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3月でAKB48を卒業した武藤十夢 気象予報士とFP2級の資格を取得した理由

3月でAKB48を卒業した武藤十夢 気象予報士とFP2級の資格を取得した理由

3月でAKB48を卒業した武藤十夢(28)がデイリー新潮のインタビューに応じ、12年間のアイドル生活や気象予報士試験合格までの道のり、中学から大学院まで通った成城学園での学生生活などを語った。また、1人のタレントとして活動する今後の青写真も披露。才女らしく、理路整然と答えた。

【写真を見る】ベッドの上で熱っぽい視線を向ける武藤十夢

アイドルとは「無限の可能性を持つ存在」

――AKB48での12年間が終わりました。武藤さんにとってアイドル生活とは何でしたか。

「修行ですね。いろんなことをたくさん学びました。ダンスとか、歌とか、レベルアップさせてもらいました。人間的にも成長させてもらったと感じています。AKBに入った当初は自分のことをやるだけで精一杯で、余裕がない部分もあったのですが、徐々に周囲のことも見られるようになっていったと思っています」

3月でAKB48を卒業した武藤十夢 気象予報士とFP2級の資格を取得した理由 武藤十夢1st写真集『とむもよう』(小学館)より

――自分のことよりチームのことを考えるようになった?

「その時々ですが、まとまりのあるチーム、仲の良いチームになったらいいなぁとは常に思っていて、そのためには私がどう動けばいいかと考えていました」

――アイドルは直訳すると「偶像」です。ただし、ほかにも「熱狂的なファンのいる若手歌手」などの解釈があります。武藤さんにとって、アイドルとは何ですか。

「無限の可能性を持つ存在だと思っています。とくにAKBはいろんなことに自由に挑戦させてもらえますし、卒業後もその経験を生かし、さまざまなことが出来ますから。先輩メンバーには女優さんやタレントさんがいる一方、会社を経営する人がいたり、結婚していたり。本当に可能性が無限なんです」

――1970年代のアイドルもキャンディーズの伊藤蘭さん(68)や石野真子さん(62)が女優に転身しました。一方で1980年代アイドルの松田聖子さん(61)のように歌い続けている人もいます。武藤さんの次のステップは?

「とりあえず今後もいろいろなことに挑戦していきたいと思っています。それと、資格を持っているので、その部分は伸ばしていけたらいいですね」

気象予報士とFPの資格を取った理由

――合格率約5%の超難関である気象予報士と、お金に関することを助言するファイナンシャル・プランニング技能士(FP)2級の資格ですね。防災士でもある。具体的にはどう生かすつもりですか。

「気象予報士としてはテレビ番組で帯のコーナーを持ってみたいですし、FPとしては本を書いたり、講演をしたりしたいと思っています」

――気象予報士試験は成城大経済学部1年生だった2015年に初めて受験し、合格したのは2019年で8回目。2017年に大学を卒業した後でした。AKBの活動も忙しかったので、途中で挫折しそうになりませんでしたか。

「いえ。CS放送の『AKB48ネ申テレビ』(ファミリー劇場)という番組の企画として受験が始まり、ファン方も応援してくれていましたから、なんとか達成したいと思い続けていました。視聴者の方の中には『そんなの無理でしょ』といった声もあったんで、見返したい気持ちもありました」

――とはいえ、落ちるたびにガックリきたのではありませんか。

「落ちた時はまだいいんですよ。それより辛いことがありました。試験は3科目(学科の一般、専門と実技)あって、受かった科目は次の試験も有効なんですが、その期限が1年なんです。合格した学科の有効期限が切れてしまった時の絶望感は大きかったですね(笑)」

――合格に必要な勉強時間は800〜1000時間とされています。どれくらい勉強したんですか。

「それが全然分からないんですよ。本当に。仕事と並行していましたし、大学にも通っていましたから。1日1時間も勉強できない日もあった一方で、半日以上も学習時間が取れた日もありましたから」

――大学は経済学部ですが、理系の知識もないと合格は難しい?

「そうですね。数学と物理が出来ないと厳しいと思いました」

――数学の微分・積分などや物理の熱力学などの知識が問われるからですね。

「数学はもともと得意なのですが、物理は難しかったです」

――2021年、今度はやはり難易度が高いFP試験2級に合格。なぜ、受験しようと?

「2020年に成城大大学院の経済学研究科修士課程を修了し、『さぁ、これからは仕事をしよう』と考えていたら、コロナ禍になってしまい、仕事がなくなり、暇になってしまったんです。それで『何かやっておきたいな』と思いました。勉強する習慣が付いているうちに資格を取ろうと考えたんです。大学と大学院で経済学を学びましたし、雑誌で投資の連載をしていたこともあって、FPを選びました」

――FPとして友人の家計を調べ、指導したりする?

「いえいえ、そんな(笑)。実務はまだやったことがないんですよ。自分の家計は見ています」

――お金の管理は子供のころから自分でやっていたんですか

「大学までは親が管理してくれていたので、自分でやるようになったのは大学院くらいからです。お金に関して『失敗した』という経験はないですね(笑)」

簡単ではなかったAKBと学生生活の両立

――成城学園は中学から。大学まで欠席に厳しい学校なので、AKBとの両立は簡単ではなかったのでは?

「大変でした(笑)。高校の場合、年に10日休んだら、アウトですから。大学も半期に4回までしか履修した授業を欠席できませんでしたので」

――それは厳しい。その上、AKB劇場のある東京都千代田区の秋葉原から世田谷区の成城学園までは電車で約40分かかります。学校まで電車で行くのが面倒になりませんでしたか。

「思いませんでしたよ(笑)。遠いと言えば遠いのですが、電車に乗っている間にやれることって多いじゃないですか。勉強とか。だから辛くはありませんでした」

――6歳年下の妹さんである武藤小麟さん(22)はチームAに所属する現役AKBメンバー。学校も成城大から同大院に進んだ。十夢さんを見習った?

「影響はあると思いますね」

――当然、仲は良いでしょうね。

「今は凄く良いです。でも、AKBに入りたてのころは仲が悪かったですよ(笑)」

――どこの姉妹、兄弟にも仲の良い時期、そうでない時期はあるでしょうね……じゃあ、小麟さんのAKB入りの際もとくにアドバイスはしていない?

「ええ。見て学んでくれる部分が大きかったと思います。成城で学ぶことを薦めたこともとくにありません。私を見て楽しそうだと思ったのでしょうね」

――今後のことですが、芸能人も資格や知識が問われる時代だと思いますか。

「いいえ、人それぞれだと思います。私はAKBというグループの中で、歌とかダンスで突出するのは難しいと感じたとき、目の前に資格と勉強がありました。頑張る方向性として、何を選ぶかだと思います。だから、必ずしも資格が必要とは思っていませんが、私の場合はこれで良かったと考えています」

――幼児教育に携わっているお父さんは若いころの一時期、俳優活動をしていました。何か影響していますか。

「とくにないですね。意識したこともありません。ただ、芸能活動への理解はありました。『やりたい』と言った時、否定されませんでした」

「私って現実と向き合ってきたんですよね」

――これからのビジョンは?

「知識を得ることが好きなので、勉強は続けていきたいです。でも、資格マニアになりたいわけではありません。勉強したことを生かし、一般の方とその道のプロの方を結び付ける橋渡しのような役割をしてみたいです。それと、天気もお金も身近なことなのに、ちょっと難しく感じられているので、分かりやすく話せるようになりたいですね」

――確かに天気予報士もFPも実は誰にでも関係する資格ですね。

「そうなんです。アイドルって、夢を与える立場であるはずなのに、私って現実と向き合ってきたんですよね」

――4月19日発売のファースト写真集「とむもよう」(小学館)にはどんな思いを抱かれていますか?

「写真集については、ファンの方からも『出さないの?』と言っていただいていたので、アイドルの集大成として出版できたのは凄くうれしいです。水着の撮影は4年ぐらいやってなくて、久しぶりでしたので、大人になった自分を見ていただけたらなって思います」

――当面の新たな動きを教えてください。

「今月から日本テレビの新しい朝の情報番組『DayDay.』(月〜金曜、午前9時)で火曜日のコメンテーターをやらせていただいています。楽しいです。ほかの出演者の方とお茶の間で話しているような感覚なので。今後もいろいろな仕事をやらせていただき、さまざまなことを吸収できたらいいなぁと思っています」

武藤十夢(むとう・とむ)
1994年11月25日、東京都生まれ。2011年、AKB48第12期研究生オーディションに合格。2015年からチームKメンバーとして活動。2018年の選抜総選挙では7位に。2019年、気象予報士に合格。2020年、成城大学大学院修了。2021年にファイナンシャル・プランニング技能士2級、日本FP協会認定「AFP資格」に合格。2022年には防災士試験に合格。2023年3月、AKB48劇場(東京・秋葉原)で行われた卒業公演をもってAKBを卒業した。出演映画「断捨離パラダイス」が6月30日(金)に公開予定。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

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