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25歳で希少がんになった元芸人 片腕を失っても模索するエンタメ

25歳で希少がんになった元芸人 片腕を失っても模索するエンタメ

「生きるために必然の選択でした」――。昨年6月、左腕に希少がんが見つかった宮野貴至さんは、左鎖骨から先を切断した。肩もない。夏場の半袖姿は特に目を引いたと話す。抗がん剤などによる縮小治療の道もあったが、医師からも“左腕切断”がベストと告げられた。人生の大きな岐路となったこの出来事を、告知の日からSNSとYouTubeで配信し続けている。自身でつけたキャッチコピーは『片腕男子』。20代のがん経験者が明かす病気発覚までの異変と人生観、動画配信する理由とは。

■小さなしこりと、5年間はがし続けた“かさぶた”

「左腕を失って、“3大できないこと”はなんだと思います?爪切り、靴紐、納豆です(笑)。色々試したんですけど、右手の爪と靴紐はどうしても自分ではできないのでお願いしてやってもらっていますね。それと納豆。片手だと、箸が納豆にくっついて容器ごとくるくる回ってかき混ぜられないんですよ」

【画像】手術前日と「片腕切断」直後の宮野さん

2022年6月に左腕を切断し、半年経った現在の生活を明るく話す宮野貴至さん。現在25歳。病気が見つかった当時は、大学を休学しながらお笑い芸人を目指していた。

「ずっと『まぁ、いいか』と放置していた“かすり傷”と“しこり”がちょっと気になる感じになって、病院に行きました」

始まりは5年ほど前。20歳で関西から上京し、都内の大学に通っていた。その頃、バスケットボール中に左手親指の付け根にかすり傷を負った。高校生の頃から触れれば分かる程度の小さな“しこり”があった部分だった。かすり傷はすぐにかさぶたになった。ところが、気になる部分にあるせいか、固まってはそれをはがし続けた。いつまでたっても傷は治らず、5年が経過した。「見た目は化膿している感じで、しこりは親指の先ぐらいの大きさ」になっていた。

重い腰をあげて近所の町医者へ行くと、大学病院へ行くよう紹介状を渡された。その後、大学病院からさらに専門の病院を紹介され病理検査したところ、血管のがん「血管肉腫」であることが分かった。

「正直、最初に診断された時は怖いというよりは、そんなんあるんやー、よくわかんない症状にやっと名前がついたな、ぐらいの感覚でした。それから専門の病院での検査になって、そこで非常に悪性度が高く、希少がんのひとつと告げられました」

すでに腫瘍は左脇のリンパまで転移していた。医者から提示された治療方法は大きく2つ。片腕を取り根治を目指すか、または、抗がん剤などで縮小治療をするか。宮野さんは、“片腕切断”を選んだ。

「がんは転移や再発が怖い、と聞いていたので、根治を目指せるなら片腕をとろう、と。そこは迷いませんでした。自分としては生きるために必然の選択でした。利き腕じゃないということも決断できた理由かもしれない」

片腕切断後の更なる病理検査で、腫瘍は「類上皮血管肉腫」と「類上皮肉腫」という2つの希少がんを併発したものと判明。

「世界でも例を見ない症例みたいで、人類初。僕、“新人類”なんですよ(笑)」

病気について語る宮野さんに悲壮感は一切ない。片腕を失う前にも恐怖感はあまりなく、失った今も悲観することはないと話す。前向きで自己肯定感が高いのは「昔から」と笑う。ただ「自分は大丈夫ですけど…」と続ける。治療費を負担し、術後、都内で1人暮らしする宮野さんの生活を支えたのはご両親だ。がん患者の家族は“第二の患者”とも呼ばれる。片腕を失う前に何かしてあげられることはなかったか。「そういった自責の念はかなりあったように見えました」。

■“ない”ことを武器に。片腕は自身のアイデンティティと笑いに変えて生きる

20代で希少がん。人生が一変するほどの事実に直面しながらも、宮野さんはほぼリアルタイムで診察の様子から、腕がなくなるまで、そのビフォーアフターを配信し続けた。

「皆さんへの注意喚起をしたかったんです。ちょっとした違和感、それがこんな結果を招くこともあるよ、と。元々、僕はお笑いやエンタメが大好きで芸人になろうと養成所に入っていたぐらいなので、“片腕になる”このビフォーアフターを見た人はあまりいないだろう、ならば見せてあげたいなとも考えていました」

日本では障がいとお笑いを掛け合わせることに対しタブー視する風潮もある。

「でも海外では障がいを持った人がそれを自虐ネタのように披露する芸もあるんです。自分もゆくゆくは片腕のブラックジョークで周囲を笑顔にしたい。『片腕男子』としてのお笑いはライバルがいないし、唯一無二的な感じもある。お笑いとして、それはちょっと新しい道だ、とも感じています」

これまでに配信している動画にも宮野さんがクイズを出される場面で、ナレーションを担当する友人が「視聴者の皆さんにはクイズを出します。宮野くんは聞かないで」と言われ、片腕で耳をふさぐが、「いやそれ聞こえるやん」などと、片腕が“ない”ことをネタにしたりもしている。

病気や障がいをコンテンツ化し収益を得ることを不謹慎ととる人もいるだろう。実際先日、男性と2人旅をしていた女性YouTuberがすい臓がんを公表し、治療費のためクラウドファンディングを行うことを報告したところ、一部で批判的なコメントが寄せらせ、中止を余儀なくされた。

「僕自身は、表に出る人はアンチも覚悟すべきと思ってて。だから誹謗中傷しないでくれ、ってメッセージするよりも、批判的なコメントがきたときの自分の考え方とか、メンタルを鍛えたほうが健康的だと思ってるんです。アンチを逆に笑わせたいとも思う」

片腕になってから街中で見られることも増えた。そんな時も「なんなら『見てみる?』ってボケたい気持ちが湧いてくる」という。先のYouTuberのようにがんは治療費に関する悩みを抱える人も多いが、それについても「今現在は、そんなに心配していない」と宮野さんの言葉は始終前向きだ。

日本人の2人に1人ががんに罹患すると言われる現代、万が一に備えて“がん保険”に加入している人も少なくないが、20代学生での加入者は稀だろう。保険もない、就職もしていない。そんな宮野さんが治療費への不安がないのはなぜか。

「本当は何かのために若いうちから蓄えをするのが正解なのかもしれない。でも、僕らの世代で都内でひとり暮らしをしていると、ほんまにお金がない。だから、今回の経験から友人にアドバイスを求められても“いつかのために貯金や保険に入っとけ”とは思わない。今は、夢や目標のために時間もお金も全投入していいと思う。ただ、結婚したり子どもが生まれたり、守る誰かができたら話は別」

もともとお金への執着は薄かったが、がんになり、優先度はもっと下がった。「今は何よりも家族や友人が大切」とはにかむ。だから、自分のためには貯めない。いつか誰かのために備える日がくるといい、と話す。

■「強いわけじゃない。ただ自分らしく生きたい」

現在は3ヵ月に一度、通院し転移がないかを調べている。まずは5年間、転移や再発がないことが根治への目安となるからだ。がん経験者にとって、さまざまな思いを抱える期間になるが、「まあ、なんか生きていくやろうと思ってます」と笑顔を見せる。

がん診断後も生まれ持ったポジティブ思考は変わらない。ただ変わったこともある。お笑い芸人を目指してコンビを組んでいたが、相方とは解散した。

「日本では、障がい者が前向きに生きている姿に対して、1つのバイアスがかかってしまう。それに感動を覚える方がいらっしゃることを否定はしませんが、そのバイアスは、こと“お笑い”に関しては致命的。“普通に”笑ってもらえないんです。どうしても“障がい者なのに頑張っている”という図式になる。だから、漫才をするこれまでのお笑いは続けられなかった」

今は前述したように“障がいで笑いをとるエンタメ”を模索している。「お笑いで“片腕男子”という道は新しい」と前を向けたのは、生き方をしなやかに変えることができたからだ。

「腕を失う前と世界がまったく同じとも思っていません。友人に『夢を諦めなくちゃいけないのは辛いな』と気遣いの言葉をかけられた時、“あぁ、確かに、今までと幸せのレベルが変わってしまったのかもしれない”と感じました。例えば、この先、何かを達成して幸福感を得られても、それが腕を失う前なら当たり前にできていたことだとしたら、それは俯瞰して見れば、幸せのレベルが下がっていることになるな、と」

それでも、今を理解し前に進む。「強いわけじゃないんです。ただ自分らしく生きたいだけ」と宮野さん。YouTubeは600万再生されたコンテンツはあるものの、まだ収益化はされておらず、これまでの貯金などを利用しながら東京で1人暮らしをしている。今後は配信を中心にお笑いイベントなどを企画する予定だ。人気YouTuberのヒカキンとコラボできるほど人気になりたいし、何でも武器になると人々を勇気づけたいと熱く語る。そして、最後に伝えたいのは、やはり健康への過信は禁物ということ。

「とにかく皆さん、早め早めに病院へ行ってください。僕みたいにかすり傷程度と思っていてもそうじゃない場合もある。僕も20代と若いので、怠ってしまった。病気の原因はまだ不明。“しこり”がもともと肉腫だったのか、はがし続けたかさぶたの傷から菌が入ってがん化したのか。今、詳しく調べている最中です。でも違和感があれば、またそうでなくても人間ドッグなど自分の健康状態を知るために、病院へ行くなり、なんらかのアクションを起こすべきです」

(取材・文/衣輪晋一)

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