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釈由美子(45)「受験に失敗、家は火事…」記憶がないほどのどん底から芸能界へ飛び込んだ日
多くのドラマや映画に出演し、女優として活躍する釈由美子さん。学生時代は目立ちたくないタイプだったという釈さんが芸能界で活躍するまでを聞きました。(全5回中の1回)
【画像】まさかのポニーテール!学生時代の釈さんの可愛いらしさが止まりませんほか(全24枚)
まさかのポニーテール!学生時代の釈さんの可愛いらしさが止まりません
裏方志望で履歴書を送ると「ワンダフル」出演へ
──長年、芸能界で活躍されている釈さんですが、学生時代はどんなタイプでしたか?
釈さん:中学、高校時代は地味なタイプだったんです。目立ちたくなくて、勉強ばかりしていました。まさか自分が芸能界に進むとは想像さえしていませんでしたね。
でも、大学受験に失敗してしまって…。ものすごい挫折感を味わいました。しかも家が火事になったり、人間関係がうまくいかなくなったりして、当時のことをあまり覚えていないくらいしんどかったです。
この時期にどん底を味わい、少し気持ちが振りきれてしまって。「これまでとは180度違う世界に挑戦してみよう」と、思いきって芸能界に飛びこびました。
──目立ちたくないタイプだったとは意外ですが、芸能界は入りたくてもなかなか入れない世界だと思います。どのように活躍の場を広げていったのですか?
釈さん:もともとCMプランナーの職業に興味がありました。当時流行っていた「私、脱いだらすごいんです」というエステのCMがすごく好きで。ああいったCMを作れたらいいなと思っていました。
とはいえ、そうした仕事にどうしたら就けるかわからず、そのCMに出演していた女優さんが所属する芸能事務所にプロフィールを送ったんです。私としては就職活動の一環のつもりでしたが、深夜バラエティ番組「ワンダフル」に出演することになりました。
いざ、現場に行くと、出演するメンバーはプロのモデルやレースクイーンとして活躍中のきれいな人ばかり。実績もほとんどなかった私は、華やかな現場で「本当に私がここにいていいのかな?」と、劣等感にさいなまれ、将来についてもあまり思い描けずにいました。
心境の変化があったのは、はじめての写真集を出版したときです。サイン会や握手会に、ファンの方が行列になるほど来てくださったんです。すごくうれしかったし、びっくりしました。
2001年に発売された写真集「PPP」に掲載されたグラビアのひとコマファンの方と直接お会いして「誰かに求められるってすごく幸せなことだな」と感じたんです。もっとたくさんの方に必要とされたいと思い、そこではじめてプロ意識が芽生えて、スタートラインに立てた気がします。
「天然キャラとしてよろしく!」求められる役割に苦悩
──その後の釈さんは、バラエティ番組で見ない日はないほどの活躍ぶりでした。
釈さん:当時はとんとん拍子に仕事が決まっていきました。すごく運がよかったと思います。ただ、私自身は芸能界についてよくわからず、バラエティ番組でも素のままの自分が思ったことを話していました。
そのときどきで感じていることを伝えていたつもりだったんですが、だんだん私の話した内容がひとり歩きして、天然キャラ扱いされるようになってしまい…。
──たしかに当時の釈さんは、天真らんまんな天然キャラというイメージがありました。
釈さん:テレビに出演されている芸能人の方たちは、セルフブランディングのプロだと感じます。天然キャラと言われる方も、周囲からどう見られるかをある程度計算して、キャラクターを演じているところがあると思うんです。
でも、私はそういうのがまったくわからず、突き進んでしまいました。結果、バラエティの打ち合わせのときに「また天然キャラとして、面白いネタを言ってくださいね」と求められることが増えてしまって。
幼少期の釈さん「え、どうしよう、ネタなんてないし…」と困ることもよくありました。当時は本当に忙しくて、心身ともにムリが生じ、突拍子もないことを言ったことがあったかもしれません。
でも、だんだん求められているものが偏りすぎているな、実際の私とかけ離れているな、とジレンマを感じてしまったんです。だからといって、どうしたらいいのかわからず、がむしゃらに仕事に取り組む毎日でした。
映画「修羅雪姫」で主演をしたことが転機に
──バラエティで求められているものとのギャップを感じていたとのことですが、その状況が変わったきっかけはありますか?
釈さん:映画「修羅雪姫」の主演を演じたことです。私にとって、はじめての役者としての仕事でした。しかもその映画のアクション監督が、ハリウッドで活躍されているドニー・イェンさんで、アクションシーンがすごくハードでした。
ワイヤーを使ったり、スタントなしで実際に山の中を転がり落ちたりしていたんです。最後のシーンでは中指を骨折して…。予算も日にちもなくて代役を立てられないからと、骨折した指をテーピングで刀にくくりつけて戦闘シーンを撮影しました。
──それはハードですね…。骨折しながら撮影をやり遂げたのはすごいです。
釈さん:はじめてだったから、そういうものなんだろうと思ってしまったんです(笑)。「修羅雪姫」での役柄は、感情や表情を出さない、野性的なキャラクター。当時、バラエティ番組で見せていた明るい私とは真逆のタイプだったんです。
キャスティングしてくださったプロデューサーは、ロケ番組に出演している私を観て「この子はすごく明るく見えるけど、じつは暗い闇の部分も持っているはずだ」と感じてくださったらしいです。
──ご自身では、自分のなかに「闇の部分」があると自覚されていたのですか?
釈さん:いま振り返ってみれば「たしかにそういう部分もあるな」と思うのですが、そのころは客観視できていませんでした。当時、私のなかにある闇を認めてもらえたのは大きかったです。
役者として、自分の明るさも闇も表現したいと考えるようになりました。そこからたくさんのドラマや映画に出演させていただきました。「修羅雪姫」は私にとって大きな転機になった作品でしたね。
PROFILE釈由美子さん
しゃくゆみこ。女優・タレント。グラビアアイドルとしてデビュー後、映画『修羅雪姫』、『ゴジラ×メガゴジラ』、ドラマ『スカイハイ』、『7人の女弁護士』などの作品で主演を務めるなど出演作品は累計100作を超える。舞台、イベント、ナレーション、広告出演等、多方面で幅広く活躍。
取材・文/齋田多恵写真提供/釈由美子
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