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ヒット曲「愛は勝つ」で知られ、がんを公表していたシンガー・ソングライターのＫＡＮ（本名・木村和＝きむら・かん）さんが１２日に死去していたことが１７日、明らかになった。６１歳だった。死因は明らかになっていないが、今年３月に「メッケル憩室がん」を患っていることを発表し、闘病生活を送っていた。人々の記憶に残る名曲を残した、シンガー・ソングライターの知られざるエピソードを公開――。

ＫＡＮさんは１９８７年にデビューし、９０年のシングル「愛は勝つ」でブレークした。山田邦子のフジテレビ系「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」（８９〜９２年）の挿入歌に起用され、累計で２００万枚超の大ヒット。９１年の日本レコード大賞（ポップス・ロック部門大賞）を受賞し、ＫＡＮさんは同年の「第４２回ＮＨＫ紅白歌合戦」に初出場した。

「邦ちゃん――」では替え歌「愛はチキンカツ」も誕生。「心配ないからね君の想いが〜」が「心配ない唐揚げ君のお餅が〜」などと、歌詞の一部をことごとく食べ物に替えられた。

「ＫＡＮさんは当初、怒りました。純愛をテーマに作詞作曲した曲をちゃかされたからです。でも当時、子供たちには大ウケ。これで気を良くして『ま、いっか』と受け入れ、本人もお気に入りの替え歌になりました」（音楽関係者）

今年３月には「メッケル憩室がん」と診断されたことを公表した。コンサートツアーは中止。入退院を繰り返しながら治療を続けたが、１０月に入って突然、「Ｘ」（旧ツイッター）でフランスを訪れていることを報告した。大病に侵されながら、投稿された写真には豪華なフレンチが並んだ。事情を知る関係者の話。

「料理の量がちょっと多いと話題になりました。奥さんも一緒だったそうです」

９９年に結婚した、妻でバイオリニストの早稲田桜子さんだ。

ＫＡＮさんは「フランス人になりたい」というほどのフランス好き。２００２〜０４年、パリに音楽留学している。

「当時、一緒にフランスに滞在したのが桜子さんです。彼女も学生のころから仏音楽に親しんでいました」（前出関係者）

つまり、今年１０月に訪れたフランスは夫婦ともに大好きで、思い入れの深い国だった。

「ＫＡＮさんは周囲の心配をよそに、病を押して奥さんと訪れたわけです」（同）

ＫＡＮさんは帰国後の１０月１１日、Ｘにこう投稿している。

「だいじょぶでした、おれ！多大な御心配をおかけした皆さま、ありがとうござました」（原文ママ）

「愛は勝つ」の最後の歌詞「必ず最後に愛は勝つ」通り、がんの症状にも勝って渡仏してみせた。愛妻との、最期の?旅行?だったのかもしれない。

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