえりモネ』やＮｅｔｆｌｉｘのドラマ『忍びの家』で主演の妹という重要な役を任されています。

島田さっきの出口もそうですが、妹役は注目されやすい。原菜乃華(なのか)（20）は、『ナンバＭＧ５』（フジ系）で間宮祥太朗（30）の妹役を演じて知名度が一気に上がった印象があります。『Ｓｉｌｅｎｔ』（フジ系）で目黒蓮（27）の妹役を演じた桜田ひより（21）も同作で注目を集めました。

大山とくに朝ドラの妹役や親友役は長期間にわたって出演するので、視聴者の記憶に刻まれやすい。『あさが来た』では吉岡里帆（31）、『なつぞら』からは清原果耶（22）、『ちむどんどん』では上白石萌歌（24）と、妹役や親友役から売れっ子女優が多数輩出されています。

「ネクスト広瀬すず」候補は17歳

島田日曜劇場『さよならマエストロ』（ＴＢＳ系）で、特技のバイオリンを披露していた當真あみ（17）は、はっきりした顔立ちで、「カルピスウォーター」のＣＭキャラクターに選ばれただけあって、透明感がすごい。まだ女優歴が浅く、ドラマ初出演は、’22年放送の『妻、小学生になる。』（ＴＢＳ系）。中学生の天才小説家という役で、メインキャストではなかったけど、勢いのある演技で強く印象に残っています。実力とビジュアル両方を兼ね備えているから、どんな作品でも、彼女が登場すると全部持っていかれる。そんなところは広瀬すず（25）を彷彿させますね。

北川わかります。彼女は少ししか出ていなくても印象に残る。『オールドルーキー』（ＴＢＳ系）の第５話にフェンシング選手としてゲスト出演したとき、現役のフェンシング選手だと思って、演技に見入ってしまった。

大山高校生くらいの年齢だと、現場の評価がどれだけ高くてもドラマの主演には起用しづらい。そうすると、受け皿は学園ドラマになってきます。’19年放送の『３年Ａ組-今から皆さんは、人質です』（日テレ系）には、福原遥（25）や永野芽郁（24）、今田美桜（27）など今の売れっ子女優がたくさん出演していました。同じように、昨年放送されたドラマ『最高の教師１年後、私は生徒に■された』（日テレ系）に生徒役で出ていた當真や茅島みずき（19）は売れていくと思います。

島田茅島は昨年、「若手女優の登竜門」と言われている『ゼクシィ』のＣＭガールに選ばれましたね。身長が170?あり、舞台映えもします。’21年に舞台『ロミオとジュリエット』にジュリエット役で出ていましたが、落ち着き具合が半端なく、見応えがありました。あのときはまだ16歳でした。もう一人、舞台で輝いているのが福地桃子（26）です。お父さんの哀川翔さん（62）の持つＶシネマの雰囲気はなく、さわやかです。今年、ロンドン公演が控えている舞台『千と千尋の神隠し』で千尋を演じるクワトロキャストの一人に選ばれました。演技も見事なのですが、彼女の鈴の音のような声がまた素晴らしい。ほかの３人の千尋は橋本環奈（25）、上白石萌音（26）、川栄李奈（29）と大物ばかりですが、福地はあどけない雰囲気を生かした、ピュアで可憐な千尋を作り上げた。

北川あの３人と一緒に選ばれただけですごいですね。でも、僕はもっと早く、’19年に朝ドラ『なつぞら』に出たときに一気に売れていくと思っていましたけどね。

島田彼女はとにかくのんびり屋なんですよ。リハでもスタッフから「福地さん、急いでください」と注意されるくらい。取材をさせてもらったことがありますけど、いい意味で空気を読まない。周りを気にせず、大勢に囲まれていても自分のペースで話せる。オーディションでグランプリを獲る人って、大体こういう自分の世界がある人です。

大山その”大物感”、やはり哀川さんの娘ですね。彼女も脇役で存在感を発揮していますが、そろそろ代表作がほしいところ。趣里（33）みたいに30歳くらいでブレイクするかもしれませんね。

ブレイクの鍵は”ギャップ”

大山アイドル出身者にも有望株はいますね。山下美月（24）は今年、『乃木坂46』を卒業して、女優業に専念するようです。日曜劇場『下剋上球児』（ＴＢＳ系）に球児の姉役で出ていましたけど、アイドルオーラを見事に消していて素晴らしかった。本当に田舎にいそうな感じでした。『乃木坂46』のエースなのにね。オーラの出し入れができる人だなと思います。あと、指原莉乃（31）プロデュースのアイドルグループ『=ＬＯＶＥ』出身の齊藤なぎさ（20）というダークホースがいます。『明日、私は誰かのカノジョ』（ＴＢＳ系）で演じたホスト狂いの女の子役が見事でした。実写版『推しの子』ではメインヒロインのルビー役が決まっていて、Ｚ世代から絶大な人気を誇っています。彼女の懸念点は、ビジュアルがアイドルすぎて、役柄が限られていること。山下のようにギャップを見せられたら、ワンランク上に行けそうです。

北川モデルの生見愛瑠(ぬくみめる)（22）も、年相応のギャルっぽい女の子役が多かったけど、『日曜の夜ぐらいは…』（テレ朝系）でちくわぶ工場で働く地味な女性を演じてブレイクしましたしね。

島田１月クールのドラマで一番ギャップを見せてくれたのが白河れい（21）です。貴乃花光司（51）と河野景子（59）の娘で、華があるのに、『婚活１０００本ノック』（フジ系）で演じたオタク気質の編集者役が実にハマっていた。眼鏡をかけ、口が悪くてクセが強い。劇団出身の女優さんが演じているのかなと思っていたから、６話くらいで彼女だとわかってびっくりしましたよ。この世代は演技が上手い優等生タイプが多い。ブレイクするには自分の個性や演技の幅が大事になってきます。そこに留意して、今日名前が挙がったみなさんには、一人でも多くブレイクしてほしいですね。

『FRIDAY』2024年4月19日号より

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