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元「超能力少年」清田益章さん(61)が語る「“3億円で教祖”の誘いも興味なし。今はマンション経営で悠々自適の日々」

元「超能力少年」清田益章さん(61)が語る「“3億円で教祖”の誘いも興味なし。今はマンション経営で悠々自適の日々」

小学校6年生で「スプーンを曲げる超能力少年」としてマスコミデビュー。1970年代の超能力ブームに乗り、一躍時の人となった清田益章氏(61)。人気絶頂で迎えた1984年、テレビの超能力特番で「番組を成立させないといけない」というプレッシャーから、7本のスプーンのうち3本を手で強引に曲げるという禁じ手に及び、世間から「いかさま師」と呼ばれるようになった。彼はその後をどう生き抜いてきたのか──。【前後編の後編。前編から読む】

【写真】米・コロラド大での実験に参加した若い頃の清田氏

清田氏の前を向けるきっかけとなったのは、「科学」の力だったと振り返る。

「7本中4本のスプーンは、断じてトリックで曲げたものではなかった。特番後、そんな俺の主張に耳を傾けてくれた他局のディレクターが、その4本を大手鉄鋼メーカーに持ち込んでくれたんです。調査の結果、いずれのスプーンにも全くストレスがかかっていないことが判明し、『人力で曲げたとは考えにくい』と結論付けられました。その後、在京キー局のドキュメント番組で再検証を行なうことに。複数の科学者が見守る中、トリックを使わずスプーン曲げを成功させ、汚名を返上することができたのです」(清田氏。以下同)

その後の清田氏は専修大学を卒業後、日本催眠医学研究所、脳力開発研究所に籍を置き、コロラド大学やロンドン大学など海外の大学の超能力実験にも参加した。バブルの風が吹く時代、人知を超える能力に興味を抱く著名人は少なからず、上場企業の有名創業者や映画監督、漫画家、ミュージシャンからプロレスラーまで、各界の実力者や成功者が清田氏に関心を抱き、スプーン曲げをリクエストした。

芸能界では、番組で共演した大物芸人との交流もあったという。

「当時、その大物芸人が経営していた居酒屋に呼ばれて行ったら、その人を囲んでゴールデンでお馴染みのメンバーが勢ぞろい。『申し訳ないけど飲む前にスプーン曲げを見せてやってくれるか』と言われリクエストに応えると、やんやの喝采でみんな大喜びしてくれたんです」

清田氏の「黒歴史」となってしまったトリック事件をいじるタレントもいたという。

「その居酒屋では、カウンターで酔っ払っていた一人の芸人さんに『お前はインチキだ!』とからかわれる始末。番組でご一緒した別の大物芸人は、俺がスプーンを曲げる瞬間にわざと目をそらし、スプーンが曲がってから『お前、ズルしたやろ!』とツッコミを入れてくるんです(笑)」

脱・超能力者宣言へ

超能力以外にも、ファミコンソフトの開発やロック歌手としてCDデビューを果たすなど、マルチに活動を展開。1990年には、冷戦末期の旧ソビエトでこんな稀有な経験もした。

「ある実業家の紹介で、ソビエトの宇宙開発の高官からスプーン曲げの実演を頼まれたんです。場所は完全な密室となる高官の専用機内でした。ソビエト製のスプーンは材質が悪い印象でしたが、なんとか実験は成功。その高官は目の前で曲げられたスプーンを見て『ハラショー!』と大興奮。上機嫌になり、最上級のコニャックをご馳走してくれました。当時のソビエトは軍事目的で超能力研究に注力していたと言われますが、身体を拘束されることもなかったので、ただの好奇心だったのだと思います」

だが、1995年にオウム真理教による地下鉄サリン事件が起きると、日本では超能力やオカルトに対する風当たりが強くなり、清田氏自身もエスパーであり続けることに窮屈さを感じるようになったという。2003年には「脱・超能力者宣言」を行ない、エスパーとしての人生と決別した。

「大きな転機となったのは、2001年から2004年までのバリ島滞在でした。現地の女性が日常的に祈りを捧げている姿がまるでアートのように美しく、強い衝撃を受けたんです。この時の経験がきっかけで、祈りと踊りを融合し、自己と宇宙・自然との調和を計る『おのり』の道を探求する人生に舵を切りました」

自らを「イノリスト」と称する清田氏。古代インドなどで用いられた法具・金剛杵(ヴァジュラ)を両手に舞う「おのり」は独自に編み出したものだ。清田氏は、これまで東日本大震災の被災地や広島、長崎の被爆地など全国各地を回り、犠牲者の鎮魂と安寧の世を願い「おのり」を捧げ続けてきた。

「と言っても、俺は宗教家になるつもりはありません。以前『3億円出すから教祖にならないか』と宗教団体の創設を持ち掛けられたことがあるけど、組織には興味を持つことができなかった。

幸いなことに、親から受け継いだ賃貸マンションを経営しているので最低限の生活費と住むところには困らず、純粋に祈ることに集中できます。お布施で暮らすお坊さんのようなもんですよ」

私生活では2度の離婚を経験。2006年には知人から大麻を譲り受けたとして大麻取締法違反容疑で逮捕され、スポーツ紙で「元スプーン曲げ少年、人生も曲げた」と報じられた。だが、還暦を迎えた現在は厄が落ちたかのように健康的な活動を続け、厳しい滝行やパワースポットの巡礼を繰り返す。波乱万丈の人生を歩む清田氏は、この先どこに向かうのだろうか。

「これからも『おのり』を続けて世界行脚したいし、若い人たちと組んでユーチューブなどでメッセージも発信していきたい。世間一般の常識で見れば『変わった奴』ですが、超能力者として叩き上げられたからこそ、こんなことができるのかもしれないね(笑)」

超能力少年からイノリストへ。超能力の重圧から解放された今も、清田氏は不思議な力を持ち続けているようだ。(取材・構成=池田道大)

【了。前編から読む】

元「超能力少年」清田益章さん(61)が語る「“3億円で教祖”の誘いも興味なし。今はマンション経営で悠々自適の日々」 外部サイト 【前編】元「超能力少年」清田益章さん(61)「スプーン曲げで一世風靡した“エスパー”はなぜ、いかさまに手を染めたのか」 【写真】ユリゲラーとのツーショットほか、当時の貴重な写真など 《復帰インタビュー》タモリ、たけし、志村けんさんも惚れ込んだ伝説の女性お笑いタレントが明かした「唯一怒らせた俳優」 「あの人は今」をもっと詳しく

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