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指原莉乃のMC番組が続々終了し注目、負の要因に「敵がいない」

指原莉乃のMC番組が続々終了し注目、負の要因に「敵がいない」

指原莉乃さんは、先手を打ったのか落ちぶれたのか。「ゼロイチ」や「推しといつまでも」など、MC番組が次々と終了すると報じられ注目を集めている。

かつては「さしこのくせに」なる番組もあったように(さしこ=指原さん)、彼女はもともと「弱者」「持たざる者」という立ち位置だったはず。「神7」と呼ばれた黄金期のメンバーと比べると、どこか芋臭く泥臭く、お茶の間やメンバーからもいじられキャラとして定着していた。

【写真を見る】あどけない表情!17歳当時の指原の「お宝プリクラ」

一方で、努力と根性はトップクラス。24時間ブログ更新100回に挑戦し、アメーバブログランキングで1位を獲得。後に「24時間での個人ブログへの最多コメント」というギネス記録を打ち立てた。ファンの男性との交流が発覚し、HKTに「左遷」されるも、翌年の選抜総選挙では当時の最高獲得票数となる15万票超えの人気を集めて1位を獲得し、自身初のセンターポジションを獲得したという経歴の持ち主だ。

指原莉乃のMC番組が続々終了し注目、負の要因に「敵がいない」 指原莉乃

がむしゃらな弱者が、強者を倒す。AKBでの勝ち筋に沿って、指原さんはバラエティーでもトークの才能を発揮していった。アイドルでありながらも非モテ・陰キャの立場を取り、港区女子的な女性も一刀両断。またフットボールアワーの後藤輝基さんや、ダウンタウンの松本人志さんら、芸歴も年齢も上の男性にも容赦無く突っ込む姿勢に視聴者は沸いた。

最も反響が大きかったのは、「ワイドナショー」で松ちゃんからの「お得意の体を使ってなんとかすれば」という発言を「何言ってるんですか!やばっ」とドン引きして見せた回だろう。大物芸能人のセクハラを即座にいさめた姿勢、そして「…松本さんが干されますように!!!」とユーモアを交えておきゅうを据えたSNSでの対応も含め、アフターフォローまで完璧だと賞賛された。

不愉快な思いをしたであろう女性視聴者を慮りつつ、大物男性芸能人の失態も笑いに変えた見事な振る舞いは、彼女の賢さを全方位に印象付けたのではないだろうか。

その賢さがMCへの起用につながったものの、指原さん自身は早晩立ち行かなくなることを見越していたようだ。

折に触れて繰り返して語っていたのは「テレビには未練がない」という自らのスタンス。昨年放送された「さしフワご相談ナイト」でも、女性タレントにとって情報番組の生放送のMCが「最後」と実感したこと、「女一人で進行って、相当力がないとできないと思ったし、私には無理だなと思った」と語っている。

ただ、彼女が力不足というよりは、今までと同じような戦い方ができなくなってしまったという方が正しいのではないか。コスメやカラーコンタクト、アイドルグループのプロデュースなど大活躍。見た目だってずいぶん垢抜けた。かつての「神7」たちを超える影響力を持つ指原さんは、今や弱者どころか「強者」の側に立ってしまったのだから。

弱者戦略の成功と失敗で重なるあの人指原さんも抱えるリスクとは?

同じやり方で人気者となった女性で、現状が重なる人がいる。小池百合子都知事だ。

圧倒的な支持を得て都知事選を制した時は、自民党東京都連の推薦を得られず、さらに石原慎太郎氏の「大年増の厚化粧」発言もあった。けれどもそうした逆風を逆手に取り、旧態依然とした男社会に立ち向かう「いじめられているか弱き女性」というイメージが功を奏した。「小池劇場」と呼ばれる立ち回りのうまさは常に、強大な権力や敵に立ち向かう弱者の私、という構図に則っていたといえる。

しかしその後はこれといった業績もないまま、指原さん同様に「落ちぶれた」と批判されてばかりである。公約として掲げた「七つのゼロ」はいずれも実現せず、念願の東京オリンピックもコロナ禍と不祥事のダブルパンチ。いつもの戦略で成功したのは、女性蔑視発言をした東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長を辞任に追い込んだ時だけだ。

自分より知名度も権力もあるオジサンに盾突くように見せて、実は男社会でいいポジションを獲得し続ける状況判断力と器用さと度胸。それはまさしく、指原さんの賢さにも通じる。

実績の無さとは関係なく、都知事2期目は楽勝で当選した。有力な対抗馬がいなかったからで、その状況は今も変わらない。

それはMCを務めるほどまでに売れた指原さんに、今では憎むべき敵もライバルも見当たらないのとよく似ている。

敵がいないということは、指原さんや小池都知事タイプにとっては武器を失うということである。そして最も怖いのは、ひとたびのし上がって強者の立場になれば、今度は自分が斬られる側に回るというリスクではないだろうか。

「賢い」女性たちは続々と結婚…「小賢しい」と背中合わせの女性タレントたちの引き際

ベッキーさんに矢口真里さん、小島瑠璃子さんといった面々を見てもわかる。「賢さ」を買われてMCを務めた若き女性タレントは、スキャンダルが出たら最後、「賢い」ではなく「小賢しい」と徹底的にたたかれる。指原さんもとっくに、その域に到達していることは自覚しているに違いない。

こじるりは先日、結婚と妊娠を発表した。弘中綾香アナやみちょぱ(池田美優)さんなども次々と家庭を持ち始めている。

大御所芸能人をものともしない舌鋒の鋭さと、空気を読んだ立ち回りで「賢い」と賞賛された女性たちはよくわかっている。立場が上の男性に偉そうな口を聞いてももてはやされるのは、「かわいい小娘」として許される年齢のうちだけだと。

指原さんも結婚間近かともささやかれているが、彼女の「賢さ」の幕引きが、MC番組終了という形で消費されてしまうのはなんとももったいない。最近は冷めた口ぶりが目立つが、あまりに守りに入った言動もまた小賢しく見えてしまう。彼女の持ち味は賢さだけでなく、泥臭いほどの野心でもあったはず。スキャンダルでも結婚でも出馬でもない、日本中を熱狂させてきた指原劇場ならではの第二幕を期待したいものである。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

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