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「ちむどんどん」は迷走する愚作か、異形の傑作か…!? 朝ドラファンを分断する論争に決着を

「ちむどんどん」は迷走する愚作か、異形の傑作か…!? 朝ドラファンを分断する論争に決着を (全2枚)

アンチタグ派が抱く違和感の正体

NHKの朝ドラ「ちむどんどん」が注目を浴びている。これまでの朝ドラとはちょっと違う注目の浴び方だ。

ツイッターでは「#ちむどんどんする」というファンタグとは別に「#ちむどんどん反省会」というアンチタグが存在。こうしたアンチタグはどの朝ドラにも存在してきたが、今回はいつにもまして活発だ。ネットニュースでも『沸騰する「#ちむどんどん反省会」批判かイジメか』(東洋経済オンライン)などと話題になっている。

ちなみに、ここまでの平均視聴率は約15.7%。総合テレビでの放送が8時開始となった「ゲゲゲの女房」以降、最低だった「おかえりモネ」の16.3%よりも低い。とはいえ「ゲゲゲ」直前の2作は13%台まで落ちていたし、その少し前に放送されて傑作と呼ぶ人も多い「ちりとてちん」は15.9%だった。

NHK『ちむどんどん』公式ウェブサイトより

よく言われるように、ネットで感想を言う人、ましてやアンチタグまで使って発言する人は少数派なので、普通に楽しい朝ドラとして黙って見ている人も多いのだろう。おそらく、総スカンというほどではない。

ただ、アンチタグ派にはドラマ好きを自負し、こだわりが強い人が多い。そういう人は脚本の整合性や時代考証を重視し、また、メインキャラの言動や生き方にある種の理想像を求めている印象がある。うまく言えないが、よくできた良質なドラマを見て心を揺さぶられ、自らの人生にも糧としたい、そんな渇望が感じられるのだ。

じつは近年の朝ドラには、そういう方向を目指すものが多かった。前作「カムカムエヴリバディ」はまさにその究極だ。

三代百年を複雑な構成で描き、伏線回収にこだわり、英語台詞では字幕も多用。制作統括は「3倍速で進むというより、3倍濃いと思って見ていただけたら」とか「『ながら見』ではなく、ちゃんと手を止めて見てくれる方を第一優先として、そういう方に恥ずかしくない作品を」などと語っていた。

一方「ちむどんどん」のチーフプロデューサーは「サスペンスフルなドラマでもないですし、それが求められてもいないと思う」として「毎朝気持ちよく」「見やすい」ものを作ると発言。脚本家も、当時の沖縄差別などがあまり描かれない物語展開について、

「平日の朝8時から見てもらう番組は負の歴史ではなく、その時代をたくましく生きた家族を通して、今のお茶の間が元気になってくれる話を作ろうとテーマを決めた」

と、説明していた。

そんなわけで「カムカム」のような朝ドラを期待していた人が「ちむどんどん」に違和感を覚えたのは当然ともいえる。

「ちむどんどん」独特の多幸感

ただ、筆者は近年の朝ドラにやや重苦しさを感じていたので、そこからの原点回帰を希望していた。明るく元気なヒロインがドタバタを繰り広げながら、楽しく成長していくファンタジー的な朝ドラの復活。その希望は今のところ、叶えられている感じだ。

もっとも「ちむどんどん」の魅力はそれだけではない。人物造型に見られる独特のリアリズム。顕著なのが、ヒロイン・暢子の兄で「ニーニー」こと賢秀の描き方だ。

定職に就かず、一攫千金を狙っては借金ばかり作る賢秀は、朝ドラのヒロイン家族にはちょくちょくいる、ダメキャラ。大叔父からはこんな叱責をされる。

「頭のないヤツは体を使うしかない。お前のせいで、この家がどんなことになってるか、わかってるか」

序盤屈指の名台詞だ。

そして、彼は東京でボクサーになり、大金を送ってヒロインと家族を助けるのだが――。デビュー戦の相手が体調不良だったことが判明。2戦目の途中で逃げ出してしまう。しかも、例の大金もほとんどは借金だったというオチだ。

つまり、大叔父の名台詞も彼にはあまり響かなかったわけで、その後も似た失敗を繰り返していく。

ただ、現実ではこういう人も珍しくないのだろう。具志堅用高になれるのはほんのひと握りなのだ。とはいえ賢秀、豚の世話にだけは長けていて、養豚場では重宝されていたりする。

とまあ、ここから伝わってくるのは、人はなかなか変わらないし、でも、ダメなところはあってもけっこうなんとかなるという人生の真理だ。じつは彼以外のメインキャラ、ヒロインやその姉、母、恋人などにもダメなところがある。それでもなんとかなるのがこの朝ドラの楽しさであり、逆にそこがアンチタグ派をイライラさせもするのだろう。

ではなぜ、なんとかなるのかといえば、それぞれが自分の生きたいように生きているからだ。

「ちむどんどん」は迷走する愚作か、異形の傑作か…!? 朝ドラファンを分断する論争に決着を NHK『ちむどんどん』公式ウェブサイトより

象徴的なのが、ヒロインの恋をめぐる三角関係。暢子が東京で再会して恋をする和彦には、愛という婚約者がいたが、和彦が暢子への思いを自覚したことや、暢子と相思相愛なことに気づいたことで、愛は身を引いてしまう。これについては、暢子と和彦の身勝手さを叩き、当て馬みたいになった愛に同情する人も目立った。

しかし、親が決めた婚約でもあったことや、和彦にとって暢子が運命的存在だったことから、じつは愛に勝ち目はない。そのかわり、暢子と和彦が自分の幸せを優先してくっついてくれたおかげで、愛は合わない相手と結婚せずに済み、やりがいのある仕事に進む道を選べたのである。

そんなところにも、人生の真実がある。誰かのために、より、自分のために、と考えたほうが、みんなの幸せにつながるということだ。人はどうしても見返りを求めてしまうので、誰かのためにばかりだとストレスが溜まるし、そもそも、何が誰かのためになるかもわかりにくい。それぞれが自分の幸せを追い求めたほうが、全体的に幸せへの近道なのだ。

なお、誰より身勝手で迷惑ばかりかけているように見える賢秀もみんなの幸せに役立っていたりする。自分の妹で暢子の姉にあたる良子の恋と見合いをさんざんかき回したことで、良子は好きな相手と結婚することができた。

最近だと、暢子の結婚に反対する和彦の母の家で大切なオルゴールを壊すという失態をやらかしたが、これについても面白い指摘がある。和彦の母が閉じた世界から抜け出すきっかけを賢秀が無意識に演出した、というものだ。

こんな読み取り方ができるのも賢秀というキャラの面白さだし、彼が「ちむどんどん」独特の多幸感にひと役買っていることは間違いない。

フィクションは騙されたもん勝ち

ところで、アンチタグ派のなかには、料理がテーマなのに粗末にする場面があることを批判する人もいる。その気持ちはわからないでもない。

朝ドラ好きはそれぞれ自分の「コード」を持っていて、朝ドラにそぐわないものを嫌う傾向があるからだ。筆者の場合は、下品さや乱暴さ、暗さ、グロさなどがそれにあたる。それゆえ「カーネーション」の台詞回しや「エール」の戦争描写などには閉口した。

ただ、料理つながりで言うと、アンチタグ派というのはまずいと思っている店に通い、まずいと言い続けている状態である。彼らにしてみれば「朝ドラ」という老舗の味が落ちたと感じ、文句を言っているのだろうが、シェフが変われば味も変わり、客層も変わる。それも半年のことだから、そのあいだ我慢して、次の味に期待してみてはどうだろう。

また、粗探し寄りのツッコミ目的で見続けるのも、いささか無粋だ。筆者はかつて「スチュワーデス物語」(TBS系)に始まる大映テレビドラマのブームを経験したが、物語や芝居の大仰さや破天荒ぶりを茶化して楽しむ空気がイヤだった。真面目に作り、真面目に見ている人をバカにしている気がしたからだ。

そもそも、フィクションには騙されたもん勝ちみたいなところがあり、大仰でも破天荒でも、そういうものだと思いながら見たほうが楽しい。いわば、作り手と見る側の恋に似ているのだ。アンチタグ派には「人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ」という言葉を送りたくもなる。

なお、冒頭で触れた東洋経済オンラインの記事では、人間関係コンサルタントでもある木村隆志がこんな指摘をしていた。

「『#ちむどんどん反省会』の“反省”というフレーズは『われわれが教えてやるから反省しろ』『見てやっているんだからいいだろ』という、ごう慢さが表れたもの。ツイートしている人々ではなく、俳優やスタッフに反省させるためのものです。まるで自分が正義と決めつけたような『反省させてやる』という発想がイジメの加害者そのものではないでしょうか」

もちろん「ちむどんどんする」派である筆者のこの記事にここまでつきあってくれているなかには、傲慢な人はいないだろう。実際、アンチタグを使うのは、なるべくファンの邪魔をしないためだと主張する人もいる。

ただ、あいにくツイッターの仕様だと、完全な棲み分けは難しい。「ちむどんどん」についてつぶやいていると、オススメとして良いのも悪いのもどちらも流れてきたりするからだ。双方にとって、不幸というほかない。

分断に決着をつけるのは不可能

なんにせよ、さきほど、フィクションにハマることを「恋」にたとえたように、人間が面白いとかつまらないとか善とか悪だとか感じるのもじつは好き嫌いでしかない。それゆえ、こうした分断に決着をつけるのは不可能で、ファンとアンチは永遠に平行線だろう。

ただ、人間は基本、自分が本当にやりたくないことはやらない。アンチタグ派もじつはやりたくてやっているわけだ。

そこには「朝ドラ」自体が恋人みたいになっていて、変わってしまったことを嘆き、元に戻ってほしいとか、変わったことに腹を立て、いじったり文句を言ったりすることで不満を解消したいとか、さまざまな感情が渦巻いているのだろう。

それでも、見続けているのなら「ちむどんどん」の視聴者ということになる。また、嫌いなのに気になって仕方ないというのは野球のアンチ巨人などと一緒で、広い意味ではそれもファンなのかもしれない。

そういう不思議な視聴者をも生み出してしまった「ちむどんどん」。数字以上の注目度も含め、異形の傑作なのかもしれない。まぁ、自分にとっては普通に楽しい朝ドラなのだけど。

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