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「"41歳"現役アイドル」"集客力"なくても活躍の訳

「"41歳"現役アイドル」"集客力"なくても活躍の訳 (全6枚)

「"41歳"現役アイドル」"集客力"なくても活躍の訳
キャリア15年を数える41歳の現役アイドル・まりえ(41)さん(撮影:カネコシュウヘイ)

アイドルの多くは10代〜20代でその人生をまっとうする。青春時代にステージで活躍し、卒業後は女優などのセカンドキャリアへ進むのが一般的だ。

しかし、40代になってもなおステージへの執念を見せるアイドルもいる。41歳の現役アイドル、まりえ(41)さんである。

20代後半でアイドルの世界へ。キャリア15年目をひた走る今も、公称で「年間200本以上」のステージや、各地での撮影会へと精力的におもむく。

年齢にとらわれず、華やかなアイドル界で活躍しつづける覚悟とは。来歴と仕事への矜持に迫った。

「メイド喫茶の客の一言」でアイドルの世界へ

活動拠点の名古屋と出身地の大阪、さらに東京、北陸を中心にライブ出演をこなすまりえ(41)さんがステージで歌い始めたのは、26歳だった。

ちなみに、名前に続く数字が示すのは、自身の年齢。

6月26日の誕生日前日に前年のまりえを「解散」して、翌日からは数字が更新され、新たな1年が始まるという。たとえば、42歳を迎える2023年6月27日には、「まりえ(42)」になるというわけだ。

大阪に住んでいた当時「写真店や工場、パチンコ店、ケータイキャリアのキャンペーンガール」などを渡り歩いていたが、ふと友人にすすめられた「メイド喫茶」のアルバイトが転機に。

「ご主人さま」と呼ばれる客のひとりから「アイドルは誰でもなれるし、ステージにも立てる」と教わった。

「"41歳"現役アイドル」"集客力"なくても活躍の訳
ステージの経験を通して「アイドルの世界を知った」という(写真:まりえ(41)さん提供)

初ステージは2008年3月14日で、今も「日付けははっきり覚えている」という。ただ当初、アイドルに興味はなかった。

もともと関心が強かったのは、「アニメやゲームといった2次元の世界」で、リアルな「3次元」の世界は未知。

それでも、まりえ(41)さんの中には「歌いたい」と願う強い気持ち、そして、自身では「うぬぼれ」だったとはにかむ「ほかの人より歌がうまい」という根拠のない自信があった。

かくして立ったステージで歌える環境を、当初は「趣味」として楽しんでいた。

しかし次第に、客席の「ファンの楽しんでいる姿を見る」のが「ストレス発散」へと変化。気がつけば「やりがい」となり、アイドルが「天職」となっていった。

過去をたどると、大阪から名古屋へ渡り、「本気になった」とまりえ(41)さんは言う。

ただ、当初から順風満帆だったわけではない。そこには、紆余曲折があった。

メジャーデビューで「年齢」を前面に

大阪を離れたきっかけは、名古屋のテレビ局で放送されたアイドル番組のオーディション。ユニット結成のため、番組側が目をつけたのが「大阪のソロアイドル」だった。

まりえ(41)さんだけではなく、彼女の活動を支えている現所属事務所であるトイプラの代表・へなぎ氏、ゆぼ氏の3人はチャンスと確信。自分より若い候補者に囲まれたオーディションで、30代の「ネタ枠」として合格した。

しかし、ユニット結成後「お前はユニットではなく、ソロ向きだ」と言われ、やむなく脱退することに。名古屋の地で、再びのソロアイドル活動に戻った。

そのころ、へなぎ氏の意向で、事務所設立を決意。

メンバー募集の呼び水として「メジャーアーティストが必要」と考え、へなぎ氏みずからが貯金を切り崩し、まりえ(41)さんをメジャーデビューさせた。

「"41歳"現役アイドル」"集客力"なくても活躍の訳
ほかのアイドルを見て「自主的に歌やダンスを研究した」と初期を振り返る(撮影:カネコシュウヘイ)

メジャーデビューシングル『EMPTY∞world』リリースとともに、まりえに続いて「(年齢)」を表記する形へと「改名」。

ステージに立ち続けるアイドル界で、比較的高齢な立場を「ウリ」として、アピールしようと決めた。

ただ、CDデビューを果たしたとはいえ、成功するとは限らないのがアイドル界のリアルでもある。

それこそ、メジャーデビューシングルのリリースイベントで、客席にいたのは4人だけ。そのうちの1人は「通りすがりのおばあさん」だったという。

ソロアイドルは、毎回のリリースが「修行」であり、発売記念のイベントでは、つねに「誰か来てくれるだろうか」と不安もある。その思いは、キャリア15年目の現在も変わらない。

それでもなお、まりえ(41)さんは活動を続けている。

2023年3月18日。渋谷のライブハウスで、デビュー14周年を記念した、東京で初のワンマン公演を実現した。

現地では「初めて見に来ました」という声もちらほら。根拠なき自信で「今、このタイミングだ」と確信したのが、東京公演の理由だった。

紆余曲折はありながら、アイドルとしてのキャリアは15年目。自身の活動に、手応えは感じているのか。

関係者から「出演してくれるだけでありがたい」

ステージに立てば盛り上がるが、「集客力」はない。しかし、そう言い切るまりえ(41)さんの表情は明るい。

「"41歳"現役アイドル」"集客力"なくても活躍の訳
自分を求めてライブへ来るのは「1〜2人。多くて5人くらい」とつぶやくが明るい(写真:まりえ(41)さん提供)

自称するのは「アイドル界のマツコ・デラックスさん」のポジション。

集客力のなさを逆境とは思わず、ほかのアイドルと共演するイベントでも「たとえば、10組が出演していたら、私は1位でなくてもいい」と達観する。

そう考える背景には、ファンへの思いやりもある。

ライブ会場へ足を運ぶファンのなかには、ひいきの「推しメン」が「オレのことを見てくれなかった」と、心を病んでしまう人もいる。

それならば、せめて自身のステージで楽しかった記憶を残してほしい。

実際、「一番楽しかった」と言われるときが多く、ファンに対しては「ええんやで、うちのライブを好きに見てくれて。迷惑かけず、ケガをしなければ」と温かい言葉も返すという。

「年間200本以上」のステージへ立ち続けられるのは、そうした姿勢をほかの事務所からも評価されているから。関係者からは「出演してくれるだけでありがたい」と、感謝されることもある。

「"41歳"現役アイドル」"集客力"なくても活躍の訳
SNSを通して「20代にしか見えない」と注目を浴びたことも(撮影:カネコシュウヘイ)

ただ、ステージへ立つための努力をしているかといえば、意外にも「ジムへ通うとか、体づくりは特にしていない」と笑う。

トレードマークの青い髪を保つため定期的に美容室へ通い、簡単なストレッチを行う程度。気負わず、自然体で天職へ打ち込んでいるのも、まりえ(41)さんの魅力なのだろう。

2023年6月27日で、42歳を迎えるまりえ(41)さん。いつか「体に限界が来たら終わるとしか思っていない」と、将来を見据える。

「アイドル以外の仕事はできない」と断言する覚悟

20代、30代を経た現在は、共演するアイドルを「お母さん」のような気持ちで見守っている。

自分が「一番」ではなく「この子たちのおかげでステージに立っている」と感謝しながら活動。

自分より若いアイドルに自身の「知名度」を利用してほしい思いから、フォロワー数3万人を超えるツイッターでは、ほかのアイドルについても積極的にリツイートしているという。

「"41歳"現役アイドル」"集客力"なくても活躍の訳
今後は「YouTuberとしても活躍できれば」と意気込む(撮影:カネコシュウヘイ)

「何歳まで、現役アイドルであり続けるか」は決めていない。

「50歳まではできないかなと思っていて」と吐露しつつ、結婚したとしても「言わないし、ファンの人たちは結婚してほしいと思っていないはず」と主張。

ツイッターでは、時に「年齢を公表しないほうがいい」とややおせっかいなリプライも飛んでくるが、「自分のウリだし、無視します」ときっぱりと言い切る。

年齢を重ねるにつれて「体や髪の毛のコンディション」が崩れつつあり、「情けなさ」も募る。それでも今、アイドルの仕事に「生活を支えてもらっている」という一心で、ステージへ立ち続けている。

その思いは「甘えでもある」とまりえ(41)さんは謙遜したが、けっしてそうとは言い切れない。

天職をつかんだ先で「アイドル以外の仕事はできない」と断言できる姿勢には、まさに「プロ」と呼ぶほかないと思わされた。

(カネコシュウヘイ:編集者・ライター)

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