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「鎌倉殿の13人」で異例の「肉弾戦」大河史に残る約2分半の「死闘」

「鎌倉殿の13人」で異例の「肉弾戦」大河史に残る約2分半の「死闘」

俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は18日、第36話が放送され、俳優の中川大志(24)が“武士の鑑(かがみ)”ぶりを体現してきた武将・畠山重忠の“最期”が描かれた。「畠山重忠の乱」(元久2年、1205年)のラストシーンは、主人公・北条義時(小栗)との壮絶な殴り合い。時代劇異例の“肉弾戦”に、重忠の誇りと魂を込めた。

<※以下、ネタバレ有>

稀代の喜劇作家にして群像劇の名手・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。鎌倉を舞台に、御家人たちが激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

第36話は「武士の鑑」。深まる北条時政(坂東彌十郎)と畠山重忠(中川)との対立。りく(宮沢りえ)を信じる時政は、3代鎌倉殿・源実朝(柿澤勇人)の下文を手に入れ、三浦義村(山本耕史)和田義盛(横田栄司)稲毛重成(村上誠基)らを招集。重忠の嫡男・重保(杉田雷麟)を人質に取るよう命じる…という展開。

重忠は妻・ちえ(福田愛依)に「行ってまいる」と告げ、武蔵国を出発。鎌倉を目指した。由比ヶ浜に誘い出された重保が抵抗したため、義村たちは殺めざるを得ない。「殺らなければ、殺られていた」(義村)「坂東武者の名に恥じない立派な最期でござった」(義盛)。愛息が騙し討ちに遭ったと知った重忠は二俣川の手前から鶴ヶ峰に移り、陣を敷いた。

北条義時(小栗)は戦回避のため、大将に名乗り。義盛が単身、説得を試みたが、重忠の意思は揺るがず。重忠が鏑矢を放ち、決戦の火ぶたは切られた。

重忠は北条泰時(坂口健太郎)を狙い、義時をおびき出す。2人の乗った馬が交錯。義時の刀が折れる。2人は兜を脱ぎ、再び突進。義時は馬上から重忠に飛びつき、2人とも馬から落ちた。

義村「手を出すな!誰も手を出してはならぬ」

鎌倉方の兵が2人を囲み、重忠と義時の一騎打ち。最初は小刀で斬り合うが、すぐにボクシングのような殴り合いに。重忠が優勢。地面の小刀を拾おうとした義時の腕を重忠が踏みつける。しかし、義時が跳ねのけて小刀を奪い、倒れた重忠の首に。そこから重忠が義時の足を取って倒し、馬乗りに。渾身の力を込めた右の拳を義時の顔に見舞うと、喉元に小刀を突きつけた。義時も観念したその瞬間、重忠が振り上げた小刀は義時の顔の横の地面に突き刺さった。

重忠はフッと笑って立ち上がると、馬にまたがって去っていく。仰向けの義時は動けず、涙。唇の震えが止まらなかった。

「戦は夕方には終わる」(語り・長澤まさみ)

時政と息子・時房(瀬戸康史)が実朝に戦勝報告。重忠は「手負いのところ、愛甲三郎季隆が射止めました。間もなく、首がこちらへ届くとのことにございます」(時房)。重忠の首桶を前に、傷だらけの義時は時政に「次郎は決して逃げようとしなかった。逃げるいわれがなかったからです。所領に戻って、兵を集めることもしなかった。戦ういわれがなかったからです。次郎がしたのは、ただ、己の誇りを守ることのみ。(首桶を時政に差し出し)検めていただきたい。あなたの目で。執権を続けていくのであれば、あなたは見るべきだ!父上!」と迫った。

「畠山重忠の乱」の合戦シーンは今夏に3日間、静岡県富士宮市で大規模ロケ。馬から落ちた後の重忠と義時の一騎打ちは最終日のラストに撮影を行い、中川はこれをもって自身のクランクアップを迎えた。

義村の「誰も手を出してはならぬ」から、重忠が地面に小刀を突き刺し、立ち上がるまで、オンエア上は約2分半。大河史に残る“死闘”を繰り広げた。

時代劇としては異例の演出・展開に、小栗主演のアクション映画「クローズZERO」(07年公開、監督三池崇史)やブラッド・ピット出演の映画「ファイト・クラブ」(1999年公開、監督デヴィッド・フィンチャー)を連想した視聴者も。

SNS上には「まさかの『クローズZERO』展開」「甲冑姿のこんな殴り合い初めて見たかも」「大河史上最高のケンカだったな……畠山殿は勝負に勝って試合に負けたのだ」「畠山重忠と義時のタイマン勝負に涙が止まらなかった。『戦など誰がしたいと思うか!』と叫ぶ重忠にも涙」「畠山重忠と北条義時の肉弾の殴り合い。なぜか『クローズZERO』を見ているような感覚…滅びる者の悲しさと坂東武士の侠気と底に流れる男同士のお互いを信じる友情が、思いきり泣ける」などの声が続出。反響を呼んだ。

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