更年期の体験や情報を発信する歌手の野宮真貴さん（６２）、モデルの松本孝美さん（５７）、タレントの渡辺満里奈さん（５１）のプロジェクト「大人の女史会」の取り組みを読売新聞で紹介したところ、読者から更年期に苦しむ体験が数多く寄せられました。

■眠り方が分からない！

山口県の女性会社員（５５）は、閉経して約半年後の５２歳頃から不眠や動悸(どうき)、足のしびれなどに悩まされるようになりました。きっかけは職場の配置換え。「久しぶりの新しい環境と、元々きまじめな性格もあり『あれもこれもやらなきゃ』と焦っていた」。そのうちに、布団に入ると心臓の音が耳に付き、足が冷たくて震えたかと思えば、その後には汗が噴き出る……。わずかな明かりが気になってアイマスクが手放せなくなり、ひどい時は週の半分以上眠れずに朝を迎えました。「夜が来るのが怖かった。眠るってどうするんだっけ？と真剣に考えた」と振り返ります。

内科、婦人科、心療内科にかかり、睡眠導入剤と精神安定剤を処方され、睡眠を確保できましたが、最初は薬に頼ることに恐怖感を覚えていたといいます。「テレビドラマを見ながらうたた寝をしていたことに気付いたとき、心から安心しました」。今は薬がなくても眠れるそうです。女性は周囲の支えに感謝していると言います。夫は散歩に誘ってくれ、長女は通院に付き添ってくれました。職場では上司に症状を話し「つらいときは無理をしないで」と理解を得られたといいます。「一人で悩まず相談したことがよかった」と繰り返し話していました。

■突然の無気力、何もかも楽しくない

今年３月から更年期の症状と向き合う群馬県のパート勤務の女性（４７）は、「４０代に入ったら体調不良には更年期が絡むことを頭に入れておいた方がいい」と、ため息をつきます。最初の異変は、生理不順の後の突然のめまい。心臓がギュッと痛くなり１日休んだところ、体調は戻ったのに気力が出なくなったといいます。好きな芸能人の「推し活」も突然やる気がなくなり、友人との交流も面倒に感じるようになりました。「楽しいと感じていたことが、軒並み楽しくなくなった。何かの病気かと不安になった」といいます。

定期的に通っていた漢方薬局や婦人科で更年期症状の可能性を指摘され、「原因が分かってホッとしたのと、これからどんな症状がくるのかという不安が半々だった」。今は、漢方薬を飲み体調管理をしていますが、不眠、胃腸の調子の乱れと次から次へと症状が変わっていくそうです。「別の世界にいった気分。見える景色が変わった」と感じています。それでも、好きな漫画を読むなど気持ちを楽にする工夫を怠りません。「体は元に戻らない。一つ一つ『対処』していくのが穏やかな老後への道」と話していました。

■もしかして「更年期の症状かも」

また、原因不明の指の痛みを抱えていた４０代女性は、記事で野宮さんたちの体験を読んで更年期の症状かもしれないと気付き「気持ちが軽くなった」そうです。

一方、更年期について身の回りの人と話をする難しさを指摘する意見もありました。６０代の女性は、不調を訴える友人に更年期の症状の可能性を指摘して拒絶された苦い経験があると打ち明けます。「自分の体に起きる現実から目を背けたい人も少なくない」。４９歳の女性から、「友人に更年期の話をしても分かってもらえず、自分だけ年老いた気分になった。つらいことを隠そうと思ってしまう」という声もありました。

■一人で悩まず、みんなで解決

こうした読者の体験談について、「大人の女史会」の３人はどう受け止めたのでしょうか。

■野宮真貴さん

ご自身の体験をシェアしていただき、ありがとうございます。今悩んでいる方、これから更年期を迎える次の世代の方に皆さんのメッセージは確実に届くと思います。更年期を軽やかに過ごせるかどうかは周囲に症状を相談できる、信頼できる医師や仲間がいるかで変わってきます。「一人で悩んでないで、みんなで解決」が大人の女史会のモットー。今回の記事が更年期を語るきっかけになれば

■松本孝美さん

同年代だけでなく、若い方、男性の声も多く、更年期がまだまだタブー視されていることを再認識しました。気軽に相談でき、総合的に診察してもらう場が必要と思いました。症状だけでなく、つらさの度合い、期間も様々でデリケートな問題ですが、症状や不安な気持ちを共有するだけでも、心は軽くなります。まだまだ当事者が声を上げる場所がないので、情報を共有し、新しい情報を得られる場もできたらいいですね。

■渡辺満里奈さん

更年期の症状は経験をしないと分かりにくい上に、症状は千差万別です。私も重くはないものの、気持ちが激しく落ち込むこともあります。少しでも不安を軽くできる発信ができたら、と改めて感じると共に、症状について多くの人と共有でき、許容できる社会になるといいなと思います。年齢を重ねるのは悪いことばかりではありません。できるだけ軽やかに、この時期を乗り越えていけますように。

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