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「おっぱい大きいみたいなんで」小野真弓がマネージャーにかけた電話

「女性がひとりで楽しく暮らすというと…」“アコムお姉さん”小野真弓(41)の“自称・木更津の動物ババア”生活から続く

2002年に「アコム」のCMで大ブレイクし、「癒やし系」として人気を博したタレントの小野真弓さん。昨年40歳を迎え、芸能生活が20年以上となった小野さんに、最高月収700万円となったという「人生が変わった」CMからの戸惑いの日々を聞いた。

【画像】木更津で生活する現在の様子、CMが懐かしいあの笑顔…小野真弓さんの今の様子を写真で全部見る

◆◆◆

――消費者金融「アコム」のCMで「人生が変わった」と前回お話しされていました。

小野真弓さん(以降、小野)オーディションに受かった後に絵コンテを見てびっくりしました。8種類くらいあるし、どれもドアップで出ずっぱり。CMの放映中、街で「(アコムの)何支店で働いているの?」と声をかけられたこともあります(笑)。

仕事も一気に増えて生活がガラリと変わった、間違いなく私の転機となったお仕事ですね。

「おっぱい大きいみたいなんで」小野真弓がマネージャーにかけた電話
写真=佐藤亘/文藝春秋

――合格の決め手はなんだったと思いますか。

小野最終審査にはスタイル抜群のモデルさんや個性的な感じの方とか、色とりどりの方が残っていて。その中で私は群を抜いて庶民的というか普通というか、本当に没個性だったので、その部分を「親しみやすい」と評価していただけたようでした。

あ、最終オーディションには同じ事務所の鳥居みゆきさんも残っていたらしいです。

――アコムの女性社員が鳥居さんだった可能性もあったんですね。

小野鳥居さんが芸人になったばかりの頃、劇場で「小野真弓が憎い」ってネタにしてくれてたみたいです(笑)。

懐かしいですね。アコムのときは21歳だったので、あのときの倍、生きています。年齢、忘れちゃうんですよ。30代前半の人としゃべってて「この人は自分よりちょっと下ぐらいだな」と思っちゃう自分もいるし、でも白髪も出始めて、ああ確実に41歳だなあ、わあって思う自分もいます。

ぼーっといつも端っこ…「そこ行かないと!」「あのタイミングで喋らなきゃ!」怒られ続けたデビュー時代

――ご自身のことを「普通」「没個性」と形容されましたが、ユニークな方々が集う芸能界でサバイブするのは大変だったのではないでしょうか。

小野アコムのCMの前まではオーディションに落ちまくっていました。

バラエティ番組のレポーターをやっていたときも失敗ばかりで。ロケに行った人はVTR紹介をするので前の席に座るんですが、それ以外の子はひな壇に自由に座るので、みんなサッとテレビに映りやすい、いい場所を取るわけです。

でも、ぼーっとしている私はいつも端っこ。マネージャーさんに「そこ行かないと!」とか、「あのタイミングで喋らなきゃ!」と怒られていました。

――デビューは18歳です。学生時代も「普通」だったのでしょうか。

小野「ザ・日本人」という感じです。出すぎる杭は打たれると思っていたので、みんなと同じようにいい子にしてニコニコしていました。手もかからないから先生もかわいがってくれて。

でも、今思えば、社会に出たら苦労するタイプですね。人の顔色をうかがうのは上手いけど、自分の意思をはっきり表現できない子でした。

「高校3年生の進路を決める頃になって、保母さんとかも考えたんですが…」

――控えめなタイプの少女がなぜ芸能界を目指したのでしょうか。

小野中学校くらいのときに見に行ったミュージカルで小さい子たちが堂々と楽しそうに歌ったり演技している姿を見て、「なんてかっこいいんだ……」と大感動して。

じっと真面目に生きてきたので、「あ、こんなにみんなに合わせて『はい』といわなくて良い世界があるんだ」と思ったんですよね。適性なんてまったく考えず、「こういう世界に行ってみたい!」と思ったのがきっかけです。

でも家族に言っても「向いてないんじゃない?」と言われて、自分でもそう思っていました。

ただ、高校3年生の進路を決める頃になって保母さんとかも考えたんですが、やっぱり引っかかる自分がいて……。そこで思い切って一回オーディションを受けてダメなら諦めようと思ったんです。

――それで高校生のときに現在の所属事務所であるサンミュージックのオーディションに挑戦して合格したんですね。

小野あ、じつは落ちたんですよ。

――え、そうなんですか?

小野落ちたんですけど、オーディションの受付をやっていたマネージャーさんがなぜか評価してくれて、「あの子はたぶん受かる」と思ったそうなんです。で、合格者リストを見たら見事に私がいない(笑)。

それで上の人に「どうしても気になる子がいるからもう一回面接したい」とかけあってくれて、おかげで「レッスン生」みたいなかたちで残してもらったんです。

「特技:誰とでも仲よくできること」と「私、おっぱいあるみたいなんでグラビアいけるかもしれません!」

――受付で会った一瞬で小野さんのキラリと光るものを見抜いたんですね。凄腕のマネージャーさんです。

小野そうやって拾ってもらった恩返しをしたかったのに、本当になかなか芽が……。

ちょうどその頃、下着屋さんできちんと採寸してもらったブラジャーをはじめて買ったんです。そこで自分の胸の大きさが「E」だったことがわかって嬉しくて仕方なくて。

――プロに測ってもらわないと、自分の正確な胸のサイズって案外わからないですよね。

小野それまで自分は胸がないと思い込んでいたので、あんまりに嬉しくてマネージャーさんにすぐ電話しました。「私Eカップだったんで、グラビアいけるかもしれません!」と(笑)。

――仕事に結びつけたいということだったんですね。

小野「頭の片隅に置いておいてもらえますか。私、おっぱい大きいみたいなんで!」とまくしたてたら、マネージャーさんから「ちょっと落ち着いて」と言われました(笑)。

タレントさんってバレエができたり作詞が得意だったり、みんな本当に才能豊かなんです。でも自分は胸を張れるようなものが何もなくて、「特技:誰とでも仲よくできること」と、小学生みたいな回答をしていました。とにかく自分に自信がなかったんです。

アコムで顔を知ってもらった後も、20代の頃は仕事が少しでも減ると怖くて。日本舞踊にダンス、お芝居のワークショップを休みの日にも詰め込み、何か吸収していないと落ち着かなかったですね。

月収が突然700万に…「この棚の服、全部ください」の“荒れた”生活をやめたきっかけ

――ストイックに芸能界一本で頑張っていこうとされていたんですね。

小野でも結局、習い事も続きませんでした。だから役者一本でやっている職人肌の方には本当に憧れます。

お芝居を見に行くと昔は「私も頑張らなきゃ!」だったのに、今は観客と一緒に「すご〜い(ハート)」って感じで、完全に田舎のおばさんですね(笑)。

――一方、先日出演されたTV番組で、一番売れていた時代の月収が700万円だったと告白されていました。

小野それまでアルバイトを掛け持ちしてやりくりしてたのに、突然、小娘が使っても使い切れないほどのお金が振り込まれてきて……。忙しいストレスも相まって、金遣いが一気に荒くなりました。

服屋さんで「この棚全部ください」みたいなセレブ買いをしてみたり、一杯3000円のラーメン食べてみたり……。

その中でもタクシー代が特にひどくて、東京から千葉の実家までタクシーで帰ることもしょっちゅうでした。

――散財っぷりを見つめ直す瞬間があったのでしょうか。

小野税理士さんから「この勢いでタクシーに乗り続けたら、1000万円超えの外車を3年償却で乗っているのと同じ計算になるね」と言われました。その意味はいまだに理解できていないんですけど、ヤバいことをしていることだけはわかったので(笑)、そこからは反省して。

で、毎月10万円を強制的に積み立てつつ、免許を取りに行ってマイカーを持ち、不動産も買って、資産として残るようなお金を使うようになったんですね。

でも、月々4万2000円もする駐車場代を払うのが馬鹿らしくなって。もともと憧れもあったし、「一軒家なら駐車場ただじゃん!」と、小さな一軒家に買い替えて、今は木更津に落ち着いた感じです。

――では小野さんは一軒家を2回買っているんですね。

小野「あれば使ってしまうタイプ」だという自覚はありますから、買っちゃうとお金もなくなるので、自分にはその方がいいかなって(笑)。困ったら最悪、売ればいいですしね。

「自分がどんなに大切にしていることも、いとも簡単になくなってしまう」

――移住でキャリアを見つめ直したことに加え、2020年からは新型コロナがあり、エンタメ業界全体が混乱しました。改めて小野さんの今後についてお聞かせください。

小野木更津に移った1年後にコロナが始まり、仕事は全部飛んでいき、「不要不急の芸能の仕事は要らない」といった空気も感じました。自分がどんなに大切にしていることも、いとも簡単になくなってしまう可能性があると思い知りました。

田舎にいると自然や動物に触れる機会が多いですし、動物の保護活動を通じて命と向き合うことも少なくありません。ちょっと大げさかもしれませんが、人も動物の一種として生きていくというか、都会で一生懸命一つのことだけを必死に守ろうとしていた自分に違和感を感じてしまったんですよね。

――俯瞰して見るとまた違って見えますよね。

小野今は「芸能界で生きていくためにすべてを捨てて、朝から晩まで努力します!!」みたいな感じではなく。かといって甘い世界ではないので、のんびりしてたら取って代わられちゃうよ、みたいな危機感も持ちつつ、それに支配されずにいたいなと。

芸能人は勉強し続けて、芝居も一生懸命探求しなきゃいけない、それが正解ってなると、それ以外のことをしている時間がすごく罪悪感を感じるようになるので、趣味でもそれを一生懸命やっていたら、時間がかかっても見えてくることがあるんじゃないかと思うようにしています。

つまるところ、小さくでもきちんと暮らして生きていければ何をやっていてもいいんだよね、と思っています。なんだかふんわりしちゃってますかね(笑)。

(小泉なつみ)

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