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ダチョウ俱楽部結成前に「もう巡り合ってはいたんですよね」俳優・肥後克広が語る「40年後の再会」

ダチョウ俱楽部結成前に「もう巡り合ってはいたんですよね」俳優・肥後克広が語る「40年後の再会」 (全8枚)

唐十郎さんの舞台で、老人役を熱演中

今年7月9日から上演されている舞台『少女都市からの呼び声』。劇作家・唐十郎さんが生み出したアングラ演劇の世界で、ベテラン俳優・六平直政さんとともに老人役を演じているダチョウ俱楽部・肥後克広さん。

どんな経緯で俳優業を始めることになったのか。役者として初めて出演した作品、ダチョウ俱楽部結成前のエピソード、映像作品で苦労したこと、唐十郎さんにまつわる話など、今まであまり明かされなかった“俳優・肥後克広”の魅力の核心に迫る。 

初舞台は、ダチョウ俱楽部結成前の「赤信号劇団」

――現在、お笑い以外に俳優としても活躍されていますが、最初に出演した作品は覚えていますか?

肥後:舞台ってなると、最初はコント赤信号(渡辺正行さん、ラサール石井さん、小宮孝泰さんからなるお笑いトリオ)が「赤信号劇団」っていう劇団みたいなのを作って、そこに出たのが最初ですね。 

劇団「第三舞台」の主宰・鴻上(尚史)さんが脚本を、劇団「第三エロチカ」の主宰・川村毅さんが演出を担当されていた舞台(’84年上演の『マゼラン・ブルー』)。たぶん、ダチョウ俱楽部を結成する前だと思います。

――映画やドラマの初出演は記憶していますか?

肥後:映画は三上博史さん主演の『ビリィ★ザ★キッドの新しい夜明け』(’86年公開。バップ/パルコ)で、MP(ミリタリー・ポリス)かな。アメリカ陸軍の憲兵として立ってるだけの役でした。 

ドラマは『世にも奇妙な物語』(フジテレビ系・’90年放送の「そこに扉があった」)が最初だと思います。『世にも〜』の時は、セリフと動きが一致するまで大変でした。セリフは問題なかったんだけど、演出の方から「ここまで動いてから、ここで立ち止まって」みたいな細かな指示があって。 

例えばペットボトルを持ってグビッと飲むとしたら、「カメラが肥後さんの顔付近にくるので、もうちょっと移動させてください……(肥後さんがペットボトルの位置を徐々に調整して)あ、ここです」ぐらいまで指定された(苦笑)。それでかなりテンパっちゃって、その後ひっちゃかめっちゃかになったんです。 

めっちゃくちゃNG出しましたよ。今思えば、僕がセリフだけ覚えていったから、向こうが細かい指示を出してくれたってことなんだけどね。「あらかじめ自分なりに演技プランを考えていかなきゃダメなんだ」って痛感したのを覚えてます。 

20代の頃。無料の舞台を観に行ったら、出てたのがジモンさんと上島さん

――そもそも「俳優をやってみたい」という気持ちはあったのでしょうか?

肥後:いやいや、まったく。最初は芸人さんがワンポイントでドラマに出るみたいな、よくあるパターンで出ることになったんです。(寺門)ジモンさんや上島(竜兵)さんは劇団「テアトル・エコー」の養成所出身だけど、僕はストリップ劇場(渋谷道頓堀劇場)から出てきてますから。そこは2人とぜんぜん違いますね。 

――実際に作品に出演してみて、お芝居の世界は向いてるなと感じましたか?

肥後:合ってるっちゃ合ってますね。お笑いって漫才とかいろいろあるけど、僕はコント屋さんだから。役を演じてる時が非常に心地良いというか、好きなんだなっていうのは思います。 

コントっていうのは、医者やお巡りさん、寿司屋、サラリーマン、カメラマンとか、いろんな役をやるので、何となくそういう役のオファーがきたときは違和感なくできるというか。上手い下手は置いといて、“気持ちの部分で”ですけどね。「おー、今回はこの役か」「この衣装か」っていうのはすごい楽しみでもありますね。 

――若手時代からお笑いだけでなく、演劇の舞台もよく見ていたのでしょうか?

肥後:「赤信号劇団」に出てた20代の頃は、勉強のために頑張っていろんなお芝居を観ましたね。当時はネットがないから、雑誌の「ぴあ」を読んだりして。若手時代はお金もないじゃないですか。ある日、ぴあに「テアトル・エコーの舞台が無料で観られる」って書いてあったから、それを観に行ったんです。

舞台が終わると、さっきまで演じてた役者がそのまま客席に出てきて、「お疲れぇ〜」とか言って打ち上げが始まった。最初は「あれ?」って戸惑ったけど、「あ、そういうことか」と思って。ほとんど出演者の知り合いが観にきてるから、僕のことを「あれ誰の友だち?」みたいになってたらしいんです。 

その時の舞台に出てたのが、(寺門)ジモンさんと上島(竜兵)さん。お互いに何の面識もなかったし、そこで何かが始まったわけでもないんですけど、もう巡り合ってはいたんですよね。 

お笑い1本になった後は、『志村魂』(’06年からスタートした志村けんさん主催・主演の舞台。ダチョウ俱楽部はすべての公演に出演した)っていうのに出会って。そこで共演した役者さんの別の舞台を観るって感じです。だから、そのあたりからは「このお芝居、評判いいから観に行こう」ってよりも、「誰々が出てるから観に行こう」ってことがほとんどになりましたね。

朝ドラ『ちむどんどん』では、街で「ありがとうね、多めに給料渡してくれて」って言われて…

――NHKの朝ドラ『ちむどんどん』では、工事現場の親方役で出演されていて、仲間由紀恵さん演じる比嘉優子にいつもより多めにドル札を渡すシーンがすごく印象的でした。

肥後:あのシーンはロケなんですけど、工事現場のトラックとか炊き出しの感じとか、僕が子どもの頃に見てた“ドル札を使ってる時代の沖縄の原風景”をそのまま再現してたので、すごいと思いました。資料写真をもとに作ってるとはいえ、「ああ、そうそうそう」って感激しましたね。 

僕が沖縄にいた頃は戦後のアメリカ統治下で。本土復帰する’72年5月までドルを使ってたんです。ただ仲間さんが生まれた時代には円になってたから、当時のドル札の価値が今一つわからないと。それで「これくらいのドル札だと、いくらぐらいになるんですか?」と聞かれて、「仲間さんトコの子ども3人だよね。じゃ何とかご飯は食べられるけど、貯金はできないかもしれないですね」ってアドバイスしたりもしました。 

驚いたのは、その回が放送された後。街を歩いてると、いろんな方に「ありがとうね、多めに給料渡してくれて」って言われたんですよ。それまでいろんなドラマに出たけど、そんな声なかったから朝ドラってやっぱすごいなって。「そんなにちゃんと役として見てるんだ」ってビックリしちゃいましたね。

――これまでNHKの朝ドラや大河ドラマ、刑事ドラマなど幅広く出演されていますが、一番難しかったのはどんな役どころですか?

肥後:今年3月〜4月にかけてWOWOWで放送された『フェンス』っていう沖縄のドラマがあって、そこで僕がNG出しまくったんですよ。正確なセリフは忘れちゃったけど、例えば「それは人違い(人の「と」が上がる)だ」って言うとしたら、「いや、違います。人違い(人の「と」が下がる)ですよ」って指摘されちゃって。 

そもそもイントネーションを間違えて覚えてた……というか、僕は日常的にそう使ってたんですよね。だから、繰り返すほどに「うわぁ〜」ってなっちゃって。また僕が国際犯罪対策室の室長っていう役で、緊迫した格好いいシーンなんですよ。しかも、カット割りなしのワンショット。僕がスマホ片手に階段をダダダダダっと降りて、廊下を歩きざまにカメラがフワっと抜けていく。捜査も大詰めだから、急いでるの。 

たしか「上官は現場にいるわけ?」みたいなセリフをしゃべりながら階段を駆け降りていって、「それは人(違い)……」で毎回ストップして「はい、もう1回」みたいな。「人違い」だけなら言えるけど、流れでしゃべるとどうしても間違っちゃう。しまいには、片言の日本語みたいになっちゃたりね(笑)。 

僕がNG出すだけじゃなくて、それによってスタッフみんなが巻き込まれるから、もう何度も「(泣きそうな声で)申し訳な〜い!」って言って。あの時は本当にどうしようかと思いました。現場には、本当にご迷惑をお掛けしましたね。 

ついに本物の唐十郎さんの前でお芝居する時がきた

――7月9日から唐十郎さん作の舞台『少女都市からの呼び声』に出演されています。過去に唐十郎さんの「紅テント」(「劇団唐組」による移動式テント劇場の通称)を観たことはありますか?

肥後:20歳ぐらいの時に観てるんですよ。新宿・花園神社の境内に建てられた真っ赤なテントでぎゅうぎゅうに詰められて観たんですけど、ぜんぜん理解できなくて「ひえぇ〜」って。それで終わってたんですよね。 

それから約40年経って自分が出ることになって。最初はすごいビビってたんですけど、いざ出て稽古とかやってるとすごい楽しいんですよね。みなさんがやってるお芝居を見てても、「おー、面白い芝居だなぁ」と思ったし。歳をとったからなのかどうなのか、すごく楽しめるようになってました。 

――今回の舞台も、雰囲気としては当時のままなんですか?

肥後:テントと劇場の違いはありますけど、雰囲気は当時のままですね。演出の金守珍(キム・スジン)さんに「40年前に観たけど、あの時は何も理解できなかった。桟敷席で死にそうでしたよ」って言ったら、「あー、40年前は客を客と思ってない時代だ」って笑ってました。アングラ演劇も時代を経て、徐々に変わっていったんでしょうね。

――唐十郎さんご本人と接点はあったのでしょうか?

肥後:今回の舞台の稽古中に、唐さんがいらっしゃってお会いしたのが初めてです。唐さんの目の前で、ちょこっと六平(直政)さんとのシーンを演じた時は「ひえぇ〜」ってなりました。 

もちろん唐十郎さんは知ってるけど、まさかご本人を前に芝居するなんてね。すぐそこに座って見てるわけだから、そりゃ緊張しましたよ。「ついに本物の唐十郎さんの前でお芝居する時がきたんだ」と思いましたね。 

やっぱり、演出の方って役者をにらんで怒鳴りつけるみたいなイメージが漠然とあるじゃないですか。でも、実際には何も言わずに笑ってくれていたのでホッとしました。昔は怖かったみたいですけどね、当時を知るみなさんから話を聞くと。ニコニコして見てくれる時代にお会いできて良かったです(笑)。 

六平さんは天才肌で、奇才で、むちゃくちゃな人…

――すでに公演はスタートしていますが、最初に『少女都市からの呼び声』の台本を読んだ時はどんな印象を持ちましたか?

肥後:40年前に書いた作品らしいんですけど、今読んでもすごく面白い台本なんですよ。文字だけ読むと、「おー、やっぱり唐十郎さんの世界だな」って感じますけどね。 

今回、僕は六平さんとのツーショットでやるんですけど、例えば「元気かぁ?」みたいな会話があって、急に「定期買ったか?」「定期は何日に買うんだ?」とかって関係ないセリフが飛び出す。それが不条理というかアングラというか、唐十郎さんの世界だなぁと。 

それに加えて、演出の金さんが「これ足そう」「あれ足そう」って際どいセリフを足していくから、どんどん色が濃くなっていくんですよ。

――稽古が始まってから、役作りで苦労した部分はありましたか?

肥後:僕の相方の六平さんに引きずり回されてます。稽古中に「リーダー、こっちだ!」ってワーって進んだら、「やっぱ違う。こっちだ!」って感じで(苦笑)、言ってることがどんどん変わる。六平さんは天才肌で、奇才で、むちゃくちゃな人だから、一緒にやってると大変ですよ。 

六平さん、風間(杜夫)さん、ほかの座員の方たちは、6月に花園神社で本番をやってるんですよね。もうセリフから何から仕上がってる状態だから、みなさんビンビンで稽古に臨んでましたね。

――お話を伺ってるだけでも、今回の舞台の熱気が伝わってきます。

肥後:台本も面白いし、役者もすごいんですけど、映像も素晴らしいんですよ。粒揃いのキャストとスタッフと映像制作がガチャンって見事にハマってる。ヤバい作品になりましたよ。これ、たぶん賞とると思います。 

アメリカだとトニー賞ってありますよね。日本だと何の賞があるかわからないけど(笑)、何かしらで表彰されるはず。それで演出家の金さんが、またワンステージ上に行くんじゃないですかね。 

肥後克広’63年沖縄県生まれ。’85年、上島竜兵さん、寺門ジモンさんとお笑いトリオ・ダチョウ倶楽部を結成。リーダーを務める。体を張ったリアクション芸、「ヤー!」「聞いてないよォ」などのギャグ、個人ではDREAMSCOMETRUEの中村正人さん、森本レオさんなどのものまねで人気に。’22年、「純烈♨ダチョウ」を結成し精力的に活動中。舞台『少女都市からの呼び声』の東京公演はTHEATERMILANO-Zaで7月9日〜8月6日まで上演。主演は安田章大さん(関ジャニ∞)、共演は咲妃みゆさん、三宅弘城さん、風間杜夫さん、六平直政さん、など。

取材・文:鈴木旭
フリーランスの編集/ライター。元バンドマン、放送作家くずれ。エンタメ全般が好き。特にお笑い芸人をリスペクトしている。2021年4月に『志村けん論』(朝日新聞出版)を出版。個人サイト「不滅のライティング・ブルース」更新中。http://s-akira.jp/

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