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突然始まった動悸・発汗・不安 ヒロミ「男性更年期障害で苦しんでいた」
多くのレギュラー番組を持ちながら、バイクや住宅リフォームなど趣味を楽しむヒロミ(57)。妻の松本伊代(57)とも関係良好で、中高年として理想的な生き方に見えるが、実は「男性更年期障害に苦しんでいた」と告白している。
【画像】「八王子の暴走族上がり」“イケイケ破天荒”だった若い頃のヒロミ
順天堂大学大学院主任教授・堀江重郎氏によると、更年期障害とは「性ホルモンの低下によって心身に不調が起こった状態」を指す(「社会的な要因によって起こる病気といっても過言ではない」医師が警鐘を鳴らす“男性更年期障害”の知られざる真実《チェックリスト付き》)。更年期症状は女性だけでなく男性にも起こるが、《男性更年期》についての世間の認知度はまだ低い。
ところが、日本内分泌学会公式サイトによると、「女性と似た更年期症状が男性では、40歳代以降どの年代でも起こる可能性」があり、期間には終わりがないという。(日本内分泌学会「男性更年期障害(加齢性腺機能低下症、LOH症候群)」)
昭和生まれの中高年男性は、体調不良を感じても「休みます」とはなかなか言えず、周りに弱音を吐きにくい。男性更年期、定年、老後をどう乗り切るか、“昭和オジサンの生きる道”をヒロミが語った。(全2回の1回目/続きを読む)
©文藝春秋撮影/平松市聖
突然始まった動悸、発汗、不安
――ヒロミさんに男性更年期の症状が現れたのは、いつ頃ですか。
ヒロミ50歳を過ぎた頃ですかね。テレビの収録前に、急に心臓がドキドキして汗が出たり、息苦しさとかがあって。
――不安になる?
ヒロミ「あれ、もしかすると調子おかしいかな?」って一瞬思うと、それが不安状態に入るスイッチになっちゃう。
テレビに出ること自体は緊張しないんですよ。それよりも「このまま普通にいられるかな。俺、倒れるんじゃないか?」という不安みたいな。
――病院はすぐに?
ヒロミいや、すぐには行かなかったですね。しばらくすると症状はおさまるし、毎日そうなるわけでもなかったから。最初は「その日の体調なのかな?」って。
体調が悪くなるのは、家にいるときより、仕事中のほうが多かったんです。だから、「自覚はないけど、仕事がストレスなんだろうか」と思ったり。
――しばらく様子を見ようと。
ヒロミそう。でもしばらくしたら、仕事じゃないときも症状が出ることがあって。それで、ママ(妻の松本伊代)に相談したんです。
彼女は病院好きで健康情報にも詳しいから、「それ更年期じゃない?病院行った方がいいよ」と、すぐに病院に連れていかれました。
「男性更年期障害です」と言われてホッとした
――病院では、ホルモン値などを測ったのでしょうか。
ヒロミそうですね。採血して、診察で症状を話したら、「更年期ですね。男性ホルモンのバランスが崩れています」と言われて。
それまでは心のどこかで「ヤバい病気だったらどうしよう……」と思ってたから、更年期だとわかって、ホッとしたところはあったかな。
――その後、薬も飲んでいるそうですね。
ヒロミ男性ホルモンの薬をもらって、今も飲んでます。正直、効いているのかはよくわからないけど、止めどきがわからないし……薬を持っていたほうが安心するんでね。
「ちょっと不調」くらいじゃ休めない
――周りの人は、ヒロミさんのそういう変化に気づいていたのでしょうか。
ヒロミいや、僕はママ以外には誰にも言わなかったし、スタッフはたぶん気づいてなかったと思いますね。動悸や汗がひどくても、収録ではきちんと仕事をしてたし、テレビを見てる人も気づいてないでしょう。
――やっぱり、話しづらいものですか。
ヒロミ病院で診断されてからは、同世代や先輩に話しましたよ。そしたら「あぁ、それ更年期だよ」「俺もそんなことあったわ」という人が意外と多くて。みんな周りに言わないだけで、これを経験して乗り越えてるんだなと思いましたね。
僕らの世代は、ちょっとした不調くらいで休んでこなかったからね。やっぱり、大っぴらにはできないですよ。
休まないのが当然だから「休み方がわからない」
――最近は芸能界やスポーツ界でも、休養する方が増えています。
ヒロミ体調不良で休んだり、しばらく休養をとるのは、若い人たちが多いですよね。
もちろん休むことは大事。それはわかってるんだけど、僕らの世代ってなかなか休めないんですよ。今は芸能界も「コロナやインフルエンザになったら休む」みたいなルールがあるけど、昔は現場で倒れて、やっと病院に行くような風潮でしたからね。
――今だとパワハラといわれそうな働き方ですね。
ヒロミそうそう。でも俺らが育ったのは、そういう時代だからね。先輩も同世代も、休む人はまずいなかったし、「体調が悪いから休みます」なんて、よほどのことがないと言えなかった。
僕は休んだことないからね。だから今、若い人が普通に休むのを見て、びっくりする気持ちは正直ありますね。
昭和生まれは「休まず働くのが当たり前」
――ヒロミさんは昭和40年生まれで、B-21スペシャルを結成したのが昭和61年。デビュー当時はもちろん、「ワークライフバランス」という考えはないですよね。
ヒロミないですよ。芸能界は特にね。それに僕らの世代は、変な責任感があるっていうのかな。
昭和生まれの男は「休まずに頑張って働くのが普通」と思って育ってるでしょ。だから、体や心の状態が悪くても、頑張っちゃう人が多いと思いますよ。
――責任を背負ってしまう?
ヒロミだってそれが当たり前だもん。あとは、男は他人に弱みを見せたくない、という気持ちもあるだろうし。
もし「ちょっと体調が……」なんて言ったら、周りが心配するじゃない。それは嫌なんだよね。
――自分のことで気をつかわせたくない。
ヒロミそう。だからやっぱり、僕らの世代は、堂々と「体調が悪い」とは言いにくいですよ。
僕はママに何でも話せるから、まだ救われたところはあるかなと思います。
仕事はチーム戦。支える役割も大切
――男性更年期になりやすいといわれる50〜60代は、仕事上の立場が変わっていく年代ですよね。たとえば今までの仕事を若手に取られたり、メインからサブ側にまわるケースもあります。こういった立場の変化も、不安の原因だと思いますか。
ヒロミそうね。僕らの世代の人だとやっぱり、仕事内容の変化を不安に感じる人は多いでしょうね。
でも、仕事ってメインだけが仕事じゃないから。僕も若い頃は、サッカーで言えば「前に出てゴールを決めてやる!」と思って仕事をしてたけどね。今は「下がってゴール前で守っていよう」って感じ(笑)。
仕事ってチーム戦だから、花形の役もあれば、そうじゃない役もある。ちょっと引いたポジションにいる人も必要でしょ。
――心強いディフェンス、というポジションですね。
ヒロミそうありたいかなぁ。仕事って、お金をもらうでしょ。だから、自分がやりたいことじゃなく、“与えられたことをやる”ものだと思うのよ。やりたいことだけを仕事にしたかったら、起業すればいい。
俺だって、自分がやりたい仕事を選んでいるわけじゃない。そのとき求められる仕事を、プロとしてやるしかないっていうだけですよ。お金をもらう以上はプロとしてやってるわけで、それはサラリーマンでも芸能人でも同じだと思うんだよね。
異業種の人と遊ぶのが楽しい
――ヒロミさんはバイク、車、射撃、マリンスポーツなど、多趣味でも知られています。趣味のリフォームが番組になったり、仕事にも広がっていますね。
ヒロミ僕はね、とりあえず全部やりたくなるタイプなんですよ。
だからどんどん増えちゃうんだけど、遊びの時にいろんな職種の人たちとワーッて混ざるのが、すごい楽しい。
――ヒロミさんは仲間意識が強そうだから、芸能人としか遊ばないのかと思ってました。
ヒロミそんなことは全然なくて。僕は一度、芸能界を離れてるでしょ。そのとき、芸能以外の人たちと一緒に遊ぶのがすごく楽しいなと思ったの。
仕事で知らない人と話すのは苦手なんだけど、遊びで出会う人とは、お互いの肩書きとか気にせずに話もできるし、友だちになれるのね。そうすると視野が広がって、意外とあとで仕事にも役立つんですよ。
遊んでいると不安が遠ざかる
――やることがたくさんあると、不安も感じなくなるものですか。
ヒロミ不思議とね、遊んでるときは割と大丈夫なことが多い。体調が悪いときも、ふさぎこむと調子がもっと悪くなるかなと思ったから、なるべく遊んだり、山に行ったりしてましたね。自然の中に行くのはいいと思う。
――中には趣味がまったくない人もいますが。
ヒロミ趣味がない人はねえ……でも、もし仕事が嫌になったら、何か違うところで楽しみを見つけるしかないじゃない?だから、趣味は大事だと思うなぁ。
まず、何かやってみるしかないんだよね。で、ひとつでも自分にぴったりくるものが見つかればいいと思うよ。俺は手を広げすぎだけど(笑)。
――仕事とは別の場所を持つ。
ヒロミそうそう。趣味の場で、普段の自分とは全然違う世界の人と遊んでると、いい気分転換になるしね。仕事の悩みだけに囚われなくなるんじゃないかな。
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