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2021年のシーズン限りでプロ野球を引退し、「株式会社斎藤佑樹」の社長となったハンカチ王子と現代ビジネスがコラボして始まった本連載。新米社長・斎藤佑樹が、財界の名だたる大物や先輩を訪ね、忖度なしの質問をぶつけ、経営のヒントを学んでいく。

連載第3回目となる今回の対談相手は、ジャニーズ事務所を経て、2021年より株式会社TOKIOで取締役副社長を務める、日本のトップアイドルの一人・国分太一氏だ。彼はタレントとしてバレエティなどに出演しながら、地域の「モノづくり」を発信し、地方創生に取り組んでいる。斎藤佑樹氏と国分太一氏は、対談を通して「未来づくり」について語っていく。

斎藤佑樹
元プロ野球選手。1988年、群馬県生まれ。早稲田実業学校高等部時代の2006年、夏の甲子園大会で優勝。田中将大投手（現・東北楽天ゴールデンイーグルス）との投げ合いが熱狂を巻き起こし、「ハンカチ王子」として一世を風靡する。早稲田大学を経て、2010年にドラフト1位で北海道日本ハムファイターズに入団。現役通算89試合15勝26敗。2021年10月に現役引退。2021年12月、株式会社斎藤佑樹を設立して代表を務める。

国分太一
株式会社TOKIO-BA代表取締役社長。1974年、東京都生まれ。TOKIOのキーボード担当。「ザ!鉄腕!DASH!!」（日本テレビ系）、「TOKIOカケル」（フジテレビ系）、「男子ごはん」（テレビ東京系）などテレビ出演。2021年4月、城島茂、松岡昌宏とともに株式会社TOKIOを設立。取締役副社長（企画担当）を務める。2022年5月、福島県西郷村に広さ8万平方メートルのフィールド「TOKIO-BA」を設立。現在整備を進めている。

野球＆サッカー少年だったTOKIO国分太一

斎藤佑樹太一さんは野球をやられたことはありますか。

国分太一野球は小学3年生ぐらいから始めました。僕の世代って野球とサッカーを両方やるんですよ。マンガの「キャプテン翼」がはやっていましたからね。土曜日はサッカー、日曜日は野球という感じで、小さいころは野球とサッカー三昧でした。

斎藤Jリーグが始まった（1993年5月）ころですか。

国分いえ、僕は1974年生まれの48歳なので、それよりずっと前です。Jリーグが始まったころは、もう20歳手前でした。

PhotobyTsuranukuKumagai

斎藤1988年生まれの僕らの世代は、太一さんが出演している「ザ!鉄腕!DASH!!」（日本テレビ系、1995年放送開始）や「ガチンコ!」（TBS系、99〜2003年放送）をみんな観ていました。「ガチンコ!」の「ファイトクラブ」を観ながら「メチャクチャカッコいいなあ」とあこがれていましたよ。

国分斎藤佑樹さんが「ファイトクラブ」とか観てたんだ。マジですか。

斎藤あれから20年も経つのに、ずっと変わっていませんね。

国分いやいや、ずいぶん丸くなりましたよ。当時は竹原慎二さんやヤンチャなボクサーと同じノリで、僕もオラオラ系のしゃべり方でしたから。

斎藤「ザ!鉄腕!DASH!!」でDASH村の企画が始まったのは2000年です。この番組も昔から大好きで、ずっと観ています。

国分ヤンチャな若者をボクシングで更生させたり、福島で村を開拓したり、この20年間いろいろな仕事をやってきました。僕はもともと歌を歌って、人を喜ばせることしか興味がなかったんです。たくさんの人と出会い、TOKIOをおもしろがってくれるスタッフの皆さんがプロデュースしてくれたおかげで、レールの上に乗っかってアレよアレよという間にここまで来ました。

DASH村でじいちゃんばあちゃんから学んだこと

斎藤アイドルグループが頭にタオルを巻いて、村で農業に挑戦する企画は斬新でした。リーダー（城島茂さん）が「地図にDASHの文字を載せたい」という目標を掲げて企画がスタートしたのを、今でもよく覚えています。

国分正直言って、最初は泥にまみれて農作業をやるのは嫌々でした。「なんで自分たちがこんなことをしなきゃいけないんだ」とブーブー言っていたんですよ。リーダーの目標を聞いても「夢があっていいね」と冷めていました。

ところが作業に勤しむうちに、スーパーじいちゃんやスーパーばあちゃんのスキルに感動し始めたんですよ。縄って普通だったらハサミで切るじゃないですか。ところがスーパーじいちゃんは縄を揉んで揉んで柔らかくして、手で引っ張ってパーン！とぶった切るんです。「ヤバイ！かっけえ！なんですか、それ！僕にもやり方を教えてください！」って。

PhotobyTsuranukuKumagai

斎藤農業にしてもモノづくりにしても、多くの人が「地道でキツイ作業」というイメージをもっていたはずです。太一さんたちがDASH村で挑戦したことによって、僕らの目に農業やモノづくりがとてもカッコ良く映りました。

国分じいちゃんやばあちゃんたちは、何十年も繰り返してきた普段の生活を送っているだけです。その普通の生活の中に、先祖代々伝えられてきたスキルと知恵があふれんばかりに詰めこまれていることに気づきました。生きるためのスキルと知恵を、僕らも学んで日本中の視聴者に伝えていきたい。最初は嫌々だったDASH村の農作業が、年々どんどんワクワク楽しくなっていきました。

「Doityourself」から「Doitourselves」へ

斎藤2021年4月に株式会社TOKIOを設立されたことにも驚きましたが、2022年5月に「TOKIO-BA」を設立し、太一さん自身が株式会社TOKIO-BA社長に就任されたことにはもっと驚きました。

国分福島県西郷村にフィールドを買って、2022年5月5日に「TOKIO-BA」を設立しました。テーマは「Doityourself」（自分自身でやる）ではなく、「Doitourselves」（みんなでつくろう！）です。主人公はTOKIOの僕らだけではありません。「皆さんもTOKIOになりませんか？」が合言葉です。

斎藤近所のおじいちゃんやおばあちゃんと一緒にDASH村を開拓していったように、みんなを仲間に巻きこんで「TOKIO-BA」を開拓していくのですね。

PhotobyTsuranukuKumagai

国分アウトドアフィールドをどう開拓していくのか。ここで何をするのか。「TOKIO-BA」のゴールがどうなるのかは、僕らにもまったく想像できません。フィールドづくりのアイデアをみんなから募って、TOKIOの一員として楽しい居場所とエンタメをつくっていく。こういう場所って、世界中探してもなかなか珍しいのではないでしょうか。

たとえば宿泊施設の建設をお手伝いしてくれた人がいるとしますよね。その人が家族や仲間を連れてきたときに、「これ、オレがつくったんだよ」と絶対自慢すると思うんですよ。それを聞いた友だちは「次は自分もTOKIO-BAづくりに参加したい」と思うはずです。

何もない野っ原から始まるエンタメって、なかなかありません。ゼロからフィールドをつくり始める楽しみに、僕は今とてもワクワクしています。

連載第2話へ続く。

PhotobyTsuranukuKumagai

カメラマン：熊谷貫
ヘアメイク：永野あゆみ（アートメイク・トキ）
スタイリスト：曽川七菜（Yolken）

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