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「大怪獣のあとしまつ」にはなぜ褒める声が少ない?映画批評家が解説

「大怪獣のあとしまつ」にはなぜ褒める声が少ない?映画批評家が解説

山田涼介と土屋太鳳が主演した期待の大作映画「大怪獣のあとしまつ」が大変なことになっている。4日の公開直後からSNSでは酷評が相次ぎ、Yahoo!映画のレビューも2点を切ろうかという大惨事。どこを見ても褒めている声が見当たらないその理由を、映画批評家の前田有一氏が解説する。

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「宣伝と中身がまったく違っていたのが原因でしょう。例えば予告編には庵野秀明作品でおなじみの太い明朝体フォントを使い、政府高官が続々出てくるなどまるで“シン・ゴジラ”っぽい本格SF作品だと誤解しても仕方のない演出が見られます。しかし実際はチープなナンセンスギャグ映画。これでは話が違うだろうと観客が怒りだすのもやむなしです」

「時効警察」シリーズの三木聡監督が、自身のアイデアを脚本化した特撮映画。怪獣が退治された後に残された巨大な死体の処理を巡り、政治家や官僚たちが右往左往するさまをコミカルに描く。現場で活躍する特務隊員を山田涼介、その元恋人で環境大臣秘書官を土屋太鳳、総理大臣役を西田敏行が演じるなど豪華キャストが見ものだ。また、映画会社の松竹と東映が創立以来、はじめて共同で配給する「ダブルネーム」の話題作でもある。

「つまりはたから見れば、ゴジラを日米で大成功させた東宝への対抗心あふれる企画だと感じられるわけです。だらしなくひっくり返った“大怪獣”の姿や、そのあとしまつで迷惑をこうむる側を主体にした点を見れば、やりようによっては相当挑発的な作品にもなりえた。せっかく初めて2社がタッグを組んだのですから、いっそその路線を突き詰めて“ライバル”を皮肉って笑いに変えるくらいの度胸があれば、一矢報いることもできたかもしれません。しかし実際は挑発どころか、中途半端に原発問題と重ねたりなど、原発事故を暗喩して社会派としても高評価されたシン・ゴジラの二番煎じのようなことまでやっている。“挑戦者側”の企画としては、あきらかに進む方向を間違えたように思います」(前田氏)

類いまれなる駄作の刻印を押された記念碑的作品。国内興収ランキング初登場1位になったのがせめてもの救いだが、このままでは2社とも炎上の“あとしまつ”に悩まされることになりそうだ。

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