SnowManの冠番組、ゴールデン進出

毎週日曜午後1時から放送されているSnowManの冠バラエティー番組『それSnowManにやらせてください』（TBS系）。4月から金曜20時台に放送枠が移り、ゴールデンレギュラー放送になった。

SnowManの初の冠番組である『それスノ』。メンバーがクイズやファッション企画など、さまざまなミッションにチャレンジする番組で、’20年3月に特別番組として深夜に放送されると反響を呼んだ。

‘20年4月からは動画配信サービス「Paravi」でレギュラー配信がスタート。当時、配信時間になるとサイトへのアクセスが集中し、なかなか番組ページに繋がらないというアクシデントが毎週のように発生していた。

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‘21年4月からはTBS系列での地上波レギュラー放送となり、順調にステップアップしてきた。

この4月からはSnowManにとって初のゴールデン帯レギュラー冠番組となるが、実は現在、ジャニーズでゴールデンタイムの冠番組を持つグループはほかにいない。

冠番組とはグループやタレントの名前に因んだタイトルがつけられた番組のことを言う。また、ゴールデンタイムとは一日のなかで最も視聴率が高くなるとされている時間帯のことで、19時から22時までを指すことが多い。

現在、ジャニーズのタレントがグループとしてレギュラー出演しているゴールデン帯の番組は毎週日曜19時〜の『ザ!鉄腕!DASH!!』（日本テレビ系）のみ。TOKIOの番組という印象も強いが、番組名にTOKIOというグループ名がかかっておらず、冠番組という位置付けではない。

では、いつからジャニーズのグループによるゴールデンタイムの冠番組が存在していないのか？それは、’20年末の嵐の活動休止までさかのぼる。

嵐以来のゴールデン

‘20年末に嵐がグループ活動を休止させるまで放送していた『VS嵐』（フジテレビ系）は、毎週木曜19時台のゴールデン帯の冠番組だった。活動休止後は『VS魂』と名前を変え、相葉雅紀（40）とジャニーズの若手タレントらが引き継ぐ形となった。

以降、単発での冠番組はあったものの、ジャニーズのグループによるゴールデン帯冠番組がレギュラーで放送されることはなかった。

嵐以来のゴールデンタイムレギュラー冠番組を持つこととなったSnowMan。国民的アイドルと呼ばれる嵐を猛追する彼らだが、嵐に肩を並べるためにもう一つ必要なものとはなんなのだろうか。

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嵐は’99年のデビュー後、鳴かず飛ばずの時期が続いた。デビュー曲「A・RA・SHI」は初週売上55.7万枚の好記録だったが、これは言うなれば“デビュー特需”。

’03年リリースの「とまどいながら」や「ハダシの未来」はオリコンランキングで1位を逃し、’04年の「PIKA★★NCHIDOUBLE」は初週売上14万枚と、嵐のシングルでもっとも売り上げが少なかった。

そんな不遇の時代から嵐を救い出したのは、松本潤（39）出演ドラマ『花より男子』（TBS系）だ。

松本演じる大金持ちの御曹司・道明寺司と貧乏少女・牧野つくし（井上真央）のラブストーリー。’05年に1作目が放送されると、平均19.7%の高視聴率となった。

人気を集めたのはドラマだけではない。嵐が歌った主題歌「WISH」は初週売上17.8万枚を記録し、前作「サクラ咲ケ」の11.5万枚を大きく上回った。

‘07年には続編『花より男子2(リターンズ)』が放送。主題歌の「Lovesosweet」は初週売上20.4万枚を記録した。嵐のシングルの初週売上が20万枚を超えたのは5年ぶりのことだった。

『花男』について櫻井翔（41）は’19年1月、『櫻井・有吉THE夜会』（TBS系）で「（転機は）明確にありました。松潤が『花より男子』に出たときです」と話し、二宮和也（39）も’22年11月、「僕は出てないですけど僕らは主題歌を担当させていただいた。そのドラマは大きかった」と『ニュースＬＩＶＥ！ゆう５時』（NHK）で明かしている。

ファンでなくても口ずさめる楽曲の誕生。これは嵐のブレイクの契機でもあり、映画『花より男子F（ファイナル）』が制作された’08年には、嵐は押しも押されぬトップアイドルへと成長していた。

SnowManの人気は短期的

嵐のブレイクは、楽曲のヒットと不可分だった。では、人気急上昇中のSnowManの場合はどうか。

グループで主演した映画『おそ松さん』（’22年）の主題歌「ブラザービート」は、間奏部分のカンフースタイルの振付がバズり、TikTokにダンス動画を投稿する人が続出した。

CD、音楽ビデオ、有料音楽配信などの年間売上金額が最も多かったアーティストに贈られる『日本ゴールドディスク大賞』の「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」邦楽部門では’22年、’23年と2年連続で受賞するなど、CD不況といわれる時代でありながらミリオンセラーを連発している。

しかし、こうしたSnowManの人気は、現状では短期的なものといわざるを得ない。というのも、TikTokで投稿される動画は短尺のものが基本で、ユーザーには次々に新たな動画がサジェストされる。続々と新たな流行が生まれるSNSであるため、流行るスピードも速ければ飽きられるスピードも速いのだ。

実際「ブラザービート」も、「SnowManの曲」としての認知度以上に、「TikTokで流行したフレーズ」としての認知度が高いのではないだろうか。そしてすでにTikTokでは「ブラザービート」の流行は過ぎ、新たな流行が生まれている。

また、圧倒的なCD売上を見せる彼らだが、CDの売上で好記録を出すことでメンバーたちを喜ばせたいという思いを持つ熱烈なファンがCDを複数枚購入したことが要因となっているとみられる。

SnowManが嵐に超えるためには

これまでに映画の主題歌は5度担当してきたいっぽうで地上波ドラマの主題歌を担当した回数は意外にも少なく、2度のみ。’21年12月リリースの「SecretTouch」（テレビ朝日系『消えた初恋』主題歌）と’23年3月リリースの「W」（日本テレビ系『大病院占拠』主題歌）だ。

「SecretTouch」は初週売上73.4万枚を記録。「W」は目黒蓮（26）主演映画『わたしの幸せな結婚』の主題歌として起用された「タペストリー」との両A面シングルとして発売され、初週売上は90.3万枚となった。

しかし、映画の主題歌とドラマの主題歌ではその位置付けは大きく異なる。映画の主題歌が流れるのは基本的には映画館でのみ。予告編がテレビCMで流れることもあるが、ごく短いフレーズのみで、映画の公開期間も通常1ヵ月ほどのため、幅広い層に認知されるかというと、微妙である。

いっぽうでドラマの主題歌はというと、連続ドラマなら約3ヵ月間毎週流れる。また、主題歌を歌うグループのメンバーがドラマにも出演しているというパターンが多く、曲と個人が結びついて印象に残りやすいというポイントもある。

“考察系ドラマ”として盛り上がった1月クールの『大病院占拠』だったが、主題歌を担当したSnowManのメンバーはひとりも出演していない。ドラマのヒットに連動してSnowManにも注目が集まるという流れには残念ながらならなかった。

起爆剤となるようなドラマが誕生すること。それこそが、SnowManが嵐に次ぐ国民的アイドルになるための一歩といえそうだ。

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