「夢のような時間でした」

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卒業の記者会見でそう語ったのは、NHKの教育番組「おかあさんといっしょ」で、2019年から4年にわたり体操のお兄さんを務めた“まことお兄さん”こと福尾誠（31）。

ミュージカルにも挑戦（本人公式HPより）

高い身体能力と爽やかなルックスで愛された、まことお兄さんが今年3月、番組を卒業した。

その衝撃は、子どもたちに留まらずママ世代に拡大。

「2月20日に卒業が朝日新聞などでも報じられ、ツイッターのトレンド1位に。また、4月20日発売の『おかあさんといっしょ誠お兄さん卒業記念MOOK』もアマゾンの写真集ランキングで2位と好発進しています」（芸能記者）

文春オンラインの取材に丁寧に応じたまことお兄さん

その人気の秘訣は、群を抜いた体操技術にもあると語るのは、福尾の前任の小林よしひさ。

「体操競技をやってきたので、動きがキレイです。バク転などのアクロバットは歴代のお兄さんの中で一番じゃないでしょうか」

まことお兄さんといえば、

「2021年、文春オンラインが、結婚していたことと2人の子どもの存在を報じました。本人は、丁寧に取材に応じたため、むしろ好感度が上がった」（前出・記者）

福尾は1992年、3人きょうだいの末っ子として東京都に生まれた。岡山の関西高校を経て、順天堂大学に入学。体操競技部の恩師・原田睦巳監督が語る。

「オリンピックを目指していた彼にとって大きな挫折だった」

「大学3年生の時、肩の手術をして、1年間全く練習ができなくなったんです。オリンピックを目指していた彼にとって大きな挫折だったでしょう。その代わりに、学生コーチ的な役割を担ってくれました。裏方の仕事をしたことで、人間的に成長していきました」

福尾自身も、前出のムックで当時をこう振り返る。

「オリンピック選手になるのはごく数人。ぼくのようにほとんどは挫折してしまいます。ならば自分の経験を生かして彼らの役に立てないか、と思いました」

大学卒業後は、大学院でアスリートの脳に関する研究をしつつ、学生たちの指導にもあたった。当時の教え子で、現役体操選手の鈴木茂斗（あいネットグループ所属）は、こう振り返る。

「技が成功すると選手以上に喜んでくれる。選手に寄り添うコーチでした」

福尾の元に「おかあさんといっしょ」のオーディションの知らせが舞い込んだのは2018年。

「朝7時頃に来て鏡の前でダンスの練習をしたり、体操部の練習が終わった後、遅くまで残って1人で練習していました」（原田監督）

夢をつかんだ福尾に、原田監督はある言葉をかけた。

「『チヤホヤされることもあるかもしれないけど、自分が偉くなったと勘違いするようなことはあってはいけない。変わっちゃいけないよ』と、伝えました。すると『肝に銘じます』と素直に答えてくれました。先日、『番組を卒業することになりました』と挨拶に来てくれたのですが、いつもと変わらない福尾くんでした」

卒業後、ファンクラブを開設し、活動の幅を広げる福尾。いつまでも“まことお兄さん”のままではいられない。

（「週刊文春」編集部／週刊文春2023年5月4日・11日号）

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