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唐沢寿明 テレビ業界に危機感?「ドラマなんてなくなっちゃう」

唐沢寿明 テレビ業界に危機感?「ドラマなんてなくなっちゃう」

良質なドラマを多く放ってきたWOWOWの連続ドラマWで、ノンストップサスペンス超大作『フィクサー』のSeason1が2023年4月23日より放送・配信をスタート。すでにSeason3までの制作が発表されている同作で、表舞台に立つ権力者を裏で操る主人公のフィクサーを演じるのが唐沢寿明(59歳)。「面白い作品に出会ってワクワクしました」と、手ごたえを語った。
本作は、『白い巨塔』『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』などを生み出してきた脚本家・井上由美子が、“フィクサー”を題材に描くサスペンス大作。政界を舞台に、町田啓太、小泉孝太郎、要潤、斉藤由貴、内田有紀、小林薫ら共演陣と、その他にも注目キャストとして藤木直人、西田敏行を迎え、金と権力に群がる人間たちのドラマを描く。

本格ドラマに自信を覗かせる唐沢だが、裏を返せば「頑張らないと、ドラマなんてなくなっちゃう」と強い危機感を見せた。

◆面白い作品に出会ってワクワクしました

――『白い巨塔』の唐沢さんと脚本家の井上由美子さんのタッグ、加えて『ハラスメントゲーム』の西浦正記監督と、視聴者の期待が高まっている作品です。

唐沢寿明(以下、唐沢):面白い作品に出会ってワクワクしました。台本を読み始めたら手が止まらず、一気に読んでしまいました。監督も西浦正記さんだから間違いないし、フィクサーを扱うという企画の段階で面白そうだなと思いました。

脚本も、どういう描き方をするのか出来てみないと分からないし、100%うまくいく可能性はないけど、井上さんだからやってみようとオファーを受けて。で、出来てきた脚本を読んだら、すごく面白かった。ストーリーは1番大事です。

――すでにSeason3までの制作が発表されている大作です。

唐沢:主人公のフィクサー・設楽拳一以外はみんなひどい目に遭っていく、全体的に挑戦的な話。だけど、主人公が何をしているかとか、主人公から目が離せないといったものじゃないんですよ。主人公が完全に裏方として描かれている。それがあって、周りの人たちが思い通りに動かされていくんだけど、拳一が一体どこへ向かっていくのか、脚本が最後までできていないから、自分もどういう落としどころなのか、今はまだちょっと想像がつかないんです。

◆興味深い人ではあるけど、孤独な人だろうなと

――ここまで拳一の人生を疑似体験してみて、彼の生き方を率直にどう感じていますか?

唐沢:孤独だろうなと思います。楽しそうには思えない。でもそういう人もいるでしょう。そういうのは俳優をやっていないと体験できないことだから、興味深い人物ではあります。たとえば自分たちも駅を降りて自宅に帰るまでの間に、コロッケ1個買って、歩きながら食べてたら幸せを感じたりするでしょう。「コロッケ美味いな」って。でも、拳一は、そういう楽しみすらない。自分でやってて可哀そうだなと思います。政界を動かして、その通りになったとしても、それが彼の幸せかどうかも分からない。

――何が彼にとっての幸せなんでしょう。

唐沢:何もないんじゃないのかな。でも最後の最後にぽっと出てきそうな感じもします。まだ脚本が最後までできてないから分かりませんけどね(※取材時)。何が彼を動かしているのか。

◆俳優業というのは、もともと地味なもの

――ワクワクする脚本は、貴重なものでしょうか。

唐沢:主人公が何を考えているか分からないから、見ているほうも考えなきゃいけない、頭を使わないといけない。最近、そういう作品ってなくなったじゃない。いわゆる連続ドラマというのもなくなった。本当の意味でのね。1話完結モノが多いでしょ。若い子は1.5倍速で見てるって聞くし。そうなると、行間も何もなくなってくる。とにかく、今回の場合は、自分はいろいろ表に出さずに人を操るから、そこから生まれる状況を見るドラマ。主人公が突出しているわけじゃなくて、埋もれてもいい。それは俳優をやっていたら普通のことなんだけど。最近は、俳優じゃなくて、芸能界が好きな人もいるからなぁ。
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