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中島みゆき「自作の解説」嫌いなワケ「家なき子」主題歌の僕の正体とは

きょう2月23日は、シンガーソングライターの中島みゆきの誕生日である。年齢をほとんど感じさせない人だけに、今年で70歳を迎えたということに驚かされる。

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彼女の代表曲のひとつに「空と君のあいだに」がある。いまから28年前、1994年に放送されたドラマ『家なき子』の主題歌としてつくられ、大ヒットしたナンバーだ。この曲ができるまでにはこんなエピソードが残っている。

中島みゆき「自作の解説」嫌いなワケ「家なき子」主題歌の僕の正体とは
「中島みゆき2020ラスト・ツアー結果オーライ」(2022年)

「自作の解説」が嫌いな理由は…

中島が主題歌の依頼をテレビ局から受けたとき、決まっていたのは、当時子役だった安達祐実が主演で、彼女が犬を連れているということぐらいだった。曲を書くとなると拠り所は犬以外なく、そこで「犬は最終回まで必ず出ますよね?」と局側に確認した上で、犬の立場で書くことにしたという。

犬の目線からすれば空は高い。ここから「空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降る」という、あの印象深いフレーズが生まれたのだった。もっとも、中島に言わせると《犬はもちろん取っ掛かりであって、実際に書く時は人間の立場じゃなきゃ無理ですから、(引用者注:歌詞に出てくる)僕=犬ではないんですけどね》とのことだが(※1)。

これはいままでに何度か本人がインタビューや対談で語っており、ファンのあいだではわりと有名な話かと思う。ただし、中島みゆきは自分の作品を解説することがあまりないだけに、こうしたケースは珍しい。かつて中島は著書で、自作を解説するのは嫌いだと書き、その理由を次のように彼女ならではのたとえ方で説明していた。

《絵に例えてみるとね。たとえば海を描いた絵を美術館に展示してから、その前に立って、観に来るお客さんにいちいち「いやー、実はここんとこに船も描くつもりだったんですけど」とか言うよりさ、描けばいいじゃん。船を。

画家は船を描いた。
でも観客からは単なる海の絵にしか見えなかった。
画家は解説なんかしなかった。
ある日一人の客が、そこに船を見た。
その客の心の中の、船を見た。

――そういうふうに詞を書いてみたいわ。事実と真実の距離、なーんて言っちゃうとキザだけど》(※2)

シリアスな歌とは対照的なキャラクターで人気に

中島みゆきの詞については、これまでに評論家など多くの人がさまざまな解釈を繰り広げてきたが、それは本人が語らないからというのもありそうだ。そもそも取材を受けることも少なく、テレビで歌うこともめったにない。

かつては『中島みゆきのオールナイトニッポン』などラジオ番組で、シリアスな歌のイメージとは対照的な明るいキャラクターが受け、人気を博したが、もはや若い世代にはそんな彼女を知らない人も多いはずである。だからこそ変に先入観を持つことなく曲を聴けるともいえる。

中島の曲がいまなお新しいリスナーを取り込みながら、愛され続けているのは、そんなところにも理由があるのではないか。前出の「空と君のあいだに」のほか、デビューイヤーである1975年に世界歌謡祭グランプリを受賞した「時代」、あるいはドキュメンタリー番組『プロジェクトX〜挑戦者たち〜』の主題歌「地上の星」など、スタンダードとなっている曲は数知れない。

なかには「糸」や「ファイト!」のように、もともとはアルバムに収録された知る人ぞ知る曲だったのが、のちにCMやドラマで使われたり、ほかのアーティストがカバーしたのをきっかけに広く受け入れられた作品もある。

人知れず感じていた「声の限界」

いまから40年近く前に出版された『中島みゆきミラクル・アイランド』という本では、有名無名を問わずさまざまな人たちが中島について語るなか、とある音楽評論家が《彼女はボーカリストとして、もともと声量にめぐまれているわけでも、テクニックにすぐれているわけでもない。/それをおぎなってきたのが、アルトの声質だったり、我流のうたい方だったりしたわけだ》と書いていた(※3)。だが、いまではそんなふうに言う人はいないだろう。

この本が出たのは1983年だが、じつはそのころ、中島はまさに自分の声に限界を感じていた。後年本人が語ったところによれば、当時の発声法では厚みがなさすぎ、音域もちょっと足りない。だが、そのせいで歌う曲が狭められるのが許せなかった。実際に、つくった曲のなかには声が出ないので歌えないままになっていたものもあったという(※4)。

そこで彼女は、声域を広げ、また長時間の舞台でもボルテージを落とさずに歌える発声と体力をつけるべく、ボイストレーナーについて基本的な発声の仕方から学び直すことになる。それはデビューから10年あまりが経ったころだった。

同時期にプロデューサー兼アレンジャーに瀬尾一三を迎えたことも、中島の可能性を広げた。1988年リリースのシングル「涙―Madeintears―」とアルバム『グッバイガール』で初めてタッグを組んだ瀬尾は、翌1989年にコンサートでも演劇でもない新たな形式のライブ「夜会」が始まると音楽監督も任されるなど、中島の音楽活動に全面的にかかわっていくことになる。

音楽業界では“面倒くさい人”という評判もあったが…

じつは瀬尾は、中島サイドからプロデューサーの打診を受けたとき、自分とは絶対に合わないと思ったという。それ以前より、中島と一緒に仕事をしたミュージシャンなどから“面倒くさい人”というような評判も聞いていた。

しかし、彼女と会って直接話をしてみて、自分と物の見方が似ていて、同じ方向を見ていることに気づく。そこでもう少し突っ込んで色々な話をしてみると、彼女が曲づくりのためしごくまっとうな要求をしているにもかかわらず、ミュージシャンのなかにはそれを面倒くさいと思う人がいるのだということもわかってきた。

瀬尾はそれでも《彼女が僕と同じ方向からものを見ているなら、問題の解決方法もあるのではないか。それならやってみようかと思い》、プロデューサーを引き受けたという(※5)。それからというもの彼は、中島の要求に応えながら、彼女の世界を具現化する一端を担い、現在にいたるまで30年以上も二人三脚を続けている。

中島みゆきは最初のヒット曲である「わかれうた」をはじめ、初期には失恋の歌が目立った。そのため彼女に対し「暗い」というパブリックイメージが、筆者が高校生だった30年ぐらい前まではまだ残っていたと記憶する。しかし、いつの間にかそんなイメージも消えていた。いまや中島みゆきといえば、スケールの大きな楽曲をそれにふさわしい声量で歌い上げるというのが、世間一般のイメージではないだろうか。それも彼女が、それまで築いてきた立場にけっして安住せず、常に高い目標のもと瀬尾らスタッフとともに試行錯誤を続けてきたからこそだろう。

「これじゃあ、一生つくり続けていくしかないですね」

しかし、目指すレベルが高すぎるがゆえ、中島はアルバムをリリースしても、コンサートを終えても、そのたびに後悔するという。20年ほど前のインタビューでは、そう明かした上で、《これじゃあ、一生つくり続けていくしかないですね。それか、あるとき、すっぱり諦めて、「もうダメだ」と思うか、どっちかですね。多分、棺桶に入っても蓋開けて、「まだ違う気がするの」って言いそう。ヒッヒッヒ。私の墓場の近辺では、夜中、「なんか違う気がするの」って言ってるのがボーッと出ます、確実に。すいません。アッハハハ》と冗談めかして語っていた(※6)。

中島は初期の代表曲のひとつ「うらみ・ます」で、自分を振った男を恨み続ける女の気持ちを歌ったが、最後の「うらみますあんたのこと死ぬまで」という詞には、死んだあとは恨まないという意味を反語的に込めたつもりであったらしい(※7)。

その彼女が、こと自分の作品については死んでもなお満足できそうにないという。逆にいえばその執念こそが、中島みゆきにけっして後ろを振り返らせず、絶えず前進させる原動力となっているのだろう。

※1『クレア』1994年12月号
※2中島みゆき『愛が好きです?』(新潮文庫、1993年)
※3北中正和「中島みゆきの聞こえない音楽」(谷川俊太郎ほか『中島みゆきミラクル・アイランド』創樹社、1983年所収)
※4『週刊文春』1996年6月27日号
※5瀬尾一三『音楽と契約した男瀬尾一三』(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス出版部、2020年)
※6『婦人公論』2000年1月7日号
※7『週刊朝日』2003年11月28日号

(近藤正高)

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