「風来坊」のコンビ名で2012年から芸人として活動する横浜市出身の伊山亮吉さん（31）は、怪談師としての顔も持つ。怪談の腕を競うコンテスト「怪談最恐戦2022」で優勝した実力者で、自身のユーチューブチャンネルなどで披露している。主に他人の体験から怪談を仕入れているという。そんな伊山さんを恐る恐る訪ねた。【聞き手・宮本麻由】

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――いつから怪談が好きですか？

◆幼い頃から家族でテレビの怪談を見ていたので、自然と好きになった。

怖い体験もある。3、4歳の頃に隣で寝ていた母親の体から、幽体離脱のように母親がもう1人出てくるのを見たことがある。もう1人の母親の顔を見てはいけないと感じ、急いで母親を起こした。「夢だったのかも」と思ったが、翌日の朝に母親に何があったのかと聞かれて「あの夜の出来事は本当だったんだ」と思った。

――怖いですね。ただ怪談師として話すのはほとんどが人から仕入れていると聞きます。どのように引き出しているのですか。

◆誰かに怖い話を聞くときに「怖い話ある？」と聞いてもだめ。例えば、小学生の時のこと聞かれてもすぐには当時の記憶が出てこないと思う。でも6年間、絶対に何か思い出があるはず。そのときに、「小学校の時の思い出はありますか。僕は運動会の時に足くじいちゃって……」という風に会話を始めると、「小学校、運動会」という単語で、人は思い出を掘り返すことができる。だから「怖い話ありますか。この前タクシー運転手に……」と自分から話し始めるのがポイント。記憶を思い出しやすくするための会話を自分から始めることが大切。

――どんな場所で怪談話を集めていますか。

◆タクシーなどもありますが、2018年から働いている「怪談ライブBarスリラーナイト歌舞伎町店」に来たお客様から聞くことがほとんど。怪談Barに来る人は怖い話が好きで怖い体験をしていることも多いが、意外とそのお客様に連れてこられた人の方が、とんでもなく怖い話を持っていたりもする。やっぱり人は思い出せないだけで、意外と怖い体験をしているのかも。

――怖い話をする時に意識していることはありますか。

◆元々が人見知りで、話す時に相手の顔色をうかがってきた。芸人の仕事をしていると、お客様の顔がよく見えて「今つまらないんだ」とかの感情がステージ上からよく分かってしまう。なのでなるべく短くまとめて抑揚をつけて話すようにしている。あとは、急に驚かせて怖がらせる話し方が好きではないので、淡々と自然と話している。人見知りだけど、人と話すのが好きで、この仕事をしている。

――今後のイベント情報などを教えてください。

◆8月3日午後7時半から、ルミネtheよしもと（東京都新宿区）で「ルミネthe怪談〜芸人が語る怖い話」に出演します。怖い話をたくさん持った芸人が集結します。ぜひ！

伊山亮吉（いやま・りょうきち）さん

1992年、横浜市生まれ、在住。高校卒業後の2012年に吉本興業に入った。「風来坊」として芸人デビュー。18年から「怪談ライブBarスリラーナイト歌舞伎町店」で働き始める。怪談コンテストにも出場し、「怪談最恐戦2022」で優勝を果たす。20年には、ユーチューブチャンネル「伊山亮吉の怪談チャンネル」を開設した。

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