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自由奔放なギャル2人と、それをまとめるギャル男という異色の布陣でバラエティ番組でも活躍するお笑いトリオ『ぱーてぃーちゃん』。もともとコンビを組んでいた金子きょんちぃと信子に、すがちゃん最高No.1が加わる形で2021年に結成された。

元キャバ嬢、徳川家の末裔といったギャル2人のプロフィールが注目されることも多いが、実はすがちゃん最高No.1も「中学から1人暮らしをしていた」という異例の経歴を持つ。

今年7月にはテレビ朝日『激レアさんを連れてきた。』にも出演し、その生い立ちを語った、すがちゃん最高No.1にインタビューを敢行。今までテレビでは語られなかった衝撃的なエピソードも続々と飛び出した。（写真／神谷美寛）

すがちゃん最高No.1
お笑いトリオ『ぱーてぃーちゃん』ツッコミ・ネタ作り担当。
1991年生まれ。山形県山形市出身。
ワタナベコメディスクール19期出身。

父方の実家で育つ

産みの母親を3歳で亡くしてからは、親父の実家があった山形市で5人暮らしをしていました。親父、伯母さん（父の姉）、ばあちゃん、じいちゃんの5人です。

親父は他に家庭があったりして、小学校低学年くらいからほぼ家にいなかったから、一家の大黒柱は伯母さんでした。僕にとっては母親代わりという感じで、「家のなかでは一緒にいないと嫌」というくらい懐いていました。

小学校高学年くらいの時に、そんな伯母さんが東京に行ってしまうことになり、じいちゃん、ばあちゃんとの3人暮らしがはじまりました。伯母さんは僕を心配して、東京で一緒に暮らさないかと誘ってくれたんですけど、逆張りをして断っちゃったんです。

気がついたら、1人暮らしに……

「カッコよくありたい」みたいなのが強すぎて、伯母さんと別々になって悲しいんだけれど、「悲しんでいる僕ってカッコいいな」と悦に入っていました。

夜になって寂しくなると「いま一番泣いたらカッコいい場所」を家の中で探すんです。「ここ微妙に月見えるな」みたいな場所を探して、誰もいない部屋で月明りのもとで涙を流していました。それで「キタキタ、いいシーンだ。いまカッコいいぞ、僕」と思っていました。

伯母さんが東京に行って間もなく、じいちゃんが亡くなって、ばあちゃんと2人暮らしになります。それである日、体調を崩したばあちゃんが高齢者施設に入って、気がついたら1人暮らしになっていました。中学1年生のときです。

「俺の目指すべき道はこれだ」

もともと常に家族の誰かがいるような家ではなかったので、明確に「1人暮らしになったな」というような瞬間はなかったです。

休日に友達が家に遊びに来ることになって、普通だと親の許可がいると思うんですけど、そのときに「あれ、家に友達呼び放題だぞ」と思って自由を感じた、というのはありました。悲しいとか寂しいとかよりも先に、自由になった開放感があったんです。

それでも中学校の同級生には1人暮らしをしていることを内緒にしていました。やっぱり秘密がある男の方がカッコいいじゃないですか。スマートな主人公が出てくるドラマが好きで、バリバリ働くエリートサラリーマンが仕事で疲れて帰ってきたあとに、家で1人でオシャレなご飯をサッと作って食べる、みたいなシーンを見たときに、「俺の目指すべき道はこれだ」と思いました。

友達のお母さんの家事を盗み見

そこから当然、洗濯や炊事などを1人でやることになります。周りには1人暮らししていることを内緒にしているので、やり方を聞けないんです。

だから、友達の家に遊びに行ったときに、その家のお母さんが家事をしているところを盗み見て、こっそり習得していました。それぞれ家の間取りによって家事をしているところの見やすさが違うので、遊びに行く友達の家を使い分けていました。

洗濯のやり方を知りたいときは平屋一軒家の友達の家に。2階建てだと水回りがリビングと別の階にあったりして、なかなか自然に見に行けないんですよ。平屋だと水回りが一つの導線に集約されているんで、トイレに行くフリをしながら洗濯を盗み見できます。その友達の家の洗濯機はちょうど家で使っているのと同じタイプのものだったので、運が良いな〜、と思いました。

「柔軟剤」への遠い道のり

「柔軟剤」というものを知らなかったんですけど、その存在に自力で辿り着いたときは感動しました。自分で洗濯した体操着はただ汗の臭いが取れているだけで無臭なのに、同級生の体操着からはシャボンみたいな良い匂いがしていたんです。それから、ドンキの香水コーナーで同じ匂いを探したんですけど、どれも違いました。

これは石鹸の匂いなんじゃないか、と予想して、洗濯が終わったあとの乾いた体操服に石鹸を塗っていた時期もありました。塗り終えた直後は「この匂いだ！」と正解に辿り着いた気持ちになったのですが、学校へ行って、その体操服に着替えると全身がヌルヌルするんです。ちょっと水分が付くと泡立ちますし、「これじゃないのか……」と。

ついに「ダウニー」に辿り着くも……

僕、中学の時にカッコつけて知ったかぶりをしていたんです。知ったかぶりをするためにいろいろなものの名前を覚えていたので、香水の話になったときに「○○ちゃんは○○の香水だよね」と当てずっぽうで言いました。そうしたらその子に「これ、○○じゃなくてダウニーだよ」と言われて。それで、「これは何だ、話の流れ的にもどうやら香水の名前では無さそうだぞ」となりました。

伯母さんは、定期的に生活必需品を詰めた段ボールを送ってくれていました。それで、その会話をした翌週くらいに送られてきた段ボールが「元・柔軟剤が入っていた」段ボールだったんです。それではじめて「柔軟剤」というものを知って、薬局で探してみたら、その子が言っていた「ダウニー」に辿り着きました。

すぐにそれを使おうと思ったんですけど、洗濯機に「柔軟剤入れ」というものがあることを知らなくて、洗剤と柔軟剤を一緒のところに入れていたんです。ぜんぜん良い匂いにならなくて、「ここまで辿り着いたのになぜだ」と思って、量を多めに入れて試行錯誤しました。それがエスカレートして1回でボトル半分くらい入れたときはもう家じゅう「ダウニー」の匂いになって、若干鼻が痛くなりましたね。

「出汁」の存在に気づき、驚愕

料理の作り方を知りたいときは、キッチンが壁に付いているタイプの友達の家に。カウンターキッチンの家だと、友達のお母さんとどうしても目が合ってしまうので、料理している手元をこっそり覗けないんです。壁付きキッチンだと背後から手元を盗み見できました。

自分で味噌汁を作っても、なぜかまったく美味しくならず、不思議に思っていたときに友達のお母さんが「粉末状の何か」をお湯に入れているのを見たときはびっくりしました。そのあと、似たパッケージをスーパーで探して「出汁」に辿り着きました。

調理実習ではたどたどしさを演出

家の近所のスーパーは卵が安かったので、簡単でごちそう感の出るオムライスもよく作っていました。僕の人生の基本は「モテたい」と「カッコよくありたい」ということにあります。オムライスはうまく作れるとカッコいいじゃないですか？とろとろのオムレツをナイフで切って開くタイプのオムライスを自分で作れるようになったときは「俺、カッケェ」と思いましたね。

本気を出すと1人暮らしであることがバレてしまうと思っていたので、調理実習では手加減をしていました。例えばピーラーで皮を剥くときに、慣れていないと力加減が分からずつかえたり、剥く方向を間違えたりするんですけど、僕はもう使い慣れているから一撃でスンって剥けるんです。

でも、包丁に置いて剥いたほうが剥きやすいと知りつつわざと手に持ったまま剥いたりして、たどたどしさを演出していました。フライ返しで返すところとか、千切りをするところとかそういう見せ場っぽい瞬間だけは「女子見ろ！」と思って本気でやっていたのですが、そんなところは誰も注目していませんでしたね。

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