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東山紀之が「最後の主演舞台」で口にした意味深なセリフとは

2023年9月に旧ジャニーズ事務所、SMILE-UP.の取締役社長に就任した東山紀之は、11月23日に主演舞台『チョコレートドーナツ』の大千秋楽を迎え、演者としての活動は年末恒例のディナーショーを残すのみとなった。

【画像】ジャニー喜多川氏の性加害を想起させるセリフも…最後の舞台でドラァグクイーンを演じた東山紀之の写真を見る

現在、社長としての横顔しかほとんど語られない彼の最後の舞台はどのような様子だったのか。人生最後のステージから彼の幼少期まで遡り、人間・東山紀之について考えてみた。

東山紀之が「最後の主演舞台」で口にした意味深なセリフとは
東山紀之©文藝春秋

俳優としての最後の舞台『チョコレートドーナツ』

時は2020年12月28日、渋谷・PARCO劇場の2回目のカーテンコールは観客が総立ちとなった。自らもダウン症で、ダウン症のある少年マルコ役を演じた高橋永は喜びを爆発させながら、上手から舞台中央にいるドラァグクイーン役の東山紀之に一目散に駆け寄り、まるで跳び箱でも飛ぶかのように、東山にジャンプして飛びついた。東山は筋肉質な腕で、飛び込んできた高橋をガシッと抱く。東山とゲイカップルを演じた谷原章介が、東山にとても懐いている高橋の姿を愛おしそうに見つめている。

この日、東山と谷原を演技で食った高橋永は相当手応えを感じていたのだろう。舞台の面まで出てきて、『笑っていいとも!』でタモリが観客の拍手を煽るマネまで始めた。

宮本亞門演出で世界初演となった舞台『チョコレートドーナツ』は、新型コロナウイルスの感染者が出たことで、PARCO劇場の全27公演のうち14公演が中止に追い込まれた。出演者もカーテンコールでは互いにスペースを空け、まだ喜びを表せられなかった時期だ。

どんよりとした世の中の空気を知ってか知らずか、感情をほとばしらせる高橋永。東山は満塁ホームランを打った打者を迎えるかのように、満面の笑みで高橋の頭をポンポン叩いている。クールなパブリックイメージのある東山紀之が興奮を抑えられずにいた。

約3年後の2023年10月29日、東山はまたもやPARCO劇場に立っていた。NHKでドキュメンタリーにもなった『チョコレートドーナツ』の再演である。

作品冒頭、ドラァグクイーン役の東山がスポットライトを浴びて、ショーパブのステージに登場するシーンがある。初演はコロナ禍で半数以上の回が中止になった悔しさを晴らすがごとく、東山は頭上に掲げた両腕が指先までピンと伸び、華やかなオーラを放っていた。

しかし9月に急遽SMILE-UP.社長となり、この演目が生涯最後の舞台となった再演では、登場シーンも心なしか疲れのようなものが感じられた。実際に翻案・脚本・演出を担当した宮本亞門は、上演パンフレットで「今回は、東山さんの事務所社長への就任などで、上演が危ぶまれ、不安な日々が続きました」と語っている。

ジャニー喜多川氏の性加害をどこかしら想起させる舞台に

『チョコレートドーナツ』は、東山紀之の代表作となるであろう作品であった。元来、東山は器用な役者ではない。2008年の舞台『さらば、わが愛覇王別姫』で演出をした蜷川幸雄にはこう言われている。

《「ヒガシ、おまえには情緒がないんだよ、情緒が」》(「週刊朝日」2010年4月9日号) 

情緒を出そうとすると、過度に芝居がかってしまう。実は、『チョコレートドーナツ』再演の前半もそうだった。ところがマルコ役を演じるダウン症の丹下開登が登場すると、予定調和ではない丹下の演技に引っ張られるのか、東山の母性めいた人間性がドロっと出てくる。会話がよりスムーズになり、実母に捨てられた少年マルコを守りたいゲイとしての人間味があふれ出る。

『チョコレートドーナツ』は、同性愛者への差別と偏見が根強かった1979年のカリフォルニアで、ゲイのカップルが見捨てられたダウン症の少年マルコ(丹下開登・鎗田雄大・鈴木魁人トリプルキャスト)を引き取って育てようとするストーリーだ。まさかセリフの1つひとつが、初演から3年経って、これほどまでに意味深に響くとは思わなかった。

ゲイカップルに引き取られているという偏見から、日本だと児童相談所に当たるアメリカの家庭局に連れられてきたマルコは、家庭局員に「あなたは下着で隠すところを、ルディとポールに触られたりしませんでしたか?」と聞かれる。また、ルディ扮する東山のセリフ「キング牧師が言ってた。一番恥ずべきことは、知っていて、何もしないこと」。そしてもう1つ、東山ルディが丹下マルコに対して言うセリフ。「私がマルコにしたいのは(この世が愛に満ちていることを教えるために)魔法をかけること」

ジャニー喜多川氏の性加害を否が応でも想起させるセリフだ。そして本来であれば、観客に魔法をかけるエンターテインメントの仕事を一生続けたかったであろう東山が、この舞台で役者稼業を終える。劇中に何度か出てくる「魔法をかける」のセリフを聞きながら、満員の観客がその意味を噛み締めていた。

再演のカーテンコールは4回、観客は総立ちだった。マルコ役の丹下開登は初演からの続投で、気心の知れている東山を温かく見つめている。高畑淳子、八十田勇一、まりゑも初演に引き続き連投のため、人生最後の舞台となる東山を力強い拍手で称えていた。そして当の東山は、初演にも増して腹筋が割れ、腕もちょっとムキムキになっていた。

「もともと僕は不器用で緊張するタイプ」

旧ジャニーズ事務所の後輩は、俳優以外にも非凡な才能を見せる人が多い。そのことをかつて東山はこう語っている。

《踊りの覚えは早いし、トークもうまいし、後輩ながら何と才能あふれた人たちだろうと感動しますよ。僕は、そういう後輩が出てきたことで、自動的に上に押し出されちゃっただけで、先輩として意識的に彼らに何かを教えようなんてことは、まったく考えてません。(略)実際、僕は後輩たちに負けないくらい努力してるつもりだし。まあ、彼らが僕のそういう姿を見て、何か学んでくれることがあるなら、嬉しいですけどね。》(「ポポロ」2001年12月号)

1985年12月に少年隊として『仮面舞踏会』でレコードデビューを果たすと、翌86年から2008年まで毎年続くオリジナルミュージカル『PLAYZONE』が少年隊の帰るべきステージのホームグラウンドとなる。

その間もソロ活動には恵まれた。1988年には、当時史上最年少座長として大阪・新歌舞伎座で『沖田総司』を1ヵ月公演。2年後の1990年には、坂東玉三郎演出で『なよたけ』に主演する。さらに翌91年には、『スパニッシュ・ミュージカルバルセロナ物語』で単独ミュージカル主演を務め、ジーン・ケリーとフレッド・アステアの写真を自宅に飾るほど好きな彼はジーン・ケリーの名作ミュージカル『雨に唄えば』まで1996年に主演している。(「婦人公論」1997年9月号)

森光子、山岡久乃、松方弘樹、若山富三郎、萬屋錦之介と、名優たちに可愛がられた。それにしても東山が不思議なのは、毎回舞台のパンフレットやインタビュー記事などで、読者が若干野暮に感じるほど、自分自身の努力を語るところだ。

ダンスの名手でもあり、何でもそつなくやってのけるイメージがあるが、自身のエッセイ『カワサキ・キッド』でも「もともと僕は不器用で緊張するタイプだ。いまもそれは変わらない」と書いていて、実はコンプレックスを抱えているのかもしれない。

《せりふを覚える、演じるということは、国語の勉強と同じだと思うんです。僕はいつも辞書を片手に、意味がわからない言葉は、まず辞書を見て意味を理解して……(略)》(「せりふの時代」2004年春号)

《(『雨に唄えば』は)早く幕が開いてほしいと思ってました。タップだけで半年以上稽古しましたからね》(「ソワレ」1996年7月号)

《最近は亡き中村歌右衛門さんの映像を見たり、玉三郎さんにお話をうかがったりして勉強しています》(「トップステージ」2008年4月号)

《いま、知り合いの歌舞伎役者に女形について聞きまくってるところです(笑)。女形の声について“裏声と地声どっちで語るの?”と聞いたりね。(略)あと舞に関しては僕は1年半ほど日舞を習っていたことがあるんですけど、京劇の舞はまた別物なので、いま先生について少しずつ指導してもらっているところです。もちろん、中国史に関する資料も読み始めてますよ。蜷川さんに怒られないようにね(笑)》(「トップステージ」2008年2月号)

そんな東山を蜷川幸雄は「稽古前に色んな構想を描いてきたのかもしれないけど、全部、裏切ってやるよ」「ヒガシをグチャグチャにするからな」と言って迎えている。(「LOOKatSTAR!」2008年4月号・3月号))

壮絶な幼少期に助けてくれたのは在日コリアンの母子

東山紀之は白系ロシア人の血を8分の1引いており、幼少期、川崎駅近くのソープランドが密集する界隈、同じ川崎・桜本のコリアンタウンなどで育った。彼が毎日たゆまず筋トレを続けているのは、生後8ヵ月で父方の祖父が酔ってひっくり返した熱湯を両足に受け、大ヤケドで左足が変形したことに由来している。

左足をかばいながらも、徒競走ではいつも一等賞で、9歳でバック転をこなすほど運動神経がよかった。しかしデビュー直後の19歳の時、長年かばい続けた左足が悲鳴をあげる。股関節が激しく痛みだし、左足の軟骨がすり減ってしまったのだ。

医師からは「軟骨は増やせないから筋力で補うしかない。バランスよくトレーニングしていかないと、軟骨に負担がかかり、将来踊れなくなる危険がある」と告げられた。筋トレを続けるしか、演者として生きる道がなかったのだ。

このヤケドと父の酒乱と借金が引き金となり、東山の母は、彼が3歳の時に東山の妹も一緒に連れ、父と離婚する。小学4年で母は再婚するが、2人目の父もまた母や東山のみならず、妹にまで暴力を振るうようになる。理髪師として働き詰めだった母が再婚するまでは、同じコリアンタウンに住む在日コリアンの母子が何かと世話を焼いてくれたという。

《幼いころ、僕は在日の「シュウちゃん」の家に、毎日遊びに行っていた。焼き肉店をやっていたおばちゃんは、豚足とトック(おもち)をいっぱい出してくれた。

 

いつもすきっ腹だった僕は、蒸した豚足に赤いコチュジャン(唐辛子味噌)をつけてむしゃむしゃ食べた。温かいトックのうまかったこと!》(東山紀之『カワサキ・キッド』)

図らずも『チョコレートドーナツ』で、俳優としての東山紀之は終わりを告げる。事務所の後押しもあり、自分のやりたい仕事をかなり具現化してきたに違いない。ちなみに彼が「許されるなら、その人生を演じてみたい」と語っていたのは、「韓国人の被爆者の人生」だ。

《差別のなかで、さらにまた差別を受けた人々はどんな人生をどんな人生観で生きたのだろう。演じることが許されるなら、その人生を演じてみたい。伝える必要があると思うからだ。(略)

 

四十代以降になると、若いときより演じられる役が減ると言われるが、それは違う。

 

人生の本質を演じられるのはこれからだ。

 

人生の重みを出せるにはまだまだである。》(東山紀之『カワサキ・キッド』) 

2023年11月23日、愛知県・Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホールにて、大千秋楽を迎えた『チョコレートドーナツ』で、東山は人生の重みを出し切れただろうか。

彼の原点となる地は、川崎・桜本のコリアンタウンだ。小学生からの愛読書は『はだしのゲン』だという。 

そして東山が高校入学と同時に家を出たため、暴力の絶えない家庭に置き去りにされた妹は、中学を卒業すると寮生活のある自衛隊に入隊する。除隊後、母と同じように美容師の資格を取った後、建設関係の仕事に就き、兄をしのぐバイタリティで働いているという。

演者をなげうってでも、腹を決めた社長業。ぜひカワサキの反骨精神で邁進していってほしい。

【参考文献】

『チョコレートドーナツ』上演パンフレット(PARCO、2023年) 
東山紀之『カワサキ・キッド』(朝日新聞出版、2015年) 
「週刊朝日」(朝日新聞出版、2010年4月9日号)
 「ポポロ」(麻布台出版社、2001年12月号)
「婦人公論」(中央公論社、1997年9月号)
「せりふの時代」(小学館、2004年春号)
「ソワレ」(日本文芸社、1996年7月号)
 「トップステージ」(東京ニュース通信社、2008年2月号・4月号)
 「LOOKatSTAR!」(学研、2008年3月号・4月号)

(横山由希路)

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