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上島竜兵さん、志村けんさんとの絆「最後はいつもお笑いの話に」
「もう1杯いただきます」(上島竜兵)/東京・麻布十番「三と十」にて
「ダチョウ倶楽部上島竜兵さん(61)急死」
突然の訃報に、日本中が驚かされた。芸人として現役で活躍するなかでの、早すぎる死だった。
本誌でも、2022年3月に結成35周年を超えたダチョウ倶楽部のこれからについて聞いていたばかりだった。上島さんは「50歳を過ぎてから3人はさらに仲よくなっている」と語っていた。
「僕だけでしょうけど、若いときは『ダチョウ倶楽部は俺の人気で持っている』なんて勘違いすることもありました。ダチョウに依頼がきた仕事も『俺だけでいいじゃん』みたいな。だから一人で出演したときは張り切るんです。でもそれって、ほぼ空回りするものなんですよね。それがわかったのが40代でした」
生前上島さんは、「3人ならきっとおもしろいことができる」と思っていたという。そして「家族より長く一緒にいる3人が揃うと、とにかく安心する」とも語っていた。
若手時代の思い出話を振ると、20年以上にわたって親交を深めた志村けんさんの話題に。
「本当によくご一緒させていただきました。毎日というときもあったくらいです。最初は“おネエちゃん”の話で盛り上がりますが、最後はいつもお笑いのことになりました。
M-1で優勝した若手芸人を『あいつらおもしろいな』とおっしゃるから『僕らはもう、ついていけないですよ』と笑ったら『いいんだよ。俺たちは芸人じゃなくて喜劇人なんだから』って。うなずきながらも心の中で『俺、芸人なんだけどな』と思っていました」
懐かしそうに笑った上島さん。志村さんとの親交は20年以上にわたった。きっかけは、知り合ってすぐに「お前たち、最近コントやってないだろ。バカ殿で3分くらいのネタをやれよ」と『志村けんのバカ殿様』(フジテレビ)の出演を持ちかけられたことだ。
「志村さんの社交辞令だと思っていたら、マネージャーから『出演が決まりました』と聞いてびっくり。僕たちのコントの収録中は、顔を真っ白にした志村さんがずっと見ていたから緊張しましたね」
その後、レギュラーになったダチョウ倶楽部。志村流のコント作りは驚きの連続だったという。
「とことんリアルを追求していました。酔っ払いが最終電車に乗るシーンは『その男がなぜ酔っ払っているのか。会社をクビになったのか。娘が嫁に行くのか。それによって絡み方が変わるんだよ。そこから作り込まなくちゃ』って。
倍賞千恵子さんが居酒屋の女将役で出演したときは厨房のゴミ箱に本物の生ゴミがあって倍賞さんがすごく驚かれたそうです。それからADさんがコントで使うバナナを用意したら『このネタでこの曲がり方のバナナはダメだろ。もっとまっすぐのバナナだよ』なんてこともありました」
志村けんさんのコント魂を振り返った上島さん。その教えは、ダチョウ倶楽部の“伝統芸”にも影響を与えていた。
ダチョウ倶楽部といえば、おでん、熱湯風呂。「だんだん表情の作り方とか瞬間のリアクションが難しいと感じることもあります」というが、それでも「この芸は一生続けていきたい」と語っていた。それは、志村さんから言われた“小言”を胸に刻んでいるからだった。
舞台『志村魂』の前説で、「殿を探せ」「俺が」「俺が」「どーぞ、どーぞ」とお約束のネタをやっていたときのことだ。
「リーダー(肥後)が『ウケないから今日はやめようか』と言って、このネタをやらなかった日があったんです。そうしたら志村さんが『今日、なんでやらなかったんだ』と。
リーダーが説明すると『それはダメだよ。ウケないのはちゃんとやらないからだよ。マンネリといわれるものをずっと続けるのは実力が必要だし難しいけど大切なことだよ』と。翌日、ちゃんとやったらウケました」
志村けんさんの、芸への情熱を振り返っていた上島さん。今頃天国では、2人のコントが始まっているのかもしれない――。
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