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朝に元気をもらったり、寝る前に疲れを癒やしてくれたりと、女子アナの声は私たちの生活に彩りを添える。では、もっとも官能的で艶っぽい声の持ち主は誰か。音声分析の専門家が科学的に検証する。

前編記事『女子アナの中で「だれが最も官能的で艶っぽいセクシーボイスなのか」を科学的に検証…「音声分析」で判明したその答え』より続く。

年上のお嬢さまタイプ

ここからは上位に食い込んだ女子アナを見ていこう。5位タイが江藤愛アナ（37歳）、滝川クリステルアナ（45歳）、渡邊あゆみアナ（63歳）だ。

「江藤アナの声は息成分が適度に多く『ウィスパーボイス』と言っていいでしょう。男が甘えたくなるような艶っぽさがあります。滝川アナの声も多くの息成分が見られますが、江藤アナよりも個性が際立っています。吐息に限りなく近いブレス（息継ぎ）を行うため、いっそう色気が増している。また、どの周波数でも声が細かく震えていることが多い。これによって女性的な『か細さ』がプラスされています」

渡邊アナは、『NHKニュース』のキャスターや『歴史秘話ヒストリア』の案内役などを務めたことのあるレジェンドだ。今回分析した女子アナの中では、速度・抑揚においてもっとも「正確さ」が際立っていたという。

「機械的に一定というわけではなく、緩急のつけ方も非常に自然。技術力はピカイチと言っていい。それでいて、幅広い周波数で声を使いこなしています。低い周波数から高い周波数まで声紋（波の重なり）がビッシリある。これは声に幅広い周波数帯の音が分布している証拠で、聞く人には安心感を与えます。以上の要素を踏まえると、渡邊アナの声は非常に品が良い年上のお嬢さまタイプで、叱られたくなるような艶っぽさがあると言えます」

寄り添ってもらっている感覚に

そして3位につけたのは小谷真生子アナ（58歳）だ。『ワールドビジネスサテライト』（テレ東）で16年にわたってキャスターを務めたことで知られている。彼女は「ゆらぎ」で高得点を叩き出した。

「小谷アナは非常に特徴的な話し方です。話が終わるときに大きく息を吸うことで声を完全に途切れさせる癖がある。たとえば『しました』が『しましたっ』と聞こえます。

本来ならば聞き手を突き放しているような印象になってしまうのですが、不快感はない。その理由は、途切れるタイミングが『一定ではない』という点にあります。タイミングに自然さ、自由奔放さが際立っている。頼れる女社長のプレゼンテーションを聞いている感覚に近いのです」

小谷アナと同じ91点を叩き出して、3位タイにつけたのが有働由美子アナ（54歳）だ。

「有働アナの声は主に高音で構成されています。話している最中に200Hzを下回ることは滅多にありません。抑揚をつけながらも高音をキープできているので清廉さや上品さが感じられます。

同時に有働アナは、語尾が100Hz以下にクッと下がることが多いという特徴もある。会話のところどころに小さな頷きのような箇所があることで聞き手は寄り添ってもらっている感覚になります。男性にとって癒やされる声だと思います」

ハキハキとした声の究極形

小谷アナや有働アナのような大ベテランは、「大人の女性」としての魅力が声に滲み出るのかもしれない。続く2位にも、大御所の女子アナがランクインした。『ニュースステーション』（テレ朝）で久米宏とタッグを組み、一世を風靡した小宮悦子アナ（65歳）だ。

「渡邊アナと似たタイプなのですが、渡邊アナよりも声紋の幅が広い。相当な発声練習をしなければできる芸当ではない。その上、息成分が少ないので、かなりの早口であっても文言のひとつひとつが明瞭に聞こえます。

飾りのない、ハキハキとした声の究極形と言っても過言ではありません。理知的で、手の届かない憧れの存在だと感じさせる風格もある。思わず説教を受けてしまいたくなるエロスを感じます」

上位に居並ぶレジェンドアナを抑え、「SEXYボイス」を持つナンバーワン女子アナに輝いたのは誰か。それはテレ東の田中瞳アナ（26歳）だ。

『ワールドビジネスサテライト』や『モヤモヤさまぁ〜ず2』など、看板番組を次々と担当している若手エースである。

天才だけが醸し出す官能

「田中アナの声には、他のアナには見られない特徴がいたるところにあります。たとえば、発話の際に周波数が上向きで始まり、下降して終わる。これが9割以上の確率で起こっています。普通の人には見られない特徴で、後天的に身につくものではありません。周波数を細かく区切るような話し方をしつつも音量の浮き沈みが少ないため、聞き手に睡眠を誘発するレベルの安心感を与えます。

さらに、周波数の使い分けもできています。人がもっとも聞きやすいとされる250Hzの声を確実に会話のピークに持ってきている。これが声に優しさや柔和さを付与しています。『甘え上手の艶っぽさ』と『叱られたくなる艶っぽさ』の両方を兼ね備えた、まさしく稀有な官能的音声の持ち主と言っていいでしょう」

あなたのお気に入りの女子アナの声は、どこに魅力があるのか。それを知れば、ニュースを見るのがますます楽しみになるはずだ。

「週刊現代」2023年6月3・10日号より

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