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「SHOGUN」で日本の描写巡り奮闘した真田広之 裏には米への忖度の悔しさか

「SHOGUN」で日本の描写巡り奮闘した真田広之 裏には米への忖度の悔しさか

2006年、映画『亡国のイージス』でブルーリボン賞の主演男優賞を受賞した真田広之

「あなた方から受け継いだ“情熱と夢”は海を渡り、国境を越えました」

日本時間の9月16日におこなわれた米国のテレビ番組を表彰する「プライムタイム・エミー賞(通称・エミー賞)」の授賞式で、俳優の真田広之はこう話した。

真田がプロデューサー兼主演を務めた配信ドラマ『SHOGUN将軍』(Disney+ほか)が、作品賞(ドラマ部門)、主演男優賞など計18部門を受賞。その喜びのスピーチだった。

『SHOGUN将軍』は、戦国大名を中心に展開する時代劇ドラマ。セリフの大半が日本語になっており、真田自ら“正しい日本”の描写を追求すべく、奮闘したことが受賞とともに報じられている。

「授賞式で『あなた方』と言ったことは、感慨深かったです。結局、実現しませんでしたが、当初、真田さんは『SHOGUN将軍』を撮影するにあたり、所作指導として、林与一さんにお願いしていたんです」

こう話すのは、ある芸能事務所関係者。林といえば、日本舞踊「林流」の宗家であり、『必殺仕掛人』シリーズの出演でも知られる時代劇の大物役者だ。

「真田さんかねての希望でしたが、配信元のディズニー側が『林さんは高齢すぎる』という理由でNGを出したんです。林さんは、後日、真田さんから電話を受けて『先生が来てくださるとばかり思っていました』と謝られたことを話していましたよ」(前出・芸能事務所関係者)

2003年公開の『ラストサムライ』に出演し、40代で本格的なハリウッド進出を果たした真田。並々ならぬ“思い入れ”について、面識のある映像関係者がこう振り返る。

「2010年ごろ、真田さんが50歳くらいのとき、ニューヨークでお会いしてお話ししたんです。そのとき口にしていたのが『早くジジイになりたい』ということでした。それは老け役をやりたいということではなく、米国のショービジネス界で、企画を通せる立場になりたいという意味でした。

日本で一流俳優だった真田さんは、ハリウッドで悪役だろうが脇役だろうが、どんな役でも引き受けて、知名度を上げてきました。現在、ハリウッドで本格的に映像プロデューサーとして活躍している日本人は、奈良橋陽子さんとドラマ『HEROES』で知られるマシ・オカさんくらい。真田さんは、それに続く存在を目指していたわけです」

そう強く思ったきっかけは、自身の周囲にいた「日本人ハリウッド俳優」の存在だったという。

「ハリウッド映画『SAYURI』(2005年)で、日本についての描写に大きな齟齬が出ていたことが許せなかったんです。出演した渡辺謙さんや桃井かおりさんらは違和感を覚えていたはずなのに、次に使ってもらえなくなるのを恐れて制作側に注意できない。それで、『自分が作るなら、忖度せずに徹底したい』と、真田さんは話していました。

今回の『SHOGUN将軍』では、衣装スタッフから床山に至るまで、全部日本からアメリカに連れていくほどの本気ぶりでしたが、それは真田さんが感じた忖度に対する悔しさがこめられていたのでしょう」(前出・映像関係者)

日本人として“介錯”を成し遂げたというわけかーー。

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