そこに名が記されたら最後、死神から命を奪われる「デスノート」。そんな漫画さながらの騒動が芸能界で起きつつある。芸能人の恥部を知ると豪語する一人の男が、その一部始終をネット動画で暴露し始めたのだ。標的とされた人々には実害も出始めていて……。

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【写真11枚】城田優以外にも…標的となった俳優たち

綾野剛（40）、佐藤健（32）、城田優（36）をはじめ名前を挙げられた俳優やタレントの数は実に100名近くに上る。彼らと親交を持ち、テレビなどでは分からない彼らの素顔を暴くと宣言し、世間の耳目を集める男がいる。

動画投稿サイトYouTubeで「東谷義和のガーシーch【芸能界の裏側】」を立ち上げた東谷義和氏。齢50になるという彼は、自らをガーシーと称し、ユーチューバーとしてデビューを果たしたのは今年2月であるにもかかわらず、早くもチャンネル登録者数は70万人に迫る勢い。公開された動画の再生回数も、全て100万回を超え、一躍、ネット動画界の寵児となったのだ。

東谷義和のガーシーch【芸能界の裏側】より

3社のCM全てが非公開に

そんな彼がウリにするのは、親交のあった芸能人の裏の顔。夜な夜な盛り場に集う男性芸能人たちに対し、遊び相手の女性をあてがう“手配師”まがいのアテンドをこなしてきたと明かす彼は、自らの目で見たスターたちの本性を動画で暴露し続けている。

茶色く染め上げた髪に日焼けした肌で、いかにも夜の街の住人といった風体だが、冒頭に挙げた俳優たちのプライベートショットや、SNS上の個人的なやり取りを公開することで、語りに信憑性を高めることも忘れない。

一見、眉唾物の暴露話に真実味を与えているのは、標的にされた芸能人に“実害”が及んでいることである。目下、窮地に立たされているのは、3月1日の配信で取り上げられた俳優の城田優だろう。数々の疑惑が語られた城田は、契約中の3社のCM全てが非公開となってしまったのだ。

スポーツ紙の芸能デスクによれば、

「年明けから城田は歌舞伎俳優の尾上松也と共に、Sky株式会社の名刺管理サービスのCMにサラリーマン役で出演していましたが、3月3日から同社の公式サイトで閲覧できなくなっています。同様にタマホームや霧島天然水『のむシリカ』のCMも公式サイトでアクセスできない状態です」

NHKは「（配役の）変更の予定はありません

その理由を各社は一様に説明しないが、暴露動画の影響を疑わざるを得ない。さらに城田といえば、NHKの朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の語り役として、今やお茶の間でもおなじみの存在。スペイン人の母を持つ彼はトリリンガルで、流暢な発音の英語と共にドラマに欠かせない存在となっている。

とはいえ、皆さまのNHKは殊更スキャンダルには敏感なはず。CM同様、こちらも降板となるのか。

さるNHK関係者が言う。

「ドラマは4月8日に最終回を迎えますが、実は終盤に城田さん本人が初めて顔出しで出演する回があるそうなんです。ナレーション役に徹してきた彼が、主人公らと接点のある重要な役回りを演じていたことが明かされる。簡単には代わりを立てられない役柄なので、局内では事態の動向を見守っています」

当のNHKに確認すると、

「（配役の）変更の予定はありません。ドラマの先の内容に関わる回答は控えさせていただきます」

野球賭博を行う社長と同席した過去

かような混乱を東谷氏は狙った節があるという。

先のデスクに聞くと、

「件の動画で、東谷氏はターゲットにした芸能人が活躍している旬のタイミングに合わせネタを暴露すると発言しています。城田の場合はCMや朝ドラに加えて、2月末からミュージカルの主演を務めています。暴露された疑惑が本当だったとなればCMは正式に打ち切られ、ドラマや舞台も降板となれば、違約金など城田が支払う代償は相当なものになるでしょう」

いったい城田はどんな疑惑をぶちまけられたのか。

「2019年6月に『女性セブン』でも一部報じられた話ですが、投資詐欺事件に巻き込まれた城田が、犯人から原資を取り戻そうと東谷氏に相談。反社会的勢力に属したことのある人間と犯人に接触し、返金させるため新たな詐欺を働かせていた。また反社会的勢力に近い人間から援助を受け都内でカフェを開いたり違法カジノなどで賭博行為をしていたといった類の話です」（同）

最後の賭博行為については、東谷氏がSNS上で城田が麻雀卓を囲む写真を公開。〈もちろん遊びやないでーかけてますがな〉との一文を添えることも忘れなかった。ちなみに一昨年、城田は東京ドームにあるVIPルームで、野球賭博に興ずる不動産会社の社長と同席していた疑惑を、本誌（「週刊新潮」）や「デイリー新潮」が報じたこともある。以前から業界内で城田の交友関係を危ぶむ声はあったが、暴露はこれにとどまらない。

「城田が歌手の大原櫻子と別の若手俳優との間で三角関係にあったとまで語られたのです。彼女の所属事務所は刑事告訴も含め東谷氏へ法的手段をとるとの声明を出しています」（同）

前所属事務所は「本人に助言した」

城田の個人事務所に取材を申し込むも期日までに返事はなかったが、20年まで所属していたワタナベエンターテインメントに聞くと、

「ユーチューブに配信された内容は、城田優氏が弊社の専属契約期間中の出来事でありましたが、当時記事化された内容を除き一切聞いておりませんでした。一般論として、反社会的勢力との関係があったならば、それは許されるべきものではございませんが、記事内容について城田優氏本人が『事実無根』と主張をするのであれば、これまでお世話になってきたテレビ局はじめメディアの各社、公演主催者、広告主、弊社も含め納得のゆく釈明を行うべきだと考えます。現在弊社の所属ではございませんが、上記の事を本人に助言も致しました」

芸能人のスキャンダル動画も

多方面に波紋を広げる東谷氏だが、そもそも何者でどうして突然、暴露動画を公開するに至ったのか。

「アパレルメーカーの社長を務めていた東谷氏は、俳優や歌手に自身のブランドの服を提供する傍ら、六本木や西麻布界隈でバーを開き、芸能人との交友関係を広げていったのです」

と、さる芸能関係者は語った上でこう振り返る。

「遊びたい年頃の若手俳優にとって、人あたりもよく若い女性を紹介してくれる東谷氏はいい兄貴分だった。ところが、昨年『NEWSポストセブン』や『文春オンライン』が報じたように、彼はそうした女性たちに対し詐欺行為を働きトラブルを起こしたわけです。日本でも人気の高い韓国のBTSに会わせるといって、高額な旅行代金などを受け取った後に連絡を絶ちました。当時の報道では匿名扱いでしたが、それをユーチューバーのヒカルに暴露されたことから、東谷氏は全ての信用を失い無一文同然となってしまったそうです」

自業自得といってしまえばそれまでだが、彼の周りに集まっていた芸能人たちも次々に去っていったことから、東谷氏は復讐を兼ねて暴露チャンネルを立ち上げたというわけだ。ポイントとなるのは、件の動画チャンネルが彼の重要な資金源となっていること。視聴者が増えるほど、ユーチューバーは広告収入を得ることができるのだ。

「彼の釈明を真に受ければ、ここで得た収入で『BTS詐欺』の被害者たちに弁済を行う。そのためにも、今後は城田にとどまらず、綾野剛や佐藤健などのスキャンダルも明かすと予告しています。城田の話を明かした際は、視聴者に綾野剛とどちらの話を暴露してほしいかと課金制のアンケートをとり、ちゃっかり日銭を稼いでいましたね」（同）

今後は別の会員制有料チャンネルを設けると意気揚々の東谷氏だが、時機をみて芸能人の破廉恥な動画も公開していくんだとか。

「次はオレかも…」

「芸能界でも話題沸騰で、次はオレかもと戦々恐々の人もいるでしょう。実際、私もあるタレントさんから動画のことを教えてもらったんですが、あのマーシー（田代まさし）が復活かと思ったら『ガーシーch』でしたね」

と、おどけながらも驚きを隠さないのは放送プロデューサーのデーブ・スペクター氏だ。

「さまざまな芸能人と付き合いのあった関係者が、ユーチューバーとなってイニシャルトークなしに次々とスキャンダルを暴露するなんて、海外でも聞いたことがありません。アメリカでは、過激な芸能スキャンダルの類は『TMZ』というニュースサイトが一手に引き受け取材をした上で記事にするので、ユーチューブでいわゆる素人さんが直接暴露するなんてことはない。もちろん、芸能界とつながりのある業界人がやろうとすればできることでも、そこは一般的に誰それと関係を持ったなんてことを口外するのはルール違反という不文律がある。いわばガーシーは掟破りなわけですが、ネットの世界では、それが直接お金になる仕組みがあるので、彼はどんどん過激になっているのでは」

人々のほのぐらい情念をたきつける要素

こうなると期待してしまうネット民もいようが、東谷氏には私怨と金銭が見え隠れしているだけに、悪趣味と捉えるむきもあろう。そんな彼を止める手立てはあるのだろうか。

ITジャーナリストの井上トシユキ氏が言う。

「ユーチューブは、言論の自由を謳っているので、内容の真実性についてまで判断を下しません。大まかに言えば性的・暴力的な表現以外は削除されず、事実上、野放しですから、『ガーシーch』の内容が誤っていると抗議しても、裁判で判決が下るなどしない限りは削除されません」

その間にも動画は次々と拡散されていくので、芸能人にとっては、これまで築いてきたイメージが台無しになる可能性がある。

「もともとネットは、表には流れない真偽が不確かな情報までも容易に書き込める世界なので、人々のほの暗い情念をたきつける要素を持っています。その上で『ガーシーch』は証拠らしきものをアップし、生々しく実名で相手を告発するスタイルですから、誰もが持っている下衆な心を強く刺激する。コロナ禍で戦争も起き物価も上がる。先の見えない鬱々とした時代の空気とこのチャンネルが生まれたタイミングが奇しくもはまった格好ですが、真に受けずそういう見方、見解もあるんだなと、一定の距離をとって視聴する気持ちの余裕が必要だと思います」（同）

暴露系ユーチューバーに熱狂して得られるものは、一時的なカタルシスに過ぎないというわけである。

「週刊新潮」2022年3月17日号掲載

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