シンガー・ソングライターの山下達郎（７０）が９日放送のＴＯＫＹＯＦＭ「山下達郎サンデー・ソングブック」（日曜・後２時）に出演。音楽プロデューサー・松尾潔氏（５５）が、ジャニー喜多川氏の性加害問題を巡って、山下も所属する事務所スマイルカンパニーとの契約を終了した件について初めて言及した。

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◆山下達郎コメント要旨

私はツイッター、インスタ、フェイスブックというものは一切やっていないので、唯一の私の発信基地であるこの番組で話を聞いてもらおうと思います。今の世の中はなまじ黙っていると言ったもん勝ちで、どんどんウソの情報が拡散するので、思うところを正直に率直にお話ししたい。

彼から顧問料をいただく形での業務提携だったので、雇用関係にあったわけではない。所属アーティストでもないので解雇ではない。弁護士同士の合意文書もある。契約終了に関しては、事務所の社長の判断に委ねる形で行った。私は彼と直接話していないし、私が社長に契約解除を促してもいない。彼とは長い間会っていない。年にメールが数通という関係です。

松尾氏がジャニー氏の性加害問題に関して、臆測に基づく一方的な批判をしたことが、契約終了の一因だったことは認めるが、それだけではない。他にもいろいろあるが、この場では触れるのは差し控えたい。

性加害について、今回の一連の報道がなされる前は、漠然としたうわさでしかなくて、私自身は１９９９年の裁判のことも聞かされていなかった。当時、私のビジネスパートナーはジャニーズの業務を兼務していたが、マネジャーでもある彼が、一タレントの私にそのような内情を伝えることはなかった。

性加害が本当にあったとすれば、もちろん許し難いことであり、被害者の方々の苦しみを思えば、第三者委員会での事実関係の調査は必須であると考える。しかし、音楽業界の片隅にいる私に、事務所の内部事情など全くあずかり知らぬことだし、まして性加害の事実について知る術（すべ）はない。

私が中学生だった１９６０年代に、初代ジャニーズの楽曲に出会い、ジャニー喜多川さんという存在を知った。７０年代の末に、私の音楽を偶然に聴いたジャニーさんに褒めてもらい、その縁で数年後に近藤真彦さんの「ハイティーン・ブギ」という作品が生まれた。その後も、ジャニーズに楽曲を提供する中で、ＫｉｎＫｉＫｉｄｓとの出会いがあって「硝子の少年」を書くことができて、昨年の「ＡｍａｚｉｎｇＬｏｖｅ」まで絆は続いている。

芸能というのは人間が作るものである以上、人間同士のコミュニケーションが必須。人間同士の密な関係が構築できなければ、良い作品など生まれない。そうした数々の才能あるタレントを輩出したジャニーさんの功績に対する尊敬の念は今も変わっていない。

私の人生にとって一番大切なことは、ご縁とご恩。ジャニーさんの育てたタレントたちが、戦後の日本でどれだけの人の心を温めて、幸せにし、夢を与えてきたか。私にとっては、すばらしいタレントやミュージシャンとご縁をいただいて、時代を超えて長く歌い継いでもらえる作品を作れたこと、そのような機会を与えてくれたことに、心から恩義を感じている。

私が一個人として、ジャニーさんへの恩を忘れないことや、プロデューサーとしての才能を認めることと、社会的・倫理的な意味での性加害を容認することとは、全くの別問題だと考えている。アイドルたちの芸事に対するひたむきな努力を間近で見てきた者として、彼らに敬意を持って接したいというだけ。だから、正直残念なのが、ＳＭＡＰが解散することになったり、最近ではキンプリが分裂してしまったり。あんなに才能のあったユニットがどうしてと疑問に思う。願わくば、みんなが仲良く連帯して、すばらしい活動を続けていってほしいと思うのは私だけではないはず。近い将来、ＳＭＡＰや嵐、キンプリの再集合が実現するような日が来ることを竹内まりや共々に願っている。

４８年のミュージシャン生活で、ご恩に報いることができるように、彼らの才能を引き出し、共に良い楽曲を作っていくことこそが、私の本分だと思ってやってきた。このような私の姿勢を、忖度、あるいは長い物に巻かれていると解釈するのであれば、かまいません。きっとそういう方には、私の音楽は不要でしょう。

外部サイト 山下達郎が、ラジオで松尾潔氏の契約終了問題について初言及【コメント全文・後編】 山下達郎が、ラジオで松尾潔氏の契約終了問題について初言及【コメント全文・前編】 山下達郎、松尾潔氏の契約終了騒動について初言及「何も話してないし、契約終了を促してもない」

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