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東京ドームの売り子はなぜ大変?壮絶な縦社会や暗黙ルールとは

車窓から東京ドームの白い球体が見えてくるだけで、胃がキュ〜っと締めつけられる。はぁ……、今日もあの重いタルを背負って戦うのか。ストレスとプレッシャーに押しつぶされて、自然と涙が出てくる。なんで私、野球選手でもないのにこんなに追いつめられてるんだろう……。

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東京ドームの売り子をしていた頃のことを思い出すと、今もあの胃の痛みを思い出してしまいます。

東京ドームの売り子はなぜ大変?壮絶な縦社会や暗黙ルールとは
©ぽぽちゃん

「受験から逃げるため」売り子デビュー

申し遅れました。私の名前はぽぽちゃんと言います。「なにもの?」と聞かれるのが一番困るのですが(笑)、グラビア、広告モデル、女優……となんでもやらせてもらっています。今回は「売り子から見た野球ファン」をテーマに、コラムニストデビューさせていただくことになりました。

私は高校2年生の冬から4年間、東京ドームでビールの売り子をしていました。東京ドームの売り子経験者といえば、おのののかさんが有名です。私の売り子時代の知り合いでも、アナウンサーになった子や芸能活動をしてる子、野球選手やサッカー選手と結婚した子など、華々しい生活を送る子もいます。

そんななか、私が売り子を始めた動機は「逃避」でした。受験勉強から逃げるため、「楽しいことをしたいな」と求人で見つけたのがこの仕事でした。時給が高かったのも魅力に映ったのです。

そもそも私は、野球に何の興味もありませんでした。小さい頃は野球中継のせいで『ドラえもん』の放送が飛んでしまうのが、とてもイヤでした(笑)。売り子は8回裏が終わるか21時までに上がらなければいけないのですが、私は8回がどれくらいで終わるのかも知りませんでした。

野球ファンは、私がそれまで生きてきたなかで出会ったことのない人種でした。「オフに働いて、野球のシーズン中は仕事しないんだ」と豪語するお客さんもいて、「すごいなぁ」と驚きました。

私自身、何かに熱中して頻繁に足を運ぶ習性がなかったので、ここまで熱を燃やして東京ドームに集まる野球ファンが新鮮に見えました。ただ、巨人ファンと阪神ファンがケンカして警備員に止められている光景を見て、「野球ファン同士、仲良くすればいいのに……」と思っていました。

かわいい売り子が生き残る理由

ここで売り子の1日の流れを紹介しましょう。ナイターの場合は17時くらいに球場に入って、着替えや化粧をして準備します。先にビールが売りに出て、続いてサワーやお酒(日本酒、梅酒など)が出ます。

8回裏が終わって、「基地」と呼ばれるバックヤードに戻って、精算して仕事が終わります。

この精算が恐怖なんです。1日で何杯売れたかすぐにわかり、ランキングが張り出されます。バイトを始めてから知ったのですが、売り子の給料は完全歩合制。求人情報に載っていた「時給」は、どうやら幻だったようです。現実にはビール1杯で給料が変わってきます。

「あの後輩に負けた……」

「やった、今日は200杯もいった!」

1試合1試合、一喜一憂の繰り返し。グラウンドで選手が熱く戦っているなか、スタンドでも売り子同士がバチバチと火花を散らしているのです。

ロッカールームでは各社の売り子たちが狭いスペースに押し込まれ、素っ裸になって着替えます。シャワーはないので、汗拭きシートでさっと汗を拭いて帰ることになります。

売り子は「かわいくないと売れない」というイメージがあるかもしれません。必ずしもそうではないのですが、見た目が華やかな売り子が多いのも事実です。それは、この世界特有の“生存競争”があるから。売上があげられなければ出勤調整がかかり、稼げなくなった子からやめていくのです。

売り子にとっての「花形」は、なんといってもビールです。みんなビールを背負いたくて、売り子をやっていると言っても過言ではありません。なんとなく、ビールってカッコイイじゃないですか。私のなかでの位置づけはビールが最上位、次いでサワー、ハイボール、お酒(日本酒、梅酒など)……というイメージです。

結果を残している売り子ほど、花形のビールを担当できます。逆に結果をあげられないと、悲惨な目に遭います。私もスパークリングワインを担当した日に1日1タル分しか売れなくて、涙にくれました。タルがからっぽにならなければ補充のために基地に戻れず、お茶も飲めないんです。

生ビールサーバーは20キロほどの重さになりますから、幼稚園児を常に背負って階段を上り下りしているようなもの。私のなかでは、酸素が薄いなかで登山している感覚でした。ここで、売り子ならではの「職業病」をいくつか紹介しましょう。

(1)両肩から両脇にかけて、黒ずみができる
→ビールサーバーのショルダーストラップが食い込み、すれて黒ずんでいきます

(2)ヒザがアザだらけになる
→ビールを提供する時に通路にしゃがみ込むため

(3)皮膚が弱い子は肌が荒れる
→ビールを注ぐ際にしぶきが自分にかかり、アルコールで肌荒れします

過酷な労働に加えて、この世界では恐ろしい「暗黙のルール」が存在します。

「なんで私のお客さん取ったの?」

たとえば、お客さんが手を挙げて売り子を呼んだ時、あいにくビールが売り切れて補充しなければならなかった時。お客さんが「じゃあ、その後ろの子のビールでいいや」と代わりの売り子からビールを買ったとしましょう。

するとビールを売った売り子は、のちに売り切れだった売り子から「ドーン!」とタルをぶつけられます。「なんで私のお客さん取ったの?」というわけです。お客さんにとってはどうでもいい話なのですが、なかにはそんな怖い売り子も実在するのです。まるでプロ野球の「報復死球」のような話ですね。

売り子の世界はゴリゴリの縦社会です。売り子たちは受け持ちのエリアが決められており、自然と「常連さん」が生まれます。先輩が売り子を引退する際、常連さんが後輩へと引き継がれることもよくあります。他社の常連さんも顔を覚えていきます。

先輩から紹介してもらった常連さんのなかに、何十年も東京ドームに通い続けているご夫婦がいました。毎年、毎年同じ席に座られて、旦那さんだけビールを買ってくださるんです。奥さんがいる日は2〜3杯に抑えているのに、お友達と一緒の日はもっとたくさん注文して。とても素敵なご夫婦でした。

いろんなお客さんとお話ができて、それぞれの人生が透けて見える。それが売り子の醍醐味なのだろうなと感じます。

いろんな野球ファンとお話しするうちに、球団によってファンに特徴があることがわかってきました。

たとえば、巨人ファンなら序盤で大量失点して負けそうになると、すぐに帰ってしまいます。売上的にはすごく困るので(笑)、できる限り接戦になってほしいと願っていました。

ヤクルトファンならクーラーボックスなどを持参する「持ち込み」が多く、売上に響いて泣いた思い出が残っています。中日ファンは動員数が寂しく、「もっと中日ファンが増えてほしい!」と祈っていました。阪神ファンは動員が多くて勝っている試合は気前がよく、広島ファンは動員が多いうえに勝っても負けても飲んでくれました(すべて私の勝手なイメージです)。DeNAファンは……ごめんなさい、あまり記憶に残っていないのですが、スターマンがかわいかったです。

ちなみにビールが一番売れるのは、実は巨人戦より夏場に開催される都市対抗野球大会でした。東京ドームで1日3試合も組まれて、関東の大企業が出場すると動員数もものすごいんです。企業によっては金券が配られ、社員の方がどんどんビールを買ってくれます。いかにも重役風の方が「みんな、飲みな!」と大量注文してくださることもありました。売り子にとって最高のイベントです。

ビールを売るために必要なもの

東京ドームでの売り子は過酷な体験でしたが、今の仕事に生きているとも感じます。

売り子が背負っているものは、どの人もほとんど同じ。そんななか、私から買ってもらうためには私自身を売り込まなければいけません。歩き方から研究して、終了間際には常連さんに挨拶回りして営業する。常に人から見られるなか、自分をアピールすることは今となんら変わらないなと感じます。売り子をしていなかったら、今の仕事はしていなかったのでしょうね。

そして、もうひとつ私のなかで変化がありました。それは、野球場という空間が大好きになったことです。

お客さんがたくさん入ると、野球場って不思議と暖かくなるんです。私がおもに担当していた2階席には、モワモワ……と何かが上がってきます。そんな熱気に包まれて汗をかきながら飲むビールは最高です。今もルールを完璧に覚えたとは言いがたい私ですが、おいしい焼き鳥とビールコップを手に持って野球を見るのが大好きになりました。かつてドラえもんを飛ばした野球中継のテレビの中には、こんなに広い空間が広がっていたなんて……。

そんな話を書いていたら、また野球場に行きたくなってきました。それではみなさん、また野球場でお会いしましょう!

◆◆◆

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(ぽぽちゃん)

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