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小澤征爾さん、世界での活躍は国内での”ボイコット事件”も要因だった…１９６２年にＮ響と衝突
世界的指揮者の小澤征爾さんが６日、心不全のため都内の病院で死去した。８８歳だった。短大卒業後に渡仏し、世界への足がかりを築いた小澤さんだったが、そこから更に羽ばたくことになった要因の一つは、実は日本での”ボイコット事件”にあった。
小澤さんは１９６１年にＮＨＫ交響楽団に招かれて指揮者となった。だが、翌６２年に事件は起きる。当時２７歳だった「若すぎる天才」小澤さんに対し「間違いが多い」などと楽団員が反発を強めたのが原因だった。
小澤さんはＮ響から「指揮をするなら演奏会はいっさい取りやめる」と通告される。ＮＨＫの放送局長らとの話し合いにより、いったんは解決に向かったものの、小澤さんが１２月に入って「楽団員のサボタージュによって傷つけられた指揮者の信用棄損はすべてＮＨＫとＮ響側の責任」などとした覚え書きに調印することを同局に対して要求したことで、再びこじれ始めた。
結局、同１１日から３日間にわたり東京・上野の東京文化会館で行う予定だった定期演奏会は中止に。小澤さんは楽団員が来るはずのない会場に一人、足を運んだ。当時、小澤さんはホールの舞台の指揮台に上がると「昨日はぐっすり眠れましたよ。とにかく３日間はここに通います。来年アメリカへ行ったら、笑い話としてみんなに聞かせるつもりです」と語った。Ｎ響の指揮者として契約をしていた小澤さんの矜持（きょうじ）だった。
日本と”決別”する形で再び海を渡った小澤さんはその後、米国を軸に海外に活躍の場を求め、その名声を高めていった。Ｎ響と「雪解け」したのは３２年の歳月を経た９５年１月。東京・赤坂のサントリーホールでの演奏会だった。
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