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「教祖のように見えてしまうのはダメ」ドラマ『ミステリと言う勿れ』撮影中に菅田将暉が田村由美へ語ったこと

「整がひたすらしゃべりまくる漫画で…」田村由美が『ミステリと言う勿れ』を“探偵もの”と思ってない理由から続く

「文藝春秋」2022年7月号より、『ミステリと言う勿れ』(小学館)の作者であるマンガ家の田村由美さんのインタビューを全文公開します。(全2回の2回目、前編から続く)

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◆◆◆

菅田は整をどう演じたのか

ドラマでは、毎回、菅田さんと豪華なゲストとの丁々発止のやり取りがとても面白かったです。

クランクイン前、菅田さんが、整のことを理解するために作者であるわたしに会いたいとおっしゃられて、お目にかかりました。あの菅田将暉さんに会うわたしの人生ってなんだろう?って焦ったり緊張したりしつつも感激しました。まずわたしを理解しようとしてくださったんです。

菅田さんは整をどう演じるか、ずっと深く考えてくださってました。整もまだ未熟な学生ですし、教祖のように見えてしまうのはダメだと。さらに原作に忠実にただ台詞を言うだけでは内包する意味が視聴者に伝わらないかもしれない、それではダメだと。どうしたらこの話のテーマを伝えられるか苦心されたことを後で伺いました。時には感情を少し盛って話すなど、非常に繊細な演技を心がけられたそうです。ほんとうに才能と誠意の塊のような方です。整の台詞ひとつひとつを大切にしてくださいました。

菅田将暉さんは今年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で源義経を演じておられ、大絶賛されています。鮮やかで眩しく、惚れ惚れするような見事な義経でした。そこで生きていると思わせてくれるんです。そんな方に演じていただけたことは、うちの作品にとって、整にとって、心底幸運なことだったと、ただただ感謝しています。

「教祖のように見えてしまうのはダメ」ドラマ『ミステリと言う勿れ』撮影中に菅田将暉が田村由美へ語ったこと
菅田将暉(第42回日本アカデミー賞授賞式)©文藝春秋

「僕は常々思ってるんですが…どうして、いじめられてる方が逃げなきゃならないんでしょう」
 

2巻ではバスジャックに巻き込まれた整はそう切り出し、いじめについての疑問を投げかける。
 

「欧米の一部では、いじめてる方を病んでると判断するそうです。いじめなきゃいられないほど病んでる。だから隔離して、カウンセリングを受けさせて、癒すべきと考える。日本は逆です。いじめられてる子をなんとかケアしよう、カウンセリングを受けさせよう、逃げる場を与えよう。でも逃げるのってリスクが大きい。学校にも行けなくなって、損ばかりする。DVもそうだけど、どうしてなんだろう。どうして被害者側に逃げさせるんだろう。病んでたり、迷惑だったり、恥ずかしくて問題があるのは、いじめてる方なのに」

これは本当にそう思います。自分も若い頃は、いじめられたら逃げればいい、逃げていいんだよ、と考えてました。でもある時海外の事例を聞いて、あれ?そうだよな、なんでこうなってる?と疑問を持ったんです。いじめが起きる場合、外からどう見えたとしても、加害者側に理由があります。その心に何かがあります。被害者に理由があったと言う人もいますが、そう感じてしまうことにそもそも理由があるはずなんです。そこを紐解いて癒さないといけないんじゃないかと。DVに関してもそうですが、もっと精神の安定の方法、アンガーマネジメントに力を入れてもらうことはできないんだろうかと常々考えています。これは大人に対してもです。

こんなふうに、若い頃考えたことと、それなりに歳を重ねて今思うことが違ったりします。作品にはなるべく両方入れていこうと思っています。整が思うことと、周りのもっと大人が思うこと、それは異なってていいはずなので。

「真実はひとつ」?

「僕は常々思ってるんですが、もし家にいて家事と子育てをすることが本当に簡単で楽なことだったら、もっと男性がやりたがると思う」(3巻より)

この辺りのことも普段思ってることで。「女の幸せ」についての件もそうですが、それを言うのは誰なのか、誰にとって都合がいいのか、つまり真に受けないでいいんじゃないか、と考えます。「女の幸せ」じゃなくて「わたしの幸せ」と言い換えてほしい。一人一人違うはずなので。男女を問わず、いまつらい状況にある人がどんな社会やシステムだったら少しでも楽になれるかを、協力して考えていけたらいいのにと思います。整もきっと考えていきます。

「真実はひとつ」も、昔からドラマなどでよく言われますが、それもずっと違和感がありました。なので30年くらい前にそれをテーマに短編『X-DAY』を描いたりしてます。AとB2人の少女間で起こった一つの事件をAから見たバージョンとBから見たバージョンに分けて描いたんです。どちらも素直で全く悪意がなくても食い違う。現実でもそうだと思います。あらゆる戦争、紛争でしたこととされたことは合致しません。1人1人が見たものが違うから、それを真実だと信じるしかないから。

ニワカですが哲学者のニーチェは、「事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである」と言っていますが、誰もが自分なりのとらえ方で物事を見つめています。人は主観でしかものを見られない。神のような第三者がいないと真実はわからない。肝に銘じようと思ってます。

わたしの作品に対しても、感想は読んでくださった方の数だけあります。それは普段何を見て、何を意識しておられるかによって変わるんだと思います。マンガは、描くときには色々思惑を込めるものですが、一旦出てしまえばどう読まれても構わないと思ってますので、読む方それぞれの楽しみ方で開いていただければ嬉しいです。

カフカ『審判』をマンガに

また、『自省録』のように、わたしが好きなものもたくさん入れ込んでいます。ナポレオンの言葉、谷川俊太郎先生の詩、「山賊の歌」なんかも……。文学が好きというより、わたしは言葉そのものに強い興味があるみたいです。

懐かしい話ですが、高校生のときにカフカの『審判』を読んで16ページほどの短編マンガを描いたことがあります。コロナ禍でブームになったカミュの『ペスト』も島崎藤村の『破戒』も当時マンガにできないか考えたりしました。山岡荘八の歴史小説『織田信長』『徳川家康』を読んでは信長を描きたいと思い……これは後に少し描いてみたりしました。自分はこう言う目線で本を読んでしまうようです。

「雨は蕭々と降っている」(三好達治『大阿蘇』4巻で引用)

これは昔、国語の教科書で読んで以来、ずっと心に残っていた詩です。作者が誰かも忘れていたんですが、最近調べてみたら、『乳母車』や『測量船』など、好きな詩はことごとく三好達治作のものだと気がついて衝撃を受けました。

そういえば詩には全く疎いんですが、漢詩がちょっと好きなんです。とりわけ杜甫の詩と人柄に惹かれます。高校の漢文古典の授業で学んだ、「江碧鳥逾白山青花欲然」(江碧みどりにして鳥逾(いよいよ)白く山青くして花然えんと欲す)ではじまる杜甫の五言絶句に、たったこれだけの文字で一瞬にして色鮮やかな情景が浮かんできて、授業中、ひとりで感動してました。天才とされる李白に対して杜甫は繊細で傷つきやすく色々とぐるぐる悩んでる。でもだからこその視点があって、見える地平がある。人として大事なことを知っている……なんだかそんなふうに思えて好きなんです。漢詩は『7SEEDS』に結構出しました。

最近では絵画エッセイで有名な作家の中野京子さんの文章が大好きです。名画の中の世界に誘ってくれる語り口が楽しくてたまりません。

マンガとの最初の出会いは幼稚園のとき。とある手術で1週間入院した時、父が病院の売店でコミック雑誌を買ってくれました。そこに赤塚不二夫先生の『もーれつア太郎』が載っていたことだけは覚えています。抜糸のとき、読んで気を紛らわせて涙をこらえてたんです(笑)。

文学だと感じたマンガ作品

小学校3年生あたりで『別冊少女コミック』にふれ、ノートにコマを割ってマンガを描きはじめました。『ロリィの青春』(『週刊少女コミック』)など上原きみ子先生の作品群が大好きで。華やかでドラマチックな展開にいつもワクワクしていました。その後萩尾望都先生の『ポーの一族』や『トーマの心臓』に心を鷲掴みにされます。この方だけは文学だと感じます。先生の作品を読めたことは幸せでした。そしてその後出会った三原順先生『はみだしっ子』はバイブルのような作品。セリフの力に心の奥底までえぐられました。今も折に触れ蘇ってきます。

並行して少年漫画系も割と読んでいました。石ノ森章太郎先生の『サイボーグ009』は、小さいころに先にアニメを見ていて、マンガを読みはじめたのは中学校に入るころ。中学2年のときはちょっと学校がしんどかったのですが、心の支えになったりしました。サイボーグ戦士の紅一点、003のフランソワーズ・アルヌールになりたかったんです。彼らと一緒に戦いに行きたかった。まあある種の逃避だったんですけど……。

中学の頃から友達とマン研(マンガ研究会)を作って楽しく描いてたんですが、マンガ家になろうとはまだ思ってなかったように記憶してます。ノートに鉛筆レベルでした。

仲間たちがぼちぼち投稿などを始めたのでそれに触発されて、高2の時、はじめて原稿として仕上げた作品を『別冊少女コミック』に投稿しました。そしたら月例賞の佳作に選ばれ、2作目では小学館の編集者さんから電話がかかってきたんです。「ぼくが担当になります」と言われた時の感動は忘れられません。ただ「喜んでる場合じゃないよ。まだレールに乗ったってだけだからね」と釘も刺されました。突然マンガ家の世界が近くなりました。

教育実習生の先生の一言に発奮

それでも、高校3年生になって、いざ進路を決めるときには相当悩みました。そこで、東京の美大を出て地元に帰ってきた教育実習生の先生に相談してみたんです。そしたら「女の子だから好きなことやっていいんじゃないの。男はそうはいかないけどさ」

なんとそんな言葉が。女は夢破れても嫁にいけば済むからいいよね、と言われたようでした。猛烈に腹が立って、帰り道、火を吹くように自転車を飛ばして帰りました。でも、あの一言のおかげで絶対にマンガ家になるぞと思うことができたんです。今思うと、「男はそうはいかない」という所が問題なんじゃないかと思うんですが……。

東京に出てからはデザイン学校に通い、あちこちのマンガ家さんのアシスタントをしながら2年ほどでデビューできました。続けることが難しいよと編集さん方によく言われましたが、どうにかこうにかここまではやってこれて、来年でデビュー40周年です。

マンガには、読むひとそれぞれの楽しみ方がありますから一概には言えませんが、最大の魅力はしいて言うなら世界、社会をまるごと体験できることではないかなと。

ひとつのマンガのなかに、様々な社会問題や戦争、恋愛も友情も家族愛もみんな入ってる。大きさや形は変えてても実は入ってるんです。特に少女マンガは人間の内面を掘り下げていく物語が多いです。わたし自身、昔読んだ作品がまるで『自省録』のように自分に深く刺さったことが何度もあります。たったひとつの画や言葉だけで、その世界に没入し泣いたり笑ったりできる。そこにいることができる。自分の時間で。音すら聞こえてきそう。それって他のものでは得難いのではないかと思います。

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋2022年7月号)

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