初の単独来日公演

韓国の5人組ガールズグループ・NewJeansが6月26、27日に東京ドームで初の単独来日公演を開催する。本公演の初日にはYOASOBI、2日目にはロンドンを拠点に活動するシンガーソングライターのリナ・サワヤマがゲスト出演。NewJeansの楽曲製作に参加しているプロデューサーの250（韓国語読みでイオゴン）がオープニングDJを務めるというから豪華だ。ただ、先日、メンバーのHYEIN（ヘイン）が足の負傷により当分の間、活動を休止すると発表。心配の声も上がっている。

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NewJeansの来日公演はこれまでに22年10月のKCON2022JAPAN、11月のMAMA（MnetAsianMusicAwards）、12月のAAA（AsiaArtistAwards）、昨年3月の第36回マイナビ東京ガールズコレクション、8月のサマーソニックがあったが、これらは他のアーティストも出演するジョイント公演だった。それがいきなり単独公演を東京ドームで開催すると発表したため音楽業界に強い衝撃が走った。

NewJeans（Instagramより）

ライブ事業に詳しい音楽ライターがこう話す。

「同じく韓国の4人組多国籍ガールズグループ・aespa（エスパ）も23年8月に東京ドーム2days公演を成功させましたが、その1年前に横浜でショーケースを開催して日本のファンの反応をリサーチしています。ふたをあけたら4万席をめぐって92万通の応募が殺到する人気ぶりで、当時から東京ドームは確実と言われていました。NewJeansは昨年8月にアメリカのシカゴで開催された全米3大野外ロックフェスに数えられるロラパルーザに出演して7万人を前にパフォーマンス。その後、来日して8月19日に千葉・幕張で開催された日本最大級のフェス・サマーソニックに出演して3万人を熱狂させました。いきなり東京ドームというのはアイドルグループでは前例がありませんが、国内の音楽業界人たちが気付かないところでNewJeansの人気が日本でも過熱していることがこれで証明されました」

サマーソニックと言えば、会場に“NewJeansおじさん”と呼ばれる中高年男性が大勢集まったことで話題となった。会場入りしていた大手芸能事務所社員がこう証言する。

ライブは命懸け参戦

「NiziUやaespa、IVE、LESSERAFIMなどK-POP系ガールズグループのコンサートは10代から50代、60代という幅広い年齢層の女性ファンの参加が目立ちますが、サマソニのNewJeansのステージでは、40代や50代の男性ファンの姿をよく見ました。私もNewJeansの姿を少しでも近くで見たくて炎天下の中、ステージ前に3時間ほど並んで本番を待ちましたが、周囲のおじさんが熱中症でバタバタ倒れるなど修羅場状態。まさに命がけの参戦でした」

“NewJeansおじさん”とはこれまでK-POPアイドルに関心のなかった中高年男性が、NewJeansだけ特別扱いしてファンになってしまった現象を指す。K-POP推しを長らく続けてきたベテランファンは「K-POPの歴史を踏みにじっている」「NewJeansだけ特別扱いするなんてK-POPへのリスペクトが足りない」と批判したが、他のK-POPアイドルと違いNewJeansには中高年男性を引き込んでしまう魅力があるとも考えられるのだ。

特に“NewJeansおじさん”が崇拝しているのがプロデューサーのミン・ヒジン氏だ。もともとは、NewJeansが所属する大手芸能事務所「HYBE（ハイブ）」のライバル会社となるSMエンターテインメントのアートディレクターとして、少女時代やSHINeeらを担当。

その後、HYBEに引き抜かれNewJeansを生み出した社内レーベル「ador（アドア）」を率いることになった。繊細なアート感覚の持ち主ながら大胆なアイドル戦略を打ち出すやり手として知られ、NewJeansについても「下手なラップはさせないし、これまで韓国でありがちだった音楽やダンスとは一線を画す」として従来のK-POPにはなかった斬新なアイドルグループをデビューに導いた。ささやきのような優しい歌声、流れるような優雅なダンス、目を奪うキュートな笑顔……。中高年男性がいきなりNewJeansにドハマりしてしまうのも無理はない。

NewJeansは韓国人メンバーのミンジ、ヘイン、ヘリン、豪出身のベトナム人のハニ、同じく豪出身の韓豪ハーフのダニエルからなる5人組。22年8月にミニアルバム「NewJeans」でデビューし、収録曲の「Attention」「HypeBoy」「Cookie」「Hurt」、23年1月に発売したシングル「OMG」収録の「OMG」「Ditto」、23年7月に発売したミニアルバム「GetUp」で「NewJeans」「SuperShy」「ETA」「CoolWithYou」「GetUp」「ASAP」を発表しYouTubeのミュージックビデオは続々と1億回を突破している。

NHKが歴史的快挙

Spotifyの月間リスナーを調べると、国内で人気のKingGnuが574万人、Mrs.GREENAPPLEが594万人、YOASOBIが877万人、CreepyNutsが945万人であるのに対し、NewJeansは1667万人とケタ違いの強さを見せている。（8日現在）

昨年末のNHK「紅白歌合戦」に特別枠で出演し、YOASOBIの大ヒット曲「アイドル」のステージで溌剌（はつらつ）としたダンスを披露したことも記憶に新しい。

「放送直後から『K-POPアイドルが大勢出ていてYOASOBIの姿が見えない』という苦情が出ていましたが、StrayKids、SEVENTEEN、TWICEの日本人メンバーであるミナ、サナ、モモ、LESSERAFIM、NewJeans、NiziUらが共演するステージは韓国でも前例がありません。NHKは歴史的快挙を演出したといっても過言ではないでしょう」（同）。

NewJeansの人気にあやかりたいフジテレビは「めざまし8」の主題歌としてNewJeansの新曲「BubbleGum」を抜擢し、8日にはメンバー5人が番組冒頭に出演して抱負を語った。日本のメディアによるNewJeans詣でに拍車がかかっているのだ。

東京ドームでの公演時間は2時間30分で、計24曲のうちメンバーはソロ曲も披露するという。前出の音楽ライターが溜め息をつく。

「昨年夏のサマーソニックの際、NewJeansの出演が発表されるやいなやチケットの応募が数万規模で動いたといいます。今回の東京ドーム公演はそれを上回るのは必至で空前の争奪戦となるのは間違いありません。これにYOASOBIのファンも加わるとなるともうお手上げです」

NewJeansおじさんがチケット難民化するのは必至と言えそうだ。

デイリー新潮編集部

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