５月１日に音楽活動を引退する歌手・橋幸夫（７９）が１２日、都内で記者会見を行い、オーディションによって“橋幸夫２世”の募集を発表した。

引退にあたって「橋幸夫」の芸名を継承し、自身が歌い続けてきた曲を歌い続けてくれる歌手を探したい。恩師の作曲家・遠藤実、作曲家・吉田正への感謝の気持ちが計り知れず、今後、自身の楽曲が歌われなくなるのが申し訳ない。作品を後世に残すことが「歌手・橋幸夫」の重大な責務と、昨年１０月頃から感じ始めたという。夢グループの石田重廣社長（６４）に相談し、募集を決めた。

橋は「私が（引退して）歌わないことで、（楽曲の数々が）終わってしまうのは申し訳ない。レコードを聴けばいいじゃないという話ではない」と力説。「私より歌がうまい人。立ち姿が格好いいね、ステキだねという人を選びたい。できるだけ若い人に？そうしたいですね。どんどん（橋幸夫という名前を）使ってください」と話した。

オーディションは２月１８日に都内で開催される。募集条件は年齢は１８歳以上で、性別は問わない。歌唱審査に合格後、面接と再度の歌唱審査を行う。選考委員は橋自ら務め、合格者は最大３人まで。詳細は夢グループＨＰで発表される。橋は「先生たちも草場の陰から喜んでくれていると思う。応募する人が何人来るか、楽しみにしております」と心待ちにした。

石田社長によると、合格者はデビューまで夢グループの社員として勤務する予定。「社会人野球のような（イメージ）。働きながらプロ野球の世界を待っているという。橋さんはコーチ兼顧問。発声練習から始まり、後継者が（歌を）つないでいく」と説明。「そのまま『橋幸夫』の名前を付けなくていい。『夫』（の漢字）だけ変えようと考えています。５月１日の引退コンサートを、お披露目の場にしたい」と話した。

橋は１９４３年、東京・荒川区生まれ。中学２年から遠藤実さんに師事し、６０年「潮来笠」でデビュー。同曲が大ヒットし、日本レコード大賞新人賞の第１号受賞者になった。６２年には吉永小百合とのデュエット曲「いつでも夢を」で日本レコード大賞を受賞。ＮＨＫ紅白歌合戦に通算１９回出場。舟木一夫、西郷輝彦さんと共に「御三家」と呼ばれ、一世を風靡（ふうび）した。音楽活動引退後は「書」と「画」の活動に専念する。

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