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「アフレコによる収入だけでは食っていけない」声優が「アイドル・タレント化」してしまった特殊事情

〈「声の仕事だけでは事務所経営も不可能!」声優事務所の社長が「アフレコ以外の仕事をどんどんやるべき」と語る真意〉から続く

なぜ今の声優は、アフレコ以外の仕事も積極的にやらないといけないのか?声優が「タレント」として歌や踊りなどさまざまな仕事に進出していった特殊事情を、アイドル声優のプロデュースに関わる株式会社スタイルキューブ代表のたかみゆきひさ氏が解説。

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業界事情から、今直面する問題、声優のプロデュース/マネジメント術を明かした新書『アイドル声優の何が悪いのか?タレントとしての声優マネジメント』(星海社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

「アフレコによる収入だけでは食っていけない」声優が「アイドル・タレント化」してしまった特殊事情
声優はなぜアイドル・タレント化したのか?画像はイメージ©getty

◆◆◆

声優事務所は実質エージェント契約

最初にお話ししておくと、声優業界は《実質》「エージェント契約」で芸能界は「マネジメント契約」です(あえて《実質》と書いた理由は後述します)。これ、一般には意外と知られておらず、ゆえに声優業界も芸能界と同じような契約なんだろうという認識で語られることが多いです。しかしそれが大きな問題なんです。

さて、エージェント契約とマネジメント契約はそれぞれどういったものなのでしょうか。先にみなさんが知っている(と思う)「マネジメント契約」について。

「マネジメント契約」はタレントが事務所から雇用されているような関係です。わかりやすく言うと一般的な会社と社員のような関係で、原則的に所属する事務所の仕事をし、他社とは直接仕事をしません。よって事務所の決めてきた仕事をこなし、何か事故や事件などがあれば事務所が責任を持って対応してくれたりします。なかには各種保険などの面でも手厚い事務所もあります。良くいえば「面倒見てくれる」、悪くいえば「自由が制限される」ということになります。日本の芸能界ではほとんどがこのマネジメント契約なので、おそらく一般的にみなさんの持っている芸能プロダクションの契約形態の認識はこれです。

これに対して「エージェント契約」は、事務所が何でも面倒見てくれるわけではない。「自分でどうにかする」が基本の契約です。海外ではこのエージェント契約が多く、わかりやすい例としてハリウッドスターのエージェント契約で見てみましょう。

エージェント契約ではタレントがすべての決定権を持ち、映画などの出演交渉などをエージェント契約した会社に業務委託する形になります。委託された事務所側は映画会社などとの仲介業務が基本となり、ほかの余計なことはしません。よって、レッスンも宣材写真の撮影や手配、スキャンダル対応なども、それぞれの業務が個別に外注することになったとしても原則的にはすべてタレントが責任を持って対応することになります。

タレントがマネージャーを雇っているような関係なので、事務所にタレントが所属しているマネジメント契約の逆です。エージェント契約はタレントに自由がある反面、「面倒見てもらえない」ということになります。この違い、大事なことなので覚えておいてください。

収録現場にマネージャーが立ち会わない理由

さて、エージェント契約とマネジメント契約の違いを理解したうえで声優業界を見てみましょう。

声優業界ではフリーや個人事務所の人以外は基本的に声優事務所に「所属」という形をとっているので一見するとマネジメント契約のように見えます。しかし、芸能界と比較すると、先にお話ししたように事務所の取り分が少ないことに起因して、声優業界では事務所側が《タレント=声優》に割くことのできる労力は限定されてしまいます。そのため声優事務所がタレントに接する姿勢は、ひとりの才能を手厚く育成/フォローするというより、仕事を仲介したりスケジュールを管理したりする事務的な性格が強くなります。

極端なケースですと、声優事務所はデスクワークだけで仕事が完結します。この場合、アフレコスタジオに台本を取りに行くのは声優本人です。収録現場にもマネージャーは立ち会いません。声優が新人かベテランか、また人気の度合いによって事務所が割くリソースにはグラデーションがありますが、芸能界と比較すれば事務所側の人的リソースは少ない。マンツーマンでマネージャーが対応しているのは、かなりの人気声優だけとなります。人気声優であっても現場に常にマネージャーを帯同するわけではなかったりします。

僕が2000年代に声優業界で本格的に仕事をするようになって衝撃だったのは、原稿チェックや雑誌やCDジャケットの写真セレクトをマネージャーではなく声優本人がしていたことです。芸能界ではこれらはマネージャーの仕事です。マネージャーはプロなので、それらを即日作業して返すこともよくありますが、声優業界では声優本人がするので一週間待たされることも普通でした。

また、とある人気女性声優とお仕事をしたとき、所属事務所からその女性声優の電話番号やメールアドレスを伝えられ、「直接やりとりしてください」と言われたことがあるのですが、芸能界のマネジメントに慣れていた僕は「どういうこと?」とびっくりしました。しかもほかの事務所の声優さんでもそうだったので、「そういう業界なんだ」と認識するようになりました。「芸能界とはまったく違うんだ」と。

これ、要するに《実質》エージェント契約みたいなものなんです。決めごとは基本的に声優が行う。だからなのでしょうか、当時声優はわりと頻繁に事務所を移籍して、とくにそれが業界的に問題があるような気配もさほど感じられませんでした。

「事務所が何もしてくれない」と悩む人も

事務所との契約のことを聞いたら「してない」という人もそこそこいたので、そういう背景もあったのかもしれません。契約書がなくても業務が成立しているというのはお互い信頼関係があるということなので、喜ばしいことではありますが、とある声優から「事務所が何もしてくれない」と相談を受けたことがあり、その旨を所属事務所の担当の方に話したら、事務所が面倒を見る範囲はきちんと線引きされているというお話でした。

要するに「声」の仕事以外は、事務所は本人に任せて関与しないというスタンスです。事務所の少ない取り分からすればその言い分はわかりますし、至極真っ当と言えます。しかしそれを悩んでいる声優当人に話しても、彼女としては事務所がするべきことはいわゆるマネジメント契約の内容であるという認識。声優本人としては声優以外の仕事でどう振る舞ってよいのか、どう自分の身を守るのかなんてわからないわけです。声優側と事務所側にこうした認識の隔たりがある業界なんだなと痛感しました。

この問題、両者とも悪いとは言いづらい。理屈では事務所が正しい。でもエンタメとは決して理屈で成立するものではなく、声優のその状態には心を痛めます。そしてここ数年で業界を取り巻く状況は大きく変わっていきました。

僕が前項のような経験をした頃、アニメはいまほどには大衆化していませんでしたが、声優はブームとなって日本武道館でコンサートをやる人が出ているような状態でした。雑誌でグラビアが組まれるようにもなり、だからこそ声優が写真をセレクトしなければならない状態だったわけです。とはいえ、ギャランティーについてはアニメにおいてはランク制度などの制定はあったものの、その金額が市場規模に対して大きく変わることなくいまに至ります。

声優はメインカルチャーになったけど…

声優/声優事務所は、テレビアニメのアフレコによる収入だけでは食っていけないことはこの章の始めで確認しましたよね。そこで声優業界では「アニメのアフレコ」以外で、より高額な収入が発生する仕事が必要となってきました……キャスティングなどの制作業務や養成所などもそうですが、声優業界は大きくなっていった声優人気という需要もあり、声優のアイドル化/タレント化を受け入れる方向に進行してきたわけです。いまや声優が歌ったり踊ったりすることは当たり前の時代になり、10代の若い世代の声優も増えました。

これはなるべくしてなった進化であったと思います。これまで裏方であった声優というタレントに付加価値をつけて展開したほうがマーケット/ビジネスは広がります。アニメやゲームを中心とする日本のサブカルチャーが台頭した時代が望んだ流れでもあるでしょう。「付加価値のついた声優」=「アイドル化/タレント化した声優」というものが生まれ、世の中に認知されたおかげで「アイドル化/タレント化した声優」は通常より多くのギャランティーを手にすることができました。これは喜ばしいことだと思います。

アニメ業界でも様々なビジネスチャンスが生まれました。なりたい職業ランキングの上位に声優が入るようにもなりましたし、業界の活性化に繫がったことは間違いありません。しかしサブカルチャーが大衆化してメインカルチャーとなると、起こるべき問題=しわ寄せが当然発生します。

〈「アイドル化した人気声優ほど衰弱しやすい」“活動休止する声優”が急増した「2つの理由」〉へ続く

(たかみゆきひさ/Webオリジナル(外部転載))

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