(全7枚)

東京・青山のタワーマンション最上階には、故・ジャニー喜多川氏が住んでいた。

数多くのベッドルーム、大勢で食事のできるダイニングテーブル、カラオケのある防音仕様の部屋、シアタールームにズラリと並ぶゲーム……。

欲しい物がなんでもあり、毎日多くのJr.メンバーが遊びに来ていたという。ジャニー氏に気に入られると鍵を渡され自由に出入りできた。しかし、そこは性加害の現場でもあったのだ――。

ジャニー氏による性加害を実名告発し、大手芸能事務所の暗部を明かしたカウアン・オカモト（27）が振り返る壮絶半生の第３回。【第２回：東京ドームで歌った後にコンビニバイトのJr.時代】の続編だ。地元・愛知県豊橋市からアーティストを目指しジャニーズ事務所へ入所したカウアンを「悪夢」が襲う。以下はカウアンの回想だ。

「以前から、ジャニーさんがJr.メンバーを襲っているという噂は聞いていました。でも都市伝説だと思っていた。売れているメンバーへの嫉妬から生まれたオーバーな話だろうと」

「カウアン、早く寝なよ」

カウアンがジャニーズ入りして日の浅い’12年３月のことだ。仕事を終えると、他のメンバーたちとジャニー氏の家に行き泊まることに。出前の夕飯を食べ終えると、ジャニー氏が話しかけてきた。

「ユーたち早く寝なよ。カウアン、早く寝なよ」

名指しされたメンバーはジャニー氏の寝室か、近くの部屋で寝なければならない。サッサッサッサッ……。カウアンが近くの部屋で寝ていると、夜中にジャニー氏がスリッパで歩く音が。室内に入ってきたジャニー氏は、布団をはがしカウアンの腰のあたりに横になった。

「胸がバクバクしました。着ていた浴衣をはだけさせられ、下着の上から下半身を撫でられます。そして直に手で触られ口で……。気持ち悪いと思いながらひたすらガマンしました。後で誰かに『された？』と聞かれても『知らない』ととぼけるために、寝ているふりをしていたんです」

カウアンはジャニーズを退所するまでに15〜20回の性被害にあった。思い出したくない体験だ。それでもジャニー氏に対する感謝の気持ちは変わらないという。

「ジャニーさんのしたことは人として許されません。しかし僕にとっては、エンターテインメントの世界に導いてくれた大恩人でもあります。ジャニーさんと出会わなければ、現在の僕はなかった。被害を受けても感謝の気持ちは変わらないんです。

一方で、ジャニーさんはコンプレックスを抱えていたんだとも思います。お父さんは真言宗の僧侶で厳しい人だったそうですが、同性の子どもが好きという秘密を抱えて生きてきた。身長も決して高くない。そうした劣等感があったからこそ、裏方に徹し表舞台には出なかったのでしょう」

「ユーが決めた道だから」

ジャニー氏の口添えもあり、芸能界でキャリアを積んでいったカウアン。しかし葛藤もあった。

「僕の夢はジャスティン・ビーバーのように、ソロ音楽家として世界の多くの人々を感動させることです。ジャニーズにいては所属するグループにこだわらなければならない。

仕事は増えましたが、バラエティ番組やドラマへの出演が多く『このままでいいのか』という思いが強くなっていきました。将来に不安を抱きながら安定した仕事のあるジャニーズにいるのは保身ではないかと、疑問を持ち始めたんです」

’16年８月、カウアンはジャニーズを辞める。退所の意思を伝えると、ジャニー氏は「ユーが決めた道だから」と納得した。カウアンはすぐに再スタートを切る。ある作曲事務所と手を組み、同じく将来を不安視していたJr.メンバーと活動を始めたのだ。当初、評判は上々だった。しかし……。

「ジャニーズから『King&Prince』がデビューしたんです。レコード会社からは、同じタイミングで僕らをデビューさせることはできないと言われました。関係もギスギスし始め解散。給料も仕事もなくなり、月３万円で一畳半のトランクルームを借り荷物を預け銭湯に通う日々です。

ただ、立ち止まってはいられない。’19年７月にはジャニーさんが亡くなった。思い出されたのは、生前かけられた『ユー、やっちゃいなよ』というジャニーさんの言葉です。一人で曲を作りながら、次のステージを進もうと決めました」

カウアンは照準を’20年夏に予定されていた東京オリンピックに絞る。日本で行われるスポーツの祭典を自身のルーツであるブラジルに伝えたい。カウアンはブラジルでの再起を期す。ところが、再びトラブルに襲われる。

「新型コロナウイルスの蔓延で、五輪が延期となりプロジェクトは白紙となりました。’22年６月に再びブラジルへ行く計画を立てましたが、今度は直前にカメラマンやDJが失踪。プロジェクトが２度も破綻してしまったんです。ブラジルの関係者に対しては、僕が一人ひとり回り謝りまくりました。

悪いことは続きます。直後には母親が病気で入院。僕も『（仲間に）裏切られた』という思いが募り、心労が溜まっていたのでしょう。心の限界を超え突然気絶してしまったんです。病院での診断はパニック障害。不安のせいで、外出もままならない日々を送ることになりました」

一人で悶々と過ごすうちに、カウアンが一つの決心をする。もう周囲に振り回されない。自分に嘘はつかず正直に向き合おう。そうした決意から今回の性加害告発にいたる経緯については、10月26日朝７時配信予定の【第４回：新曲の歌詞に込めた感涙の意味】で詳しく紹介したい。

外部サイト カウアン告白【第１回】…「肩に彫ったタゥー」衝撃写真と「小田和正」で芽生えた音楽愛 カウアン告白【第２回】…「東京ドームで歌った後にコンビニバイト」のJr.時代の壮絶生活 【超絶カッコイイ！】カウアン・オカモト…ジャニーズJr.時代の「国宝級のイケメン」写真

• 
•