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TOKIO会見で山口達也氏を拒絶したメンバーは?松岡昌宏の強硬な態度
〈“あの謝罪会見”の46分間、山口達也は本当は何を考えていたのか「いつかTOKIOに戻れるのでは」という気持ちが露わになった“決定的な仕草”とは〉から続く
2018年4月、未成年者に対する強制わいせつの容疑で書類送検された山口達也(52)は謝罪会見で、「私の席がそこにあるのであれば、またTOKIOとしてやっていけたら」と甘い発言を繰り返し、世間から激しいバッシングを受けた。
【当時の写真】目に涙を浮かべながら、もっとも強硬に山口を拒絶したメンバーは…
その5月1日に起訴猶予処分が決定したことを受けて、翌2日、城島茂、国分太一、松岡昌宏、長瀬智也の4人が会見を開いた。
セッティングも、山口さんの会見とは違った
5月2日、連帯責任として都内ホテルで謝罪会見を開いた4人は、席の前に立つと、被害者とその家族にそしてファンや関係者らに謝罪、揃って深々と頭を下げる。リーダーの城島さんが会見を開いた意図を説明する間、松岡さんは怖い顔で目を見開きまっすぐ前を見つめ、長瀬さんは視線を落としていた。
4人は黒のスーツに黒のネクタイ、白のシャツという山口さんと同じ姿で現れた。2016年1月に行われたSMAPのいわゆる“公開処刑”での姿が思い出される。しかしSMAPはそれぞれ黒地に異なる模様の入ったネクタイだったのに対して、TOKIOは全員が真っ黒だ。
©文藝春秋
会見場のセッティングも、山口さんの会見とは違った。4人には一段高くなった席が用意され、紫の布がかけられたテーブルと椅子が置かれていた。何もない場所に立ち尽くした山口さんと差をつけることで、4人のイメージを少しでも守ろうとした事務所の思惑が透けて見える。
最初に口を開いたのは、リーダーの城島さん。彼は山口さんから辞表を託されてもいた。
「山口達也の口から出た言葉が『TOKIOを辞めます』という言葉でした」と辞意の表明があったことを紹介したが「辞めてくれ、と言えない私たちがいた」と苦渋の表情で心中を吐露した。
「甘いことを言った彼を見て、さすがに信じられなかった」と目を見開いて顔を歪めた表情には、それまで見たことがない山口さんの姿への驚きが滲んでいた。
「たぶん今これ、山口が見てる」と話す時は、5人での活動を思い出したのか声も表情も穏やかだったが、すぐに眉間にシワを寄せて「この先どうするのか、まだ答えは出ていません」と視線を会場に走らせる。
質疑応答でも、思い出話では微笑みも見せたが、今後の現実的な対応の話になると早口になり、目つきも厳しいものに変わった。
山口さんの復帰について、4人の中で最も迷っているように見えたのも城島さんだ。
マイクを握る左手の肘を何度も右手で支える仕草を見せ…
「責任感が強いやつだった」と過去形で話し、「自分から辞めると言わないといけないと思ったのだろう」と言う時は自分を納得させるように頷きながら話す。
その一方で、「TOKIOは甘い」「リーダーは甘い」という声は受け止めるとも発言する。
TOKIOとしての今後についても「メンバーそれぞれの仕事を責任をもって、誠心誠意やるしかない」と明言を避けた。
それでも、城島さんは会見中にはマイクを握る左手の肘を何度も右手で支える仕草を見せた。山口さんが復帰できないことは頭ではわかっていて、動揺する自分の心をなんとか落ち着かせようとする仕草に見えた。
続いてマイクを持った松岡さんは、話し出す前に短く音を立てて息を吸った。これは、強いストレスを感じている時に特徴的な仕草だ。口調は淡々としていたが、一言ごとに口元をきつく結ぶ。
6日前の山口さんの会見について「甘ったれたあの意見はどこから出ているのか」と完全否定し、首を横に振る。TOKIOに戻ることはありえない、という強い気持ちが見て取れる。
「甘えの根源がどこにあるのか」「甘えの根源が僕らTOKIOだったとしたら、そんなTOKIOは1日も早くなくしたほうがいい」と真っ赤に充血した目で前を睨んで歯を食いしばり、涙をこらえようと顎を上げながら話す。
ずっと一点を見つめるように話していたが「聞かれたことはすべてお答えしようと思っていますので、なんでも聞いて下さい」と記者たちに話しかける時には会場を見渡した。
それでも、山口さんに対する態度は松岡さんが最も強硬だった。
事件が発覚して警察の取り調べが始まった後もメンバーに伝えず、仕事も続けていたことについて「なぜすぐに連絡をくれなかったのか」「どういう気持ちでテレビに出ていたのか」と前のめりで訴え、「自分にはそのメンタルはないです」と唇を震わせて断言する。
辞表についても「僕が同じ立場なら、その辞表を会社に出せるのか、ずるい」と理解不能だと話した。
「悪いのは彼」「まず自分と向き合ってくれ」と語気荒く突き放す姿からは、見限るというより「もう無理だ」という怒りが読み取れる。それまで培ってきた仲間意識や信頼感はあるものの、その全てが裏切られた悲しみと、自分たちが山口さんを止められなかった悔しさがないまぜになっていた。
「彼の甘さがにじみ出ていたような気がします」
感情がエスカレートしていく松岡さんとは対照的に、長瀬さんは最初から最後まで淡々としていた。
言葉は厳しいが、感情を呑み込むように低い声で一語一語ゆっくりと会場中に視線を送りながら話す。左肘を曲げ手の甲を背中に当てて自分を落ち着かせようとする仕草もあったが、それでも時折身体は左右に揺れていた。
山口さんの会見については「しっかり拝見しました」と言い、「やはりお酒のせいにしてしまった」と目をつぶって首を傾げ、「彼の甘さがにじみ出ていたような気がします」と視線を落とした。目をつぶったのは、そんな姿を見たくないという気持ちの表れだろう。
質疑応答でも長瀬さんのコメントは短かった。辞表を見た時は「23年以上一緒にやってますから、やってましたから」と過去形に言い直し、「いろんなことが頭をよぎりました」とすでに5人での活動は諦めているように見える。
事件発覚後に仕事のために海外へ向かう必要があった長瀬さんは、情報番組でコメントしている城島さんや国分さんを見て「隣にいれないことが苦しくなりました」と口を一文字に結ぶ。
バンド活動について聞かれると「彼(山口さん)が演奏する音がないと全く形にならない」と言うものの、「これからのことは4人でまたゆっくりと考えながら、話し合いながら」と4人での今後を見据えた発言をした。だがこの時、彼はTOKIOというグループの一員でいる意味を見失ったのかもしれない。
一貫して山口さん本人よりも、グループの他のメンバーや被害者やその家族らの気持ちに配慮する様子を崩さなかった長瀬さん。謝罪の時も誰よりも長く深く頭を下げた。
最後にマイクを握った国分さんは、力のない怯えたような目をしていた。当時は朝の情報番組でMCを務めており、会見の前にも事件についてすでにコメントをしていた。
「ここ数日、複雑な状況でしゃべっています」と率直に話すが、憔悴した顔で口元は引きつっている。声に力はなく、表情は緩慢だった。
それでもメンバーの中で唯一「山口を見捨てることはできません」と明言したのが国分さんだった。
「手を差し伸べてしまいそうになることもあります。それはいけないんだとわかっていますが……」とくぐもった声で話し、「まだ冷静ではない」という時も顔からは感情が抜け落ちていたが、続けて視線をあげて緊張感をみなぎらせ、「山口を見捨てることはできません」と言い切った。
感情的な温度差は4人の中に明らかに存在した
質疑応答でも「辞表を受理するとしても、脱退したとしても、今まで頑張ってきたやつだと思っているので」と判断を保留し、「見守る責任というのはあると個人的には感じています」と4人の中で最も山口さんに寄り添うスタンスを見せた。怒りよりも、心配が勝っているようだ。
「逃げ出したくなったこともあった」と話し、山口さんを擁護していると批判されかねない発言への不安を滲ませながらも、最後まで寄り添うスタンスは崩さなかった。
会見では、ジャニー喜多川社長(当時)が発表したコメントについても質問が飛んだ。「私自身はすべての所属タレントの親としての責任を負いながら、今後も彼らがひととして成長できますよう、支援し続ける」というものだったが、記者は「ジャニーさんがコメントしてくれたことに対してどう思うか」と配慮に満ちた質問をするのが精一杯だった。
城島さんはジャニー社長と電話で話したことを明かし「『大丈夫なの、明日会見なんだろう、頑張れよと』という風に励まされた……ような感じでした」と首を傾げた。頑張れという言葉が状況にそぐわず、社長の意図を計りかねたのだろう。
松岡さんは「親にそんなコメントを出させるなんて、情けない気持ちで一杯です」と述べ、城島さんも「大丈夫なのかと言われた自分たちが申し訳なく」「まだ心配させているんだ」と眉間にシワを寄せてうつむく。長瀬さんは「申し訳ない気持ちです」とストレスからかスッと短く息を吸った。
城島さんは会見を主導したのは自分たちだと主張したが、事務所の意向がなければ会見を開くことは難しい。その力関係は、こんなところに滲んでいた。
山口さんに対する感情的な温度差は4人の中に明らかに存在した。それでも、全員が山口さんへの思いを語り、同時に彼の甘えを指摘した。仲の良さを売りにしてきたTOKIOだが、メンバーを見捨てることは「冷たい」という批判を招きかねない状態だった。一方で、許すムードを作っても「甘い」という非難は避けられない。
どちらのリスクも最小限に抑える意味で、検察の処分が決まり、山口さんが辞表を出したタイミングでの会見となったのだろう。
山口さんの会見に対する世間の反応を見て「切り捨て」を決断し、苦悩する彼らの姿を見せることで同情を集める結果になった。
2つの会見はTOKIOが「4人グループ」として活動していくために必要な儀式だった。
(岡村美奈)
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