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「ちょっと堺さんのことを…」初めて銀行員を演じた阿部サダヲの「倍返しだ」が“本家”とは違うところ

2月17日に公開される映画『シャイロックの子供たち』。原作者および脚本協力の池井戸潤氏、監督の本木克英氏、主演の阿部サダヲ氏による座談会「泣いて笑ってシャイロック」を一部転載します。(月刊「文藝春秋」2023年3月号より)

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◆◆◆

〈映画『シャイロックの子供たち』(松竹)が2月17日に公開される。池井戸潤氏による同名小説を、本木克英監督、阿部サダヲ氏主演で映像化した。映画は小説と物語の展開が異なる完全オリジナルストーリー。池井戸氏は脚本協力として参加している。

東京第一銀行の小さな支店で起きた100万円の現金紛失事件。阿部氏演じるベテランお客様係の西木雅博が、同じ支店の北川愛理(上戸彩)と田端洋司(玉森裕太)とともに事件の真相と“犯人”を追ううちに、メガバンクに蔓延(はびこ)る闇が明らかになっていく--。

池井戸氏が「ぼくの小説の書き方を決定づけた記念碑的な一冊」と位置付ける小説はいかにして映画に生まれ変わったのか。池井戸氏、本木氏、阿部氏の3人が映画化の企画から撮影のこぼれ話まで製作の裏側を語った。〉

「ちょっと堺さんのことを…」初めて銀行員を演じた阿部サダヲの「倍返しだ」が“本家”とは違うところ
左から本木氏、阿部氏、池井戸氏©文藝春秋

映画化は「正直『無理だ』と思った」

池井戸最初に映像化の話を聞いたとき、正直「無理だ」と思ったんです。原作は10編から成る連作短編で、主人公は毎回異なり、支店内でさまざまな立場にある銀行員たちの姿を描いていますから。それを2時間の映画のなかに収めるのは至難の業だなと。しかも、映画で主役となる西木は、原作の中盤で行方不明になっちゃいますからね。

阿部役をいただいて原作を読んでみたら、西木が途中で行方不明になるのであんまり登場機会がない。そんなに大変じゃないなって思っていました。

本木主役だと思っていなかったって?(笑)

阿部そうそう(笑)。だから、映画の台本が届いたとき、本当にビックリして。原作ファンの方が映画をご覧になったら驚くでしょうね、いつまで経っても、西木がいなくならないなって。僕もずっといていいのかなと思ったんですけど、池井戸先生が「こういう西木がいてもいいんじゃないか」と、アイディアを出してくださったんですよね。

池井戸以前、小説は結末を匂わせる形で終わっても読者は納得したものですが、今はオチがあって登場人物のその後まできちんと書き込まないと、消化不良だと言われてしまう。それは映像作品で求められていることも同じ。観客の皆さんの期待に応えるためには原作の改編が必要でした。そこで、今回は脚本協力という形で参加させていただき、原作を改編するための助太刀をしました。西木中心の物語にして起承転結のあるストーリーに落とし込んでいきましたが、西木というひとりの銀行員の物語をどう決着させるか、最後まで悩みましたね。

サラッと「倍返しだ」

阿部西木は人間らしくて面白いですよね。最初は仕事ができなそうな、ただのお調子者のように見えて、やる気があるのかないのかよく分からない。「居酒屋で出会った変なおじさん」を支店に連れてきたりしますし。ところが、100万円紛失事件を調べていくうちに「実はデキる人なのか?」と、印象が変わっていくのがカッコいい。あと、同じ支店で働く人たちのことをよく見ていますね。

池井戸西木は抱えている事情が深刻なので、シリアスに演じすぎると、暗い映画になるじゃないですか。阿部さんの持ち味の軽やかな演技に救われて、あまり深刻な感じにならなかったのが良かったです。

阿部ありがとうございます。あの人、結構すごい悩みを抱えていますもんね。

池井戸ですよね。普通の人なら逃げ出してもおかしくないぐらいの。

本木最初の撮影で、阿部さんが思ったよりもさらにテンション高めで演じられていて。今だから言うと、実は「これでいいのかな」と悩んでいたんです。でも、むしろ弾けている感じで良かった。僕は松竹の社員監督時代に『釣りバカ日誌』シリーズなど、サラリーマン社会をコミカルに描いた映画を手がけましたが、軽やかにさっぱりとお芝居するのって案外難しい。監督の諸先輩たちから「重く演じるのは誰でもできる。軽やかに演じることができる人が才能のある俳優だ」と教わったことがあります。阿部さんの芝居はまさに松竹映画にふさわしい軽やかさがありました。

とはいえ、西木はずっと明るいわけでもない。表面上は明るくて気のいい男だけど、たまにちょっと不気味なところもあって、色んな顔をもっている。阿部さんの絶妙な演技によって、西木のつかみどころのないキャラクターがよく出ていました。

池井戸あと、阿部さんはよくあれだけの膨大な台詞を完璧に覚えられますね。ドラマ『半沢直樹』でも、堺雅人さんが長台詞を朗々とそらんじていて、いつも驚かされましたが。

本木私も感心しました。今作では、物語の終盤、西木がある人物に対して切々と語りかけるシーンは長かったですね。

阿部あそこは西木の素顔や人となりがよく分かる、肝のシーンじゃないですか。だから役作りにあたって最初にあの場面から覚えました。

本木撮影は一発OKでしたね。

阿部ロケ場所の荒れ地があの場面にとてもふさわしかったから、これはやるしかないなと思いました。それに半沢の名台詞「やられたら倍返しだ」まで言わせていただいて。

本木阿部さん、意識されているだろうなと思って、寄りで撮っておきました(笑)。

阿部あの台詞はね、なかなか言える人はいないですもん。だから、ちょっと堺さんのことを思いながら言いましたよ。本家と違うのが、脚本には「倍返しだ」のあとに「!」が付いていない。叫ばずにサラッと言う「倍返しだ」でした。

柄本明のアイディア

池井戸柄本明さん演じる沢崎肇は、唯一原作に登場しない映画オリジナルのキャラクターです。西木中心の物語に改編するにあたって、西木と行動を共にする謎の男として投入しました。

阿部先ほどちらっと話した「居酒屋で出会った変なおじさん」だ。あの人と一緒にいることで西木の人生が大きく変わります。ある時相続の相談を受けたら、ビルを複数所有する地主であることが分かって。「オヤジ、そんなにビル持っているのか」って驚いてね。

本木一見、ビルを持っているような人の出で立ちには見えません。柄本さん自ら、ヨレヨレのTシャツと短パンだったか、私物を持ち込んで、ラフな格好にしたいとアイディアを出してくださった。「こんな人、居ないと思いますよ」という声もあったけど、本人は「居るよ」と。

阿部「昼間から蕎麦屋で飲んでいるようなお金持ちは普段はラフな格好をしている」とおっしゃっていました。

本木そうだ。「昼間から飲んでいる小金持ちのオジサンは、大体家賃収入で生活している」と言っていましたね。柄本さんの拠点である下北沢には沢崎みたいな人がいるんじゃないですか(笑)。

〈登場人物たちは曲者揃い。出世から外れた支店長・九条馨に柳葉敏郎、超パワハラ副支店長・古川一夫に杉本哲太、支店のエース・滝野真に佐藤隆太、支店を調査する東京第一銀行本部検査部・黒田道春に佐々木蔵之介、取引先の不動産会社社長・石本浩一に橋爪功が扮する。〉

池井戸柄本さんの他にも、個性的な役者さんが勢ぞろいですね。

阿部初共演の方が多くて新鮮でした。支店の後輩役の上戸さんと玉森さんとも初めて。上戸さんは『半沢直樹』にも主人公の妻役で出ていらっしゃるから、池井戸先生の作品に慣れているのかなと思ったら、「(銀行員を演じる)男性陣の激しいバトルには関わっていないので、そうでもないんですよ」って。そういえば、『半沢』では専業主婦だったから“銀行勤め”は初めてだったと、あとで気がつきました(笑)。

本木先輩役者との芝居はどうでしたか。

阿部僕にとっては先輩役者のいる現場が久しぶりでしたね。柳葉さんとは20年ぶりぐらいに会いました。柄本さん、柳葉さん、それから橋爪さんの役は全員腹に一物あって怪しい。僕の目の前でその3人による駆け引きが繰り広げられる場面がありますが、こんな芝居をするんだと、近くでみられて幸せでした。

本木皆さん、独特な間を持って演じられていましたよね。なかなか台詞を言わないなあ、と内心ドキドキしたときもありましたが(笑)。

阿部あれだけ間を持って演じられるのはカッコいいですよ。

本木皆さん、すごく楽しそうに芝居をしてくださった。「超パワハラ男」の副支店長役を演じた杉本哲太さんは当初、抑えた芝居をされていたんです。部下を叱り飛ばすシーンでも、大声で怒鳴りつけたりしないで、ちょっと静かなトーンで怒りを表すことで怖さを出そうとしていた。でも、思いっきり部下を叱り飛ばしてくださいとお願いしたら、「やっていいんですか?」と、嬉々として演じてくださいました。

阿部大先輩たちの表情や動きがとても面白いので、そのあたりも是非注目してほしいです。

池井戸潤氏、本木克英氏、阿部サダヲ氏による座談会「泣いて笑ってシャイロック」の全文は、月刊「文藝春秋」2023年3月号と「文藝春秋電子版」に掲載されています。

(池井戸潤,阿部サダヲ,本木克英/文藝春秋2023年3月号)

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