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島崎遥香 「やり切ったではなく…」泣き虫だったデビュー前の素顔、AKB48卒業の真相
島崎遥香
「いつもは2、3個食べます。1個しか食べないなんてことは絶対にないです」と熱く語るのは、AKB48で“ぱるる”の愛称で親しまれた島崎遥香。ゴーラー(熱狂的なかき氷好き)である彼女は、季節を問わずかき氷を食べている。小田急線・成城学園前駅近くにある「デギスタシオン」の「かき氷」は、彼女のマイベストのひとつ。
「フワッとした氷の食感と旬の食材を生かしたフレーバーのバランスが完璧で素晴らしいんです。いつも、見たことのない芸術的なかき氷に出合えるお店です」
予約がすぐ埋まるので、予約開始日はスマホと格闘するのが恒例行事だという。
「1個だけだともったいないので、体調と相談しながらこの日はどれだけ食べられる?と葛藤しています。なんなら予約日に合わせて自分の体調を管理する感じ(笑)。いつ来ても、初めて食べたときの感動を味わえるから不思議です」
彼女がここまでかき氷にハマったのは、AKB48として活動していた10年ほど前。忙しい毎日の唯一の楽しみがかき氷だった。
「当時、かき氷専門店が流行りだして、“最先端のかき氷を食べているJKってイケてる”みたいな感覚で食べたんです。完全にハマりました。
これまで食べていたかき氷とは全然違ったんですよ。フワフワで味わい深くて。それ以降は、音楽番組のリハーサルの合間に各局の近くにあるお店に通ったりしました。忙しい合間の癒やしというか、かき氷があるから頑張れる、そんな存在でした」
島崎は15歳でAKB48に加入して芸能界デビューした。子供のころの島崎は、華やかさとは正反対に、泣き虫で母親と家が大好きな少女だった。
「毎日泣きながら幼稚園に連れて行かれていました。家ではないどこかに行くのが本当に嫌でした。この気持ちは小学生になっても変わらなかったです」
そんな人生を変えたのが、2009年におこなわれた「AKB48第六回研究生オーディション」。友人に誘われて応募した。
「オーディションは受かるはずないと思って、流れに身をまかせていました。アイドルは好きでしたが、憧れとしてなりたいものではなく、応援するものだったから、私はなんでここにいるんだろう?という気持ちのほうが強かったかもしれないです」
自然体で面接を受け、気づけば最終審査になっていた。歌唱審査でライバルたちが、秋元康ら審査員の前で次々と歌を披露していく。そして、島崎の番が回ってきた……。
「私、歌わなかったんですよ。得意でもないし、人前で歌ったことがないから、歌えなかったというか。渡り廊下走り隊の『初恋ダッシュ』を選んだんですが、ずっと無言で棒立ちでした。あ、この曲の中に『レッツゴー』という台詞があるんですが、唯一、それは言いました(笑)」
絶対に落ちたと思っていたが、結果は合格。ここからが苦難の連続だった。
「最初にダンスが上手な人と下手な人に分けられましたが、実際にレッスンが始まると、下手な人たちはなんとなく休んではいけない空気感があって……。みんなが休憩しているときも休めない、最後まで残らなければいけなかったりと、慣れないことが多くて本当につらかったです」
島崎遥香
「楽しい」はなくて目の前のことで精一杯
順調にデビューをしてどれだけ華やかなステージに立っても、楽しいという感情は生まれなかった。
「今思い出しても『楽しかった』はないですね。そういう気持ちが生まれる時間がないというか。もう目の前のことをこなすだけで精一杯。今、何をしているのかわからず行動している感じでした」
2012年、『永遠プレッシャー』でついにシングル曲のセンターを担当。
だが、あまりに忙しい毎日に、彼女はしだいに目に見えない疲れに蝕まれていった。
2016年、『第67回NHK紅白歌合戦』をもってAKB48からの卒業を決意する。
「よく『やり切ったから卒業したのですか?』と聞かれますが、やる切るというより……とにかく苦しくて、グループをやめたいという思いが強かったです。
ふと先のことを考えたとき、このグループで自分がやれること、幅を広げられることも見えなかったです」
とはいえ、AKB48時代に後悔はないという。
「入っていなかったらこんなにメンタルが鍛えられることはなかったと思います。私たち、よくコンサートの本番が始まる5分前とかに台本が回ってきて、大きな発表をしたりしていたんですよ。
あと、MCとかも自分たちで考えるし。対応力はかなりついたと思います。どんなことがあってもパニックにならないのはあの時代があったからです」
同世代の友達ができたのも財産だ。
「今でも(AKB48の)同期で同い年の子たちとは仲がいいです。学校の友達とはまた違った、本当の家族みたいな関係で。会ってもわざわざ写真とか撮らないし、あまり連絡しない。けど繋がっているのがわかる存在です」
島崎は卒業後、AKB48時代から力を入れてきた俳優業をメインに活動している。
今、やっと自分なりのペースで過ごすことができるようになったという。
「しばらくはスケジュール的にも落ち着かず、慣れないことをしているので心が追いつかなくて大変でした。4年くらい前からやっといろいろ考える時間をつくれるようになってきました。
なにより、『今、私は何の仕事をしているのか』がわかるようになったのが大きいです。
当たり前のことが、当たり前にわかるようになったというか。やらされている感はなくなりました」
彼女も2024年で30歳。芸歴15年という節目を迎える。
「数字にすると、人生の半分が芸能生活なんだと不思議な感覚になります。
昔、事務所の社長に『長く芸能生活を続けることが大事』と言われて、そのときはピンときていなかったのですが、今はようやく言葉の意味がわかってきた気がします。
私、小さいころの習い事を含め、こんなに長く続けられたことは初めてなんです。今の仕事は私にとって特別なものなんだと思うので、これからも続けていけたらと考えています」
これからの15年はどうなっていくのか。
「15年後、振り返ったときに楽しかったと思えたらいいなと思います。
じつは、30代が楽しみなんですよ。初心に戻って一からやり直す感じで始められそうな気がして。今が人生でいちばん楽しいです」
島崎遥香は、新たなスタートを切った。
しまざきはるか
1994年3月30日生まれ埼玉県出身2009年に「AKB48第六回研究生オーディション」に合格し、芸能界デビュー。AKB48の中心メンバーとして活躍するも、2016年、卒業。活動の場を芝居に移し、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』(2017年)、『ハレ婚。』(2022年、ABC)などに出演。2023年は、映画『ゆとりですがなにかインターナショナル』、ドラマ『私のシてくれないフェロモン彼氏』(TBS)、舞台『新ハムレット〜太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?〜』などに出演
【DEGUSTATION】
住所/東京都世田谷区成城2-37-11
営業時間/完全予約制
定休日/火曜、水曜
写真・木村哲夫
スタイリスト・黒瀬結以
ヘアメイク・信沢Hitoshi
衣装協力・MICROWAVE、アンティローザ、PHTHALO
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